ホクロと勘違いしないで!進行が早く転移率も高いメラノーマに注意!

ホクロと勘違いしないで!進行が早く転移率も高いメラノーマに注意!

犬で発生が多いメラノーマ(悪性黒色腫)。口の中や足の裏などにできやすく、その形からホクロと勘違いしてしまうことも。しかし、メラノーマは特に進行が早いガンなので早期発見が鍵になります。メラノーマの特徴について知っておきましょう。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。


犬にはメラノーマと呼ばれるガンがあります。メラノーマは日本語で悪性黒色腫と呼ばれ、色素を産生しているメラノサイトという細胞がガン化することにより発生します。
人ではメラノーマの発生率は非常に低く、100万人に1人程度の割合だとも言われていますが、犬では1、2を争う発生率の高さで悪性度も高く、とても厄介なガンとされています。
特に、足先に発生した場合などはホクロと勘違いされることも多く、気づいたときにはかなり進行してしまっているパターンが多々見受けられます。
今回はメラノーマの特徴や症状、治療法について解説していきます。ホクロと間違えてしまわないよう、メラノーマの詳細についてぜひ知っておいてくださいね。

メラノーマの特徴

メラノーマは足の裏や足先、口の中に発生することが多いです。悪性黒色腫と呼ばれているように、メラノーマは基本的に全て悪性です。
発生原因として考えられているのは、足や口腔内への慢性的な刺激です。特に、暑い日にアスファルトの上を散歩する際の足裏への刺激、ドライフードの口腔内への刺激などが危険だと考えられています。
こういった刺激が長期間続くことにより細胞がガン化してしまい、メラノーマになってしまうのです。


メラノーマは進行が非常に早く、発生から3か月程度で手遅れになってしまうことも珍しくありません。
さらに、発生場所が足の裏や口腔内なので見逃してしまうことも多く、末期状態になってから動物病院を訪れるケースがとても多いです。
普段の生活の中から違和感を見逃さないようにし、異常があればすぐに動物病院で診察を受けましょう。

メラノーマの症状

初期段階ではほとんど症状は見られません。メラノーマが大きくなってくると犬も違和感を感じるようになり、歩く際にバランスがおかしくなったり、ご飯を食べるスピードが遅くなる、ご飯を食べなくなるなどの症状を示します。


初期段階のメラノーマは一見するとホクロにしか見えないので、見落としてしまう可能性が非常に高いです。見分ける方法としては、周囲の組織との境界が曖昧に見える、形が丸形や楕円形でない、触ると嫌がるなどがあります。


また、メラノーマは進行すると肺に転移することが多く、その際には咳や息苦しそうといった症状が見られます。肺に転移している状態はかなりメラノーマが進行してしまっているので、早急に治療を開始する必要があります。

メラノーマの治療

基本的に外科手術による切除がメインになります。しかし、メラノーマの浸潤度は半端ではなく、かなり広範囲に渡って切除を行っても再発の確率が非常に高いガンです。
また、口腔内に発生した場合で、かなり進行してしまっていると全切除が難しいことが多いです。その際は一部分だけを切り取って、残りは放射線治療などで進行を遅らせたりする治療法が選択されることもあります。
足に発生した場合は断脚手術を行うこともあります。足が一本なくなってしまうのはとてもかわいそうですが、犬や猫は3本足でも日常生活を行うことは十分可能です。


メラノーマには投薬治療の効果がないことが多く、抗がん剤の投与を行うことはあまりありません。放射線治療は一定の効果が見込めますが、必ずしも完治できるわけではなく、進行を遅らせるための延命治療として使われることが多いです。
他にも、温熱治療などの代替治療法が発明されていますが、いずれも根治を狙えるものではなく、延命目的として使用されるのが一般的です。
とはいえ、外科手術による腫瘍の一部切除や放射線治療は犬のQOL(クオリティオブライフ)を上げるためにとても有効なので、積極的に行われることが多いです。
口の中の腫瘍を少しでも取り除くことで、自力でご飯を食べられるようになるケースなども多く見受けられます。

メラノーマの予防

メラノーマの有効な予防法はまだはっきりしていません。上述したように慢性的な足裏、口腔内への刺激が発生の原因と考えられていますが、まだ確実なものではありませんし、ドライフードを全く食べさせないというのもなかなか難しいですよね。
そのため、早期発見、早期治療が重要になります。メラノーマは10歳前後の初老犬に好発しやすいとされています。症状がわかりづらいため、気づくのが困難な場合も多々ありますが、日常のちょっとした変化、異常を見逃さないようにしましょう。
以前にはなかった黒い斑点が見られた場合はメラノーマを疑い、動物病院に連れて行きましょう。

まとめ

繰り返しになりますが、ガン治療の基本は早期発見、早期治療が大切です。動物は自身で異常を伝えられないため、飼い主が病気に気づいてあげることがなにより重要になります。
あらかじめ病気についてある程度知っておくと、違和感や異常にすぐ気づくことができるようになります。動物には様々な病気がありますが、代表的な病気については知っておきましょうね。

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