はじめに
私たち人間も含めて動物にはウイルスや細菌などが体内に侵入すると、異物を取り除くための「免疫」が備わっています。
本来は無害であるはずの食べ物や花粉などに過剰に反応して症状が出るのが「アレルギー」です。そしてアレルギーを引き起こす原因となる物質のことを「アレルゲン」と呼びます。
犬にもさまざまなアレルギーがあり、アレルギーのメカニズムは人間と全く同じですが、アレルギーを起こしている犬は皮膚の免疫機能が低下しやすくなるため、くしゃみ、鼻水といった症状よりも皮膚症状に出ることが多いのが特徴です。
犬のアレルギー症状を引き起こす原因となるアレルゲンにはどのようなものがあるのでしょうか?
犬のアレルギーの原因となるアレルゲン
■花粉
多くの人が「花粉症」に悩まされている現代社会。日本では多くの人がスギ花粉に悩まされています。犬にも木や草、花の花粉による「花粉症」があります。
現代病とも言われている花粉症。私たちの場合、花粉症の症状はくしゃみ、鼻水など呼吸器の症状が出ますが、犬の場合は皮膚のトラブルが主流なので気が付かないことも多いようです。
くしゃみや鼻水といった症状が出ることもありますが、主な症状としては足の先端や下腹部、口や目の周辺、耳などの痒みを伴う皮膚症状があります。痒さのあまり顔や体を掻きむしることで、炎症をおこしたり、化膿してしまうこともあります。
花粉の時期にこのような症状が見られたら動物病院で診てもらいましょう。
■カビ
室内には青カビや黒カビなどの胞子が浮遊しています。
犬はなんでも舐めてしまうため、人よりも影響が出やすいと言われます。
カビによるアレルギー症状として痒がる、皮膚の炎症をおこす、脱毛、耳垢が溜まるなどがあります。
アレルギーを防ぐためにはカビを増やさないことが大事です。換気をする、除湿器を使うなどして部屋の温度、湿度を保つこと。また、エアコンのフィルター、水周りの掃除も忘れずに行いましょう。
■ふけ
動物や人間のふけにアレルギー反応を示すこともあります。
症状としては痒がる、炎症を起こすなどの皮膚症状、またくしゃみ、鼻水が出ることもあります。
■羽
鳥の羽にアレルギー反応を示すことがあります。
鳥を飼っていなくても、枕や布団の羽毛に反応することもあります。
■タバコの煙
タバコの煙にも有害物質は含まれていることは副流煙としてよく知られています。副流煙は犬にも影響を与えます。犬は床や家具に付着した副流煙を舐めてしまうこともあり、人間よりもタバコの煙の影響を受けやすいと言われます。気管支炎を起こしたり、ガンを発症するケースもあります。
痒がる、体を噛む、炎症を起こす、脱毛などの症状が見られます。
■食品
食物アレルギーはある特定の食品にアレルギー反応を示します。年齢に関係なく症状が見られます。アレルギーを起こす食品としてはドックフードに使用されることの多い、牛肉、乳製品、小麦、仔羊肉、鶏肉、卵、とうもろこし、大豆、スパイス、添加物に多いと言われています。また、遺伝や環境によることもあるため、予防や特定が難しいと言われています。
アレルギーによって引き起こされる症状は皮膚炎、鼻炎、目の炎症、嘔吐、下痢と多きにわたりますが、皮膚症状を起こすケースが多いようです。食物アレルギーはさまざまな食品に対して反応を起こす可能性があるので、まずは動物病院でアレルギー検査をしてもらい、その原因となっている食品を特定することが対策の基本となります。
何の食品にアレルギー反応を起こしているのかがわかったら、食事管理をすることで防ぐことができます。最近はさまざまな食物アレルギーに対応したドックフードも販売されています。
■ハウスダスト
アレルギー皮膚炎のなかでもアトピー性皮膚炎が最近増えています。アトピー性皮膚炎は遺伝によることもありますが、最も一般的な原因は埃やダニ。症状としては激しい痒みを伴う皮膚の赤み、発疹がお腹や足、顔など部分的に見られます。放っておくと全身に広がることもあるので早めの対処が大切です。
埃やダニを防ぐにはしっかりとした湿気対策、そして掃除が基本です。ダニは夜のうちにたまるので、いきなり掃除機をかけるとかえって撒き散らすことになります。掃除機をかける前に雑巾がけをすることをお勧めします。また、掃除機は3日に1度程度はかけるようにしましょう。犬のベットの掃除も忘れずに行いましょう。
■薬
抗生物質など処方してもらった薬があわず、アレルギー反応を起こすことがあります。よくでる症状としては、顔が腫れる、痒がる、発疹がでるなどです。このような症状が現れたら、薬の使用をやめ、獣医師に診てもらいましょう。
■ノミ
犬の体に寄生するノミは血を吸うときに犬の皮膚のなかに唾液を注入しますが、この唾液にアレルギー反応を起こすのがノミアレルギーです。ノミの寄生しやすい背中からお尻、尻尾の付け根にかけて赤い発疹や脱毛といった症状が見られます。
ノミアレルギーを防ぐにはノミを駆除することが1番大事なことです。そしてそれと並行して他の皮膚炎と同様に痒みや炎症を抑える投薬治療を行うのが一般的です。また、犬が過ごしている場所の掃除、もし猫や他の犬が同居している場合は一緒にノミの駆除を行って下さい。ノミの駆除薬を定期的に使用することでノミアレルギー性皮膚炎の予防効果があります。ただし、ノミ取り首輪などのノミ予防製品にアレルギー反応を起こすこともあるので注意してあげて下さい。