ほとんどの犬は動物病院でストレスを感じている
イタリアのピサ大学が、動物病院へ行った時の犬と飼い主の調査を行いました。調査に協力したのは、イタリアの906人の飼い主です。そのほとんどの人は、自分の愛犬が待合で待っている時から診察中までストレスを感じていると話します。実際どんなデータが出ているのでしょうか?
家を出る前から診察中までストレスだらけ
■診察前までに多くの犬がストレスを感じている
まず、病院へ行くときから考えてみましょう。
7.4%の犬は家を出る前から病院へ行く日には何らかのストレスを感じており、車に乗って病院へ向かうと、40%近くの子が病院へ行くんだと気付いているようです。
そして、病院へ着いた時すでに半数以上の犬はストレスサインを出しており、中に入るとその割合は3/4になります。診察前に大部分の子はストレスを感じてしまっているんですね。
■診察室へ入らない犬、飼い主や獣医師を噛む犬・・・
そして、診察に呼ばれて診察室に入るとき、30%の犬は無理に連れ込まないと入らず、16%の犬は飼い主が抱っこして診察室に連れこまないと入りません。
診察室内では、獣医さんにうなったり噛んだりしたことがある犬は11.2%。そして、6.4%の飼い主は自分の犬に噛まれてしまったことがあると答えています。
早めの段階でストレスを感じている子は、診察時のストレスも大きい傾向もあるようです。
「病院でのストレスに耐えられる犬は1/3」
調査に協力してくれた家の犬の89.9%は、定期的に動物病院にかかっています。飼い主は、自分の愛犬が病院に慣れているだろうと感じているのですが、犬のストレスは非常に大きいようです。
この調査を行ったピサ大学のマリティ博士は「病院での治療や処置のストレスに耐えられる犬は1/3しかいない」と話しています。
家での投薬や処置は難しいが、怒ることは解決にならない
家に帰ってからも問題はあります。約半数の飼い主が家で何らかの投薬や処置をするように病院で指示されます。しかし、その2/3は愛犬が協力しないため投薬や処置が困難であると感じていると答えています。
その時に、犬を叱る飼い主は72.4%。それで何とか投薬を終えられるようです。しかし、博士はこの方法はよくないと言います。協力してくれない犬を怒っても効果は全くないだけでなく、病院での獣医師への攻撃的な態度へとつながってしまうということです。
愛犬を治療に協力させるためには?
■愛犬の心理を理解しよう
では、問題行動を治すためには、どうしたらいいのでしょうか?
まず問題行動をとる犬に対しては、怒っても解決することはできません。何が問題なのかを考え、見つけることが大切だと言います。ストレスを感じる理由、治療を嫌がる理由を考え、それを解決する方法を考えます。フードをうまく使うことは有効な手段です。
解決が難しい場合は行動学の先生に相談するのがいいでしょう。
■子犬のうちに「病院」と「楽しい思い」をリンクさせる
最も理想的な方法は、子犬のうちから病院に慣れさせる方法です。子犬のうちは恐怖心より好奇心の方が強いため、「怖い」という気持ちなしで病院へ行きます。その時に、病院や獣医師など病院のスタッフ、病院での処置と楽しいことが関連付けられると大人になってからもそのイメージで病院へ行くことができます。
■子犬のうちにたくさんシミュレーションをしよう
そのためには子犬のうちに病院へ頻繁に訪れるのがいいでしょう。診察なしでも車に乗って出かけるだけ、病院の前まで行ったり、待合に少し入る出だけでもいいと言います。台の上に乗ること、体温測定や全身を触ることなど病院で行われる処置のシミュレーションも有効です。ただし、嫌がっているのに無理やりやると逆効果になるので、おやつなどを与えつつ、無理のない程度に少しずつ慣れさせてあげることが重要です。
犬の心理を理解して、怒らず正しい対処方法を
病院へ行くことは、何をするのかある程度わかっている人でもストレスを感じるものです。まったく訳が分からず、知らない人がたくさんいる病院へ連れてこられる犬のストレスは非常に大きいんですよ。その時にその子を怒ってしまっては逆効果です。犬の気持ちを理解しつつ、優しく接してあげてください。
まだ1歳未満の子を飼っている場合にはできるだけ病院へ連れていく機会を増やし、そこでいい思いをさせてあげると、病院での人と犬のストレスの軽減につながります。ぜひ、病院を楽しい場所だと教えてあげてくださいね!