蚊を介して感染する恐ろしい病気「フィラリア症」、その予防方法と治療方法

蚊を介して感染する恐ろしい病気「フィラリア症」、その予防方法と治療方法

フィラリア症は、寄生虫である「フィラリア」の幼虫が蚊を介して犬に寄生することにより発症します。フィラリアの幼虫は犬の体内で何年も生きながらえ、成長して成虫になります。フィラリアの症状は大変悲惨で、放置すると死に至る、恐ろしい病気です。 フィラリアに感染させない方法、感染してしまったときの治療についてまとめます。


ペット(犬・猫)のフィラリア感染のしくみ

蚊に刺されることにより感染します。
フィラリアの幼虫を体内に含んだ蚊が犬を刺すと、幼虫は犬の体内に侵入します。幼虫は犬の体内で徐々に成長しながら心臓にたどり着き、心臓や肺動脈に寄生します。さらにそこでも成長して成虫になります。成虫になると、心臓内に数年生きながらえると言われています。

他の犬にも感染する?

フィラリアに感染した犬と一緒にいても、感染する心配はありません。
フィラリアに感染した犬を蚊が刺すと、フィラリアの幼虫も蚊が吸い込んでしまいます。その蚊が他の犬を刺すことにより、その犬もフィラリアに感染してしまいます。

外飼いの犬は特に注意が必要

いつも外で暮らしている外飼いの愛犬は、蚊に刺される機会も多く、感染の危険が室内飼いの犬より高くなりま

ペット(犬・猫)のフィラリアの症状

寄生しているフィラリアの数などによって、症状は異なります。
初期段階や、寄生するフィラリアの数が少ない場合、あまり症状らしい症状は見られませんが、病気が進むと、次のような症状が順々に出てきます。
・咳き込む
・息が切れて元気がない、散歩に行きたがらない
・水をよく飲む
・急に痩せる
・腹水がたまる
・肝臓・腎臓障害
・尿の色が赤みを帯びる

まれに、急性フィラリア症と呼ばれる症状(赤みを帯びた尿、呼吸困難など)を起こして突然死んでしまうこともあります。

フィラリア症の診断方法

フィラリアに感染しているかどうかは、採血して様々な検査で確認します。

予防が最大の防御になる

予防の大切さ

これまで説明してきたように、フィラリア症は非常に恐ろしい病気です。感染すると、完全に治療することは難しく、何年もの間治療が必要となる上、愛犬の体にもダメージを与えます。
治療が難しい一方、予防手段を講じれば、ほぼ完全にフィラリア感染を予防することができます。室内飼いだから大丈夫、ということはありません。愛犬の命のために、毎年必ず予防を実施してください。

予防の前には、必ず事前検査を!

フィラリアの予防薬を与える前には、必ず事前検査が必要です。フィラリアに感染している状態で予防薬を与えると、体内のフィラリアの幼虫が大量に死に、犬がショック状態におちいる危険があり、最悪の場合は死にいたることもあります。

フィラリアの予防方法

獣医師の指示に従って、フィラリアが寄生しやすい一定期間、毎月1回予防薬を飲ませます。

犬が蚊に刺されてフィラリアの幼虫が体内に入り込み、血管に達するまでに、約2ヵ月ほどかかります。月に1回の投薬で、血管に達する前の幼虫を一斉に駆除し、フィラリアを予防するしくみになっています。

フィラリア予防薬の投与期間は、地域によって異なります。これは、蚊が繁殖する温度域が地域で変わってくるためです。めやすとしては、4月末~11月頃が蚊の活動期間です。蚊の活動期間の1ヵ月後から予防を始め、活動期間の1ヵ月後までは予防を続けます。

フィラリアの予防は必ず獣医師の指示に従うこと!

フィラリア予防薬は、薬事法により、処方に獣医師の指示が必要な薬です。個人で購入して個人の判断で飲ませることは、絶対にしないでください。非常に危険です。
また、投与期間についても、獣医師の指示に必ず従ってください。最後の1回の投与を怠ったばっかりにフィラリアに感染してしまう犬も多いのです。

もし感染してしまったら。治療方法はある?

フィラリア症の治療は、寄生しているフィラリアの数、犬の体力や年齢、犬の体重などにより、慎重に行う必要があります。熟練した獣医師とよく相談し、指示に従ってください。

フィラリアを駆除しつづける

蚊の活動期間以外も、フィラリア予防薬を投与しつづける方法です。投与の頻度は、毎日、1日おき、月1回など、状況によりさまざまです。
ただし、寄生しているフィラリアが多い場合、死滅したフィラリアが血管や肺動脈に詰まったり、ショック状態におちいり、命の危険にさらされることもあります。ショック症状の予防のために、ステロイド剤を併用するなどの処置がとられることもあります。

外科手術

急性の症状が出た場合の緊急措置として、手術により心臓内のフィラリアを取り出します。

フィラリアの対症療法

寄生しているフィラリアの数が多かったり、犬の体力に問題があるなど、予防薬を使えない場合は、対症療法で症状を緩和します。

きちんと予防していても、少しの油断で愛犬がフィラリア症にかかってしまうこともあるかもしれません。また、保護犬は劣悪な環境で暮らした過去があったり、野良犬だった子もいますので、引き取った時点でフィラリアに感染している場合もあります。著者の愛犬も元保護犬で、フィラリア治療中です。
愛犬がフィラリア症にかかったからといって、絶望しないでください。ここで紹介したように、症状が進むと非常に悲惨な状況になり、完治も難しい病気です。しかし、根気よく何年も治療を続ければ、いつかフィラリア陰性に転じる望みもあります。
しかし、なんといってもフィラリア症は、まず予防。これが大前提です。予防をきちんとしていれば、感染することはありません。今あなたの愛犬がフィラリアに感染していないなら、絶対に感染させないように、どうかしっかりと守ってあげてください。

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