猫の多頭飼育。2頭目の迎え方、準備と実例

猫の多頭飼育。2頭目の迎え方、準備と実例

今猫がいるけれど、もう1匹いたらいいな、と考えることもありますよね。でも一番気がかりなのは、先住の猫が受け入れてくれるかどうかだと思います。私自身も多頭飼育ですが、最初に2匹目の猫を迎える時にはとても悩みました。2匹目を迎える際に準備しておくことと、2匹目を迎えた人たちの実例を、動物保護施設元職員がまとめました。


2頭目の猫を迎える決断は慎重に

先住猫のストレスを考える

もう1頭猫を迎えたいと考える理由は様々だと思いますが、一番に考えて欲しいのが、先住の猫のストレスです。

猫は縄張りを持つ生き物なので、先住の猫にとって他の猫が来るということは、縄張りを侵されるということになります。

先住の猫にとって、もう1頭猫がいる状態が本当によいのかどうか、今一度慎重に考えましょう。

先住の猫が高齢なら特に慎重に

時たま、猫が高齢になったから自分のペットロス防止のためにもう1頭迎えたいという人がいます。

高齢の猫はできるだけ穏やかに過ごしてもらいたいものです。
大きな環境の変化や、2頭目を迎えるというストレスの原因は、できるだけ作らないのが望ましいでしょう。

猫の性格にもよりますので一概には言えませんが、長年暮らしていた家に突然他の猫がやってきた時に受けるストレスは、高齢の猫の寿命を縮める結果になる可能性があります。

さらに、高齢になると様々な病気になる可能性も高く、介護が必要になるケースもあるでしょう。
その際、もう1頭猫がいても先住猫のケアがしっかりとできるか、よく考えた上での決断が必要です。

先住猫が新入りの猫を受け入れなかった時のことを考える

先住猫が新入りをすぐに受け入れることは期待しないでください。
まず拒絶するのが普通の反応です。

新入りの猫を受け入れるようになるまでは時間がかかります。
受け入れたとしても、仲良くはならないことも想定しておきましょう。
そして、いくら時間を掛けてもどうしても上手くいかない、というケースも考えておかなければなりません。

猫同士の性格によって、ストレスを溜め込んで病気になってしまうケースや、出会うたびに喧嘩をして流血沙汰になるケースもあります。

そのような時「2頭の猫たちにとってどうするのが一番幸せか?」ということを、深く考えておきましょう。

猫の里親になる場合には、2週間ほどのトライアル期間を設けている場合が多いですが、あくまでも、「何があってもその子を手放さず、生涯大切にする」という覚悟で猫を引き受けた上でのトライアル期間です。
決して「試しにちょっと飼ってみて、ダメそうなら戻そう。」という期間ではありません。

また、短いトライアル期間だけでは猫同士が上手くいくかはわからないケースもあります。

トライアル期間には先住猫、新しく迎える猫がそれぞれに強いストレスがかかりますので、トライアルがあるからといって気軽な気持ちでお試しすることはできません。

相性がうまくいく年齢、性別は?

先住の猫は若ければ若いほどいい

猫の社会化期は生後3〜8週齢くらいの本当に短い期間です。
その時期に他の猫との接触が無かった猫は、他の猫と上手くいかない可能性もあるでしょう。

先住の猫が小さければ小さいほど、他の猫が来ることを受け入れられる可能性が高いです。
2頭目を迎えるのは、性成熟する前の6ヶ月齢未満までだと受け入れやすいでしょう。

先住猫と迎える猫の年齢

先住猫の性格と年齢にもよりますが、新たに迎える猫は、先住の猫と同じか、先住の猫よりも若い猫がいいでしょう。

■先住猫がまだ成長過程の子猫の場合

先住猫が子猫であれば、同じくらいの月齢がいいです。
体格差があると、一緒に遊んだ時に一方的にやられっぱなしになる猫が出てしまいます。

■先住猫が若い成猫の場合

先住猫がまだ若い成猫の場合にも、遊んだ時に体格差が出ないように、同じくらいの年齢か、先住猫よりも若い猫がよいでしょう。

■先住猫が中年以上の場合

先住猫が、あまり遊ばなくなってきた場合には、新入りの猫があまり遊び盛りの猫だと、先住の猫にちょっかいを出して、負担が掛かってしまうケースが多いです。

かといって、同じくらいの年齢の猫だと、受け入れがたいことが多いでしょう。

先住の猫が5歳を超えているくらいの成猫であれば、仲のよい子猫を2頭一緒に迎えると、新入りは子猫同士で遊んでくれて、先住猫の負担になりにくいです。

子猫が2頭で遊んでくれれば、人間も子猫にかかりっきりにならずに済みますので、先住猫にたくさん構ってあげることができます。

先住の猫はおおらか?神経質?おっとり?

猫によって、誰とでも上手くいく猫と、誰とも上手くいかない猫、そして特定の猫が苦手な猫と、人間関係のように、様々な性格の猫がいます。

先住の猫が神経質な性格であれば、とても慎重になるべきです。
ストレスを上手く発散させずに溜め込むと、膀胱炎などの病気になることもあります。

原因が特定できない「突発性膀胱炎」はストレスが起因していると考えられており、猫にとても多い病気です。

更に、伝染性腹膜炎(FIP)も、ストレスが引き金になると考えられています。
FIPは、発症すると100パーセント死に至ると考えられている恐ろしい病気です。

また、新入りの猫が来たことによってマーキングなどの問題行動が出てくる場合があるでしょう。

先住の猫がおっとりした性格だと、あまりやんちゃな子が来てしまったら負担になるでしょう。

相性がうまくいく性別は?

オスの方がメスよりも縄張り意識が強いため、先住猫がオスであれば、より慎重になるべきです。

相性に関しては、不妊去勢がしてあれば、オスメスではそれほど大きな差は感じられません。
メス同士なら必ず上手くいくということもありませんし、オス同士でも仲良しになることもあります。

2頭目を迎える前に準備すること

隔離できる部屋、ケージ

迎えてすぐに先住の猫に会わせることはせず、しばらくは気配があることが分かる程度に、新入りは別の部屋に分けるのが理想的です。

時間をかけてもどうしても相性が合わない時には、そのまま部屋を分けて飼育することもできます。

更に、ケージがあると新入りの猫が慣れるまでの間の隠れ家になりますし、先住猫との初顔合わせがケージ越しに出来るので、ケージを一つ用意しておきましょう。

隠れ家

慣れてきても、お互いに顔を合わせたくない時もあります。
それぞれの猫が隠れられる、隠れ家を部屋の上の方や下の方に、いくつか用意しておきましょう。
ダンボール箱などでも大丈夫です。

人手の確保

しばらく隔離することを想定し、どちらの猫のことも構ってあげられるだけの人手が必要です。

また、2頭目を迎えてすぐは、ストレスによりどちらかの猫が体調を崩すことも想定されます。
通院や看病が必要な時に、一人でケアしきれないことが無いようにしましょう。

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