犬のトラブル!その事例と損害賠償請求について

犬のトラブル!その事例と損害賠償請求について

こんにちは!NPOイヌネコライフネットワークえひめに参加しているZOE-AMJPです。 もしもあなたが飼っている犬が、他人やよその犬に危害を加えてしまったら…。 だれが責任を負い、どのような処罰が下るのでしょうか。 犬を飼ううえで、知っておかなければならないことをまとめました。


犬が起こしたトラブルはだれの責任?

犬がご近所の方に咬みついた!!大変な出来事ですよね。
私も幼いころに秋田犬に顔を、柴犬に腕を咬まれたことがあります。
秋田犬に咬まれたときは、多分現在だったら新聞沙汰だったであろう重傷でした。
ですが、今から30年前ですし、命に別条がなくて良かったね、といった感じでした。

でも、現代ではありえない話で、場合によっては事件として扱われますし、その責任は全て飼い主が負うことになります。

犬による咬傷事件発生の数

環境省によれば、昭和49年以降の犬による咬傷事件の発生件数は、昭和49年が16,000件以上で、それが年々減少し、平成26年度は4,000件と、1/4になっていることがわかります。

そして、その8割以上が、畜犬登録済みの飼い犬によるもので、その被害者は9割以上の確率で飼い主やその家族以外の人なのです。

また、事件が起こった場所についてですが、公共の場所(道路など)での被害が、犬舎の周辺での事故のおよそ2倍であることから、事件が起こった場合高い確率で他人が被害に遭うということがわかります。

実際に起こった犬の咬傷事件

最近でも、高齢男性が飼育するドーベルマンが逃げ出し、警察官も逃げ惑うといった映像が報道されましたね。
小型犬ならまだしも、大型犬が逃げ出したら大変な恐怖を周囲に与えてしまいます。

では、実際にあった事件の詳細をみてみましょう。

土佐犬が散歩中のプードルとその飼い主に咬みつき、ケガを負わせた事件

2016年4月8日、横須賀市の住宅街で、散歩をしていたプードルが、遭遇した土佐犬に突然襲われ、首を7針縫う大けがをしました。
また、プードルの飼い主の女性も、手を咬まれケガをしたとのことです。

当時、土佐犬は50代の男性がつれており、突然のことで制止出来なかったとのことです。
その後、男性は書類送検されています(罪状は不明ですが、おそらく重過失かと思われます)。

報道によると、実はこの飼い主の男性は以前からこの土佐犬に対してしつけをしておらず、何度も近隣の住民に迷惑をかけていたとのこと。

男性の職業なども関係して、近隣の方も何も言えないままきていたようです。

誤解のないようにですが、土佐犬は本来、普段はおとなしいです。私も親戚に土佐犬を飼っている人がいるのですが、誰に対しても穏やかで、小さな犬や子供にも愛情深く接します。

人間のしつけができていないからこそ、起こる悲劇であることは理解しておく必要があります。

紀州犬が脱走し、通行人二人にかみつき、その後射殺…

警察官が13発発砲したということで覚えている方も多いかもしれません。
千葉県松戸市で、紀州犬が脱走し、通行人ら二人を咬みました。
飼い主の71歳の男性が取り押さえようとしましたが失敗し、駆けつけた警察官が飼い主から射殺しても良いと許可を得て、発砲。
13発のうち3発があたり、紀州犬は死亡しました。

本当にやるせない悲しい事件ですね。
この紀州犬は、近所の人が口をそろえて「劣悪な環境にいた」というほど、悲惨な生活を強いられていたそうです。
脱走しているのを見た住民は、「やっと自由になれたんだ」と思ったほど。

長年のひどい環境で飼い主から暴力まで受けていたこの紀州犬は、人の優しさなど知らなかったのかもしれませんね。
どれだけおびえていたのかと思うと、かわいそうでなりませんし、咬みつかれた方々も非常に怖かったことと思います。

ボルゾイ6頭が脱走

2016年9月、福岡県でボルゾイ6頭が脱走し、1日経ってすべて捕獲されましたが、市内で4匹の犬が咬まれるなどしていて、そのうち2匹が死亡していました。

飼い主は80代(!)の女性で、なんと15頭のボルゾイを飼育していたとのことですが、さすがに15頭は多すぎると思いますし、普段の世話は誰がしていたのでしょうね。
80代の女性が一人で15頭の散歩が出来ると思えませんし、その飼育状況も気になります。

脱走して問題を起こしてしまう犬は、どの犬も飼い主との関係や環境に大きな問題がある場合が多いように思います。

遊びで脱走した、というより、本気で逃げだしたのだと思います。
だから、攻撃的になってしまうのかもしれませんね。

損害賠償請求にいたった事例

比較的ケガが軽かったとか、被害者側にも大きな落ち度があったなど、被害に遭われた方と示談が出来れば一番良いことです。

でも、対応を間違えたり、どんなに謝罪をしてもごめんなさいでは済まされないケースも多いのです。

実際に損害賠償請求にいたった場合、どれだけの額が請求されるのでしょうか?

