健康診断って本当に必要なの?
「うちの猫は元気に遊んでいて食欲もあるから健康診断なんて必要ない」なんて思ったら大間違いです。
■病気は早期発見が大切
人間の病気も猫の病気も、早期に発見して早期に治療を始めることの重要性は同じです。病気が進行してからでは治るものも治らなくなってしまうことが多々ありますし、治療が長引いて猫に余計なストレスを与えたり、治療費の面でも大きな違いが生じます。
■猫は我慢強いから病気に気づきにくい
猫は気まぐれな面ばかり強調されますが、実はとても我慢強い動物。かなり具合悪くならないと目立った症状が現れないので、普通の健康状態に見えるのです。ぐったりして大好物にも関心を示さなくなった時には、もう病気がかなり進行している可能性があります。
■健康時のデータを把握しておく
健康な状態で定期的に検査を受けていると、病気の時に役立ちます。何の検査をしても平均値というものはありますが、個体差があります。その猫の平常時の値と比較することによって、今の値が異常かどうかを判断できるのです。心臓が以前と比べて肥大している、腎臓の働きが落ちている、赤血球の数が減っている、などなど、比較のためのデータを把握しておくという役割も健康診断にはあります。かかりつけの病院があって主治医が決まっていると、さらに良いでしょう。
どんな検査をするの?
年齢によって必要な検査は違います。あまり早いうちから必要のない検査まで受けさせると猫のストレスになります。主治医の先生と相談して決めましょう。
■身体検査
体重測定、検温、聴診器で心音を聴く、歯肉やお腹や肛門の視診や触診などは、どの病院でも基本的には受診する度に診ていただける範囲でしょう。急激に体重が減っていないか、体表にしこりがないかなどは、特に大切なチェック事項です。
■血液検査
血液中の赤血球、白血球、血小板を測定する「血球計算」では、貧血や白血病がわかります。血液中の化学成分を分析する「化学検査」では、肝臓障害や腎機能低下など臓器の異常がわかります。糖尿病や高脂血症もこの血液化学検査で発見できます。
■尿検査
尿のpH(酸性度)や糖、比重などの検査と、顕微鏡による細菌や結晶などの検査です。尿路結晶、尿路細菌感染、腎臓病、糖尿病などが発見できます。猫は腎臓病になりやすいので大変重要な検査です。
■便検査
便のニオイや固さの検査と、顕微鏡による細菌や寄生虫などの検査です。消化不良、猫回虫やトリコモナスなどの寄生虫感染、腸内細菌叢のバランス不良などがわかります。
■レントゲン検査
レントゲンを照射して体の内部を写し出し、肺、心臓、腎臓、肝臓、消化管、骨などの大きさと形を検査します。横隔膜ヘルニア、肺水腫、胸水、腹水、肺がん、腎臓の腫大と縮小、尿路結石、関節炎などが発見できます。
■超音波検査(エコー検査)
超音波をお腹や心臓にあてて、臓器の大きさ、形、動きなどを検査します。レントゲン検査よりもお腹と心臓を詳しく調べるために行ないます。肥大型心筋症や尿路結石などが発見できます。
健康診断の頻度は?
年齢によって違います。猫のライフステージに合わせた頻度を保ちましょう。
■子猫の場合
生まれてから1歳くらいまでは、できるだけ頻繁に獣医さんに診ていただきましょう。抵抗力が弱いので、ちょっとしたことが命にかかわこともあります。
■成猫の場合
成猫になっても、一年に一度の健康診断は欠かさないようにしましょう。ワクチン接種で病院に行く時に健康診断もお願いするようにすると忘れませんね。