犬は人の視点を理解している?
イギリス、ポーツマス大学の心理学研究チームは、犬が人間の視点を理解しているかを調査するためある実験を行いました。
この実験に参加したのは1歳以上の84匹の犬たち。飼い主さんが同じ部屋にいてくれなくても平気で、食べ物に対する関心が高い子たちが選ばれました。明るい部屋、もしくは暗い部屋に連れていかれた犬たちはそこで餌を見つけますが、勝手にそのえさを食べることを禁じられてしまいます。明るい部屋と暗い部屋それぞれで、それに対する犬たちの反応の違いを観察しました。
飼い主さんの視点を理解して行動
実験の結果、明るい部屋にいるときと比べ、犬たちは暗い部屋では4倍もの確率で人の命令に逆らい、えさを勝手に食べてしまったのです!また、暗い部屋では人に気付かれないうちにいっぱい食べてしまおうと、より素早い動きでたくさんのえさを食べてしまいました(笑)
つまり犬たちは、暗闇の中での人の視界はそれほど優れていないこと、えさを勝手に食べてもばれないことをちゃんと理解していたため、安全な暗闇に“狩り”をしていたのです!
「相手の立場になる」≠人特有の能力!?
私たち人間は、相手の立場になって考えることができます。たとえば、「職場に新しく入ってきた新人さんはきっと新しい環境になかなか慣れずに不安に思っているだろう」などと考えることです。そう思えるからこそ、「不安だろうから優しく話しかけてあげよう」「できるだけ助けてあげよう」などといった相手の感情を理解したり、場の空気を読む行動がとれるのです。
このように相手の立場になって状況を判断することは、今まで人特有のものだと思われていました。しかし、今回の実験で犬たちも実は誰か別の存在の立場や視点から物事を考えられることが分かったのです。
暗闇の中でえさを取るか取らないかは、人間ができることに比べればもちろんシンプルなこと。それでも、少なくとも3~5歳程度の子ども並みの能力を犬たちは備えているという事実には本当にびっくりです。ピュアな瞳からは想像もつきませんが、何も考えていなさそうで実は人の視線を気にしながら毎日を生きているのかもしれません。