有名俳優夫妻のドーベルマンの事件

人気の高い俳優夫妻が飼育するドーベルマンが、同じマンションに住むデザイナーの妻にかみつき、太ももに大けがを負わせてしまいました。

2011年、散歩のために夫妻の娘がドーベルマンをマンションの共有部分に連れ出したところ、突然リードを振りほどき、1つ上の階のフロアで、同じマンションに住むデザイナーの妻にかみついてしまったのです。

その後、慰謝料や治療費を支払うことで夫妻と被害者側は示談成立していましたが、被害者が現場を通るたびに気分が悪くなったりしたため、これ以上住み続けられないと定期賃貸契約であったが退去。
その際、不動産管理会社は違約金を免除しました。

その後、不動産管理会社は、被害者が引っ越しせざるを得なくなった原因が俳優夫妻にあるとして、本来ならば受け取れたはずの家賃5000万円以上の損害賠償請求をおこしました。

裁判では、減額にはなったものの俳優夫妻の管理に問題があったとして、400万円弱の賠償命令が出ました。

甘く考えないで!犬の鳴き声で損害賠償

犬によっては、来客があったり、寂しい時などに吠え続ける場合があります。
我が家の犬たちはほとんど吠えませんが、それでも興奮したら吠えますし、夜中でもけんかし始めて一時的に吠えることはあります。

問題になるのは、そんな一時的なことではなく、早朝や深夜など常識的に考えて就寝中の人が多い時間帯に、連続して一定時間吠え続ける(3分から5分)状態を放置すると、損害賠償請求された場合、認めらる可能性が高いです。

渋谷区の事例ですが、アパートに住む住民と、その大家さんが、アパートの前に住むピレネー犬の飼い主に対して、鳴き声を放置したとして損害賠償請求をおこし、住民1軒当たり30万円、大家さんに対して32万円の損害賠償請求が認められています。

このケースは、何度も住民側が苦情を訴えたにもかかわらず、改善されないばかりか、飼い主の対応にも不備があったためにやむなく訴えたといったところです。
きちんと対応していれば、円満に解決できていたかもしれません。

鳴き声なんて、しかも5分くらい・・・と思ってはいけません。
5分というのは長いです。それが早朝深夜、毎日続くとなるとかなりの精神的ダメージと言えるでしょう。

騒音問題は放置せず、しかるべき対応をとりましょう。

直接咬んでいなくても、脅かすこと自体で損害賠償請求

71才の女性が自宅前で立っていたところ散歩で通りかかった犬が突然吠え、女性は驚き転倒。足を骨折し7ヶ月の通院治療。ラブラドールのメス1.5才リードは付けていた。
被害者の請求額 3400万/結果440万 (横浜地裁 H13.1.23)

判決:飼主は犬がみだりに吠えないよう調教する義務がある

リードにつながれ、特に落ち度もなさそうな事案ですが、こんなに多額の賠償命令が出るのですね。

もちろん、被害者が犬の嫌がることをしたとか、落ち度がある場合は減額されたり訴え自体認められない場合もあるでしょうけれど、このケースの場合は吠えぐせがあったのかもしれないですね。

大型犬は声も太いですから、驚く人もいるでしょう。
無駄吠えはさせないようにしなければなりません。

万が一に備えよう!犬のトラブルをカバーする保険

犬が他人にけがをさせたり、ものを壊したりした場合に、相手から損害賠償請求があったらどうしましょう?

