犬に服を着せるのは虐待?! 服を着せるメリットとデメリット

犬に服を着せるのは虐待?! 服を着せるメリットとデメリット

犬種問わず、愛犬に服を着せてオシャレを楽しむ飼い主さんが増えていますね。しかし、犬に服を着せる必要はない! という声も聞かれます。犬にはそもそも服を着る習慣がありません。また、服を着せたために起こる病気もあります。犬に服を着せるメリットとデメリット、着せる時の注意点を考えてみませんか?


こんにちは。小動物看護士(ドッグシッター/小動物介護士)の須永智尋です。愛犬にかわいい服を着せてオシャレさせたい! そう思う飼い主さんが増えていてペットショップなどでも可愛い服が多くみられます。服を手作りすることを楽しみにする方もいますが、そもそも犬に服は必要なのでしょうか? 犬に服を着せることのメリット・デメリットを考えてみました。

基本的に犬に服は不要

皆さんもご存知のとおり、犬には服を着る習慣がありません。服を着せるのは飼い主の都合になりますよね。

犬の被毛は皮膚に近い場所に密集して生えるアンダーコートと、長く伸びて体を飾るオーバーコートの2種類あります。多くの犬がこの2種類両方を持つダブルコートです。

寒い地域原産の犬は多くがダブルコートで年2度、換毛期という毛が生え替わる(毛がたくさん抜ける)時期があります。

一方、犬の中には、プードル、ヨークシャーテリア、マルチーズ、パピヨン、グレートデンなどのように、シングルコート(オーバーコートのみ)の犬もいます。

温かい地域原産の犬に多くみられますが、こちらは換毛期がありません。抜け毛が少ない、と言われる犬種がシングルコートと思っておくといいかもしれませんね。

この被毛が水濡れや紫外線、草木などの物理的な刺激、寄生虫などから皮膚を守っています。様々なカラーや模様の被毛が服の代わりといってもいいでしょう。

豊かな被毛に覆われた体にさらに服を着せるというのは「オシャレに見える」という飼い主さんの満足以外にメリットがない! という声も聞かれます。

何枚も服を重ね着するようなことが果たして犬にとっていいことなのか。よく考えてから着せるようにしたいですね。

服を着せるメリット

では、犬に服を着せるメリットはゼロでしょうか? オシャレ・カワイイということもありますが、機能的なメリットもあります。

被毛を守る

プードル、ヨークシャーテリア、ポメラニアンなど、美しい被毛が自慢の犬に服を着せると、毛が汚れたり、ちぎれたりするのを予防できます。

被毛が汚れるとこまめに汚れを拭ったり、洗う必要があります。洗うと密集して生える犬の毛は乾燥させるのに時間がかかりますよね。この負担を軽減するのに服は役立ちます。

皮膚を守る

皮膚にトラブルがある場合、掻いたり、舐めたりすることで傷や炎症の治りが遅くなったり、二次感染を起こす危険があります。

また、トリミングの方法によっては(例えばサマーカットなどでは)露出する皮膚の面積が広くなり、紫外線や物理的な刺激がボディに直接伝わってしまいます。このような場合は服を着せて皮膚を守ってあげたいですね。

スポーツを楽しむ

海外では、愛犬と一緒にトレッキングなどハードなスポーツを楽しむ習慣があります。舗装されていない野山を移動するため、犬の足などを保護するためにクツを履かせたり、全身を覆うボディスーツのような服を着せることがあります。野外スポーツを存分に楽しむためには、愛犬の安全面で服や靴は欠かせません。

防寒のため

元々、犬は狩猟や牧羊などの目的で、その土地に合うように改良されてきました。しかし今では土地・環境・気候など無関係に愛玩目的で犬を飼うようになっています。このため、犬に合わない気候の下で飼うケースがあります。

温かい地域で改良が重ねられた犬を寒冷地で飼う場合は寒さ対策が欠かせません。寒さ対策として服を着せることがあります。

服を着せるデメリット

服を着せるメリットがあれば、デメリットもあります。

・犬にストレスを与える
・通気性が悪く、皮膚病の原因になる
・サイズが合っていない、生地が硬い、といった理由で皮膚が傷付く
・寄生虫が繁殖する
・ボタンやレースなどを犬が囓って誤飲の原因になる
・体温調節ができず、熱中症の原因になる

まず、犬にとって服がストレスになることを忘れてはいけません。そして、犬の皮膚はデリケートで、通気性が悪く湿度が高くなると皮膚病の原因になります。

サイズが合わずに擦れると被毛や皮膚が傷付きますし、洗濯を怠ると寄生虫の繁殖地になってしまいます。さらに、カワイイから、といってボタンやレースなどがたくさんついた服を選ぶこともあると思いますが、こうした装飾品は犬が誤飲する危険があります。

もうひとつ、犬は体温調節が苦手です。体温上昇に鈍感で、温かな室内に居るときに服を着せていると犬が「暑い」と訴えてきた時には既に熱中症になっているケースもあります。

充分に気を付けて服を着せなければ、病気やケガの原因になってしまいます。デメリットを知った上で服を着せるようにしてくださいね。

服を着せるなら、まず練習を

犬に服を着せる場合は、まず、リボンを首に巻く所からスタートしてください。リボンが平気になったら、スカーフのような面積の狭い装飾品を付けてみましょう。

少しずつ面積の大きなものにしていき、徐々に「服を身につけている感覚」に慣らすようにしてください。

不妊手術をしていないメスであれば、服を着せなくてもサニタリーパンツを履かせることがありますよね。パンツを練習に取り入れるのもいいですね。

オスでもマナーベルトがありますし、これをオシャレのとっかかりにするのも手だと思います。

服を着せる時の注意点

愛犬に服を着せる場合は、犬に負担をかけないことを第一にデメリットを知った上で着せてくださいね。

・犬のサイズをきちんと測る
・サイズが合った服を着せる
・ルールを決める(散歩の時に着せる、トレーニングの時に着せるなど)
・服を衛生的に保つ
・服を着ないフリーな時間を作る

人でもサイズが合わない服を着ることは負担ですよね。服のメーカーによってサイズの表記や設定が異なります。飼う前に服のサイズと、愛犬のボディサイズ(cm)を比べて体に合うものを選んであげてください。

また、これを着たらトレーニング、これを着たら散歩、といったように「生活にメリハリを付けるための着る」というのもアリです。ワーキングドッグの中には「このエプロンを着けると仕事モードに気持ちを切り替える」という犬がいます。犬のしつけに服を活用することもできます。

そして、何も身につけずにリラックスできる時間も大切です。愛犬には必ずフリーな時間を作ってリラックスさせてあげましょう。

ムリなく服を楽しもう

犬には服を着る習慣がありません。被毛のケアをこまめに行い、その機能で体を守ることを優先にしてあげてください。

ただ、トリミングの仕方、皮膚病、被毛ケアなど、服を着せることにメリットがあるケースもあります。こうした時はデメリットを頭に入れた上で、できるだけ愛犬に負担がかからないような方法で服を活用してあげてください。

上手に服を活用し、大きなメリットを得られるようにしたいですね。

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