犬のワクチンはいつ、何回接種する?ワクチンの種類も交えて解説します

犬のワクチンはいつ、何回接種する?ワクチンの種類も交えて解説します

犬のワクチン接種はとっても大事。でもワクチンの種類なんてよく知らないし、いつ接種すればいいの?そんな人も多いでしょう。そこで、ワクチンの種類、打つべきタイミング、そもそもワクチンとは?についてまとめました。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。

犬にも人間と同じように病気にかかりにくくするための予防接種が存在します。特に狂犬病のワクチン接種は法律で義務付けられていて、1年に一度の接種が必須です。しかし、他のワクチン接種については推奨に留まっているため、飼い主の裁量に任されている部分が大きいです。とはいえ、愛犬を様々な病気から守るためには、ワクチンの接種は必要です。そこで、あまりよく知られていないワクチンの種類、打つべきタイミング、接種の回数についてまとめました。

愛犬のワクチンってなんだろう?

まずワクチンとは何かを知っておきましょう。ワクチンは弱ったウイルスや病原体を体内に入れることで、その病気に対する免疫を強化することです。
よく、一度かかった病気にはかかりにくくなる、なんて言いますよね。一度体内に入ってきた病原体の情報を体は覚えており、もう一度入ってきた場合には、その情報などを活用して迅速に病原体を撃退するのです。この仕組みを専門用語で免疫記憶と言います。
ワクチンはこれと同じフローを人為的に行うのですね。また、弱った病原体を注入するので、病気が発病することなく免疫記憶を行えるのが、ワクチンの最大のメリットです。

1年に一度の接種が義務の狂犬病ワクチン

狂犬病はいまだ効果的な治療法が確立されておらず、もし発病してしまうと死亡率が100%のとても恐ろしい病気です。また、狂犬病は狂犬病ウイルスを持った犬に噛まれると人にも感染し、発病すると同じく致死率が100%で助ける方法はありません。
日本国内で狂犬病が発生しないようにするため、犬の飼い主は生後91日以上の犬に、1年に一度のワクチン接種を行うことを義務付けられています。

では、どこで狂犬病のワクチン接種を行えばいいのでしょうか?まず、1回目は動物病院での接種になります。どこの動物病院でも狂犬病のワクチン接種は行っているので、かかりつけの先生にお願いするといいでしょう。
狂犬病ワクチンを接種したあとは、ワクチンの接種証明書を持って自分の住んでいる自治体の役所や保健所に行き、飼い犬の登録を行います。この登録も飼い主の義務なので、忘れないようにしましょう。
すると次の年から、狂犬病予防接種の案内ハガキが送られてきます。予防接種は各自治体が日にちを決めて、集団接種を行っているので、ハガキを持ってワクチン接種に行きましょう。時期は4月から6月です。
また、集団接種の日に都合が悪く参加できなかった場合でも、動物病院に行けば接種してもらえます。接種後にもらった鑑札と注射済票は忘れず首輪などに付けておきましょう。

狂犬病以外のワクチンについて

狂犬病以外のワクチン接種は必須ではありません。しかし、飼い犬の病気のリスクを減らすためにも混合ワクチンの接種をお勧めします。また、ワクチンの対象になっている病気には感染性が高いものや人に移るものもあります。飼い犬が他人に迷惑をかけないようにするのは飼い主の義務ですから、そういった意味でもワクチン接種は必要でしょう。
とはいえ、混合ワクチンにはいろいろな種類があり、どれを接種すればいいのかいまいちわからないもの。そこで、一般的に使用されているワクチンをご紹介します。また接種のタイミングなどもここで知っておきましょう。

2種混合ワクチン

2種混合ワクチンは犬ジステンパーと犬パルボウイルス感染症の予防ワクチンです。犬の病気の中でも特に重篤になるもので、感染性が高い病気に絞ったワクチンですね。
しかし、この2種だけでは不十分なことが多く、これだけを接種するのはあまりお勧めしません。接種費用は6000円前後です。

5種混合ワクチン

上記の2種に犬伝染性肝炎、犬伝染性喉頭気管炎、犬パラインフルエンザのワクチンを追加したものです。これにさらに犬コロナウイルスを加えた6種混合ワクチンを接種するのが一般的です。費用は8000円前後です。

8種混合ワクチン

6種混合ワクチンに犬レプトスピラ感染症の2種を加えたワクチンです。こちらをお勧めしている獣医さんもいます。どの混合ワクチンを接種するかは獣医さんと相談して決定するといいでしょう。
8種混合の費用は10000円前後です。

混合ワクチンの接種のタイミングは?

では混合ワクチンはいつ打つのが効果的なのでしょう。一般的には生後40~60日に1回目、その1ヶ月後に2回目、さらにその1ヶ月後に3回目の接種をし、それ以降は1年に一度の接種を勧めている獣医さんが多いでしょう。
ワクチンの効果はずっと続くわけではなく、時間が経つにつれ低下してしまうので、定期的にワクチン接種を行う必要があるのです。
また、子犬は最初のうちは母乳からもらった免疫を持っているので、ある程度の病気への耐性がありますが、この免疫は生後2か月程度で消失してしまいます。そのため、生後40日前後でワクチン接種が必要になるのですね。

まとめ

愛犬を病気から守るためにも、周囲の人や犬に迷惑をかけないためにも、ワクチン接種は必要です。成犬になってから初めて接種しても十分に効果はありますから、忘れていた人やこれまでワクチン接種を行わなかった人も動物病院で相談してみましょう。

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