最低限の責任として、誠意をもって対応し、相応の慰謝料や原状回復費用の負担はすべきです。
しかし、場合によっては高額な請求になる可能性もあります。

そんな時にカバーしてくれる保険があります。
それは、「個人賠償責任保障」という保険です。

これは、特別な保険ではなく、車の損害保険やお子さんが学校で入る団体保険などにもプランとしてついている場合があります。

また、クレジットカードと提携した個人賠償責任もあり、安い費用で高額な賠償にも対応しています。

ただ、病院などで使えるペット保険には、ついていないものがあり、ペット保険に入っているから安心、とはいえません。逆に言えば、個人賠償のためにわざわざペット保険に入る必要もないということです。

どなたも、何かしらの損害保険には加入していると思いますので、そのプランを調べ、ついているかどうかを確認しましょう。
ついていなければ、特約としてプラスするか、新たにプランを検討して加入するのが良いでしょう。

現在では、犬のトラブルが招いたケガや死亡事故には高額の賠償責任が生じるケースが増えています。
被害に遭われた方からすれば、お金の問題ではありませんが、今の日本では誠意と謝罪と責任は、お金でしか示すことは出来ません。

日ごろからのしつけ、それと同時に万が一のために、個人賠償責任保障には必ず加入するようにしてください。

関連するキーワード


トラブル

関連する投稿


健康的にダイエット!犬の正しいダイエットの仕方とは?

健康的にダイエット!犬の正しいダイエットの仕方とは?

喜ぶからとおやつをたくさん与えていたら、いつの間にかコロコロに太っていたなんてことはよくある話です。犬のダイエット、正しい仕方はご存じですか?


犬のお食事 おすすめ食材【れんこん】

犬のお食事 おすすめ食材【れんこん】

犬のお食事を用意する時に、トッピングのレパートリーがないなぁという悩みはありませんか?おすすめ食材「れんこん」についてまとめてみました。


ツライ症状をなんとかしてあげたい!犬の薬の飲ませ方

ツライ症状をなんとかしてあげたい!犬の薬の飲ませ方

犬に薬を飲ませる時、苦戦している飼い主さんはいませんか?犬の薬の飲ませ方と注意すべきポイントをチェックしてみましょう!


GoProで愛犬の世界を体験しよう!

GoProで愛犬の世界を体験しよう!

犬の世界ってどんな感じ?と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。そんな気持ちに応えてくれるカメラがあります。さぁ!GoProで愛犬と世界を共有しましょう!


【簡単&格安】ペット用消臭剤を手作りしよう!

【簡単&格安】ペット用消臭剤を手作りしよう!

ペットを飼っているとおしっこや毛の臭いで悩む飼い主さんも多いものです。今回は、簡単&格安でペット用の消臭剤をハンドメイドする方法をお伝えします。


最新の投稿


絶対ダメ!!犬にアルコールを与えるリスク

絶対ダメ!!犬にアルコールを与えるリスク

人間にとって少量であれば健康にも良いとされるアルコールですが、犬にとってアルコールとはどんな作用があるのでしょうか。危険な犬とアルコールの関係を解説します。


愛犬に白髪が生えた!?知っておきたい犬の毛の退色とは?

愛犬に白髪が生えた!?知っておきたい犬の毛の退色とは?

人が年齢を重ねると黒髪が薄くなり、白髪が生えてきます。この現象は人ならではというイメージがありますが、実は愛犬にも白髪が生えてくることがあります。これを退色と言い、どんな犬でも加齢によって、白髪が増えていくのです。今回は、そんな愛犬の白髪(退色)について、くわしくご紹介します。


愛犬が自分の名前を覚えてくれない!しつけ方法のコツは?

愛犬が自分の名前を覚えてくれない!しつけ方法のコツは?

家族で愛犬を迎えた時に、まずどんな名前をつけようかと一生懸命名前を考えた人は多いのではないでしょうか?しかし、せっかく考えた名前で愛犬を呼んでも、それが自分のことだと認識できていないと悩む飼い主さんもいます。今回は、愛犬が名前を覚えてくれるしつけ方のコツをご紹介します。


犬猫以外のペットを飼う方必見!うちのペットは保険に入れるの?

犬猫以外のペットを飼う方必見!うちのペットは保険に入れるの?

熱帯魚、イグアナ、インコ、フェレットなどいろいろな動物を飼っている方がいるように、犬猫以外のペットを飼っている方はとても多いです。中でも魚類や鳥類は人気です。ただ犬猫以外のペットを飼っていると、ペット保険に入れるのか気になりますよね?この記事ではその疑問を解消していきます。


【困った!愛犬の吠え癖】落ち着きのコマンドを教えよう!

【困った!愛犬の吠え癖】落ち着きのコマンドを教えよう!

こんにちは。愛玩動物飼養管理士のヤナセです。 来客時や留守番、ゴハンや遊びの要求など、ワンワンと吠えはじめたら止まらない愛犬の吠え癖に、悩んでいませんか? 叱っても宥めても止まらない吠え癖には「落ち着きのコマンド」を上手に使って、愛犬の安心の暮らしを守りましょう。