手作りごはんとペットフード
犬は昔から残飯処理の役目も担っていて、ドッグフードを与えるのが一般的になる前は、どの家庭でも味噌汁に残ったご飯を混ぜて与えたりしていました。
ですが、1980年代以降、犬を飼う人が増え、また飼い主の意識の変化もあってドッグフードは急速に売り上げを伸ばし、種類や用途も多種多様になってきました。
2000年代に入って、一部の愛犬家、愛猫家の間で「手作りごはんのススメ」といったサイトが見受けられるようになり、レシピ本や手作りごはん用の食材を販売するお店も少ないながらも出てきました。
急速に市場が拡大したことで、粗悪な商品があったり、純血種や難しいタイプの種類の犬猫も一般家庭で飼育されるようになり、アレルギーと体調不良の原因のひとつとして、ペットフードに問題があると考えた人が多くなった時期です。
現在では、ペットフード自体の質も向上し、また、ペット先進国の欧米の商品が手軽に購入できるようになったこともあって、手作りに負けない安心なペットフードも多く存在しています。
今回は、それでも手作りにこだわりたい方に、知っておくべきこと、そして手作りをサポートする商品などをご紹介します。
■手作りごはんのメリットとデメリット
ペットフード(総合栄養食)は、これと水を与えるだけで、犬猫が成長と健康の維持に必要な栄養素を十分摂取できるように考えられて製造されたものです。
現在では、犬や猫の特性や体のつくりなどを綿密に研究したものが多く、原材料についてもこだわった優秀なものが多く存在します。
手作りごはんは、何よりも自分が製造するという点で、添加物や原材料を把握できる点が最大のメリットです。
また、手作りのごはんを与える「満足感」があります。
しかし、安心であることは間違いないですが、手作りごはん最大のデメリットとして、栄養計算が非常に難しいという点があります。
たくさんある手作りごはんレシピの中には、まるで人間が食べるのかと思うほどの炭水化物を使用していたり、たんぱく質はどこからとっているのだろう?角切り野菜ははたして消化できるのか?そんなレシピも結構存在します。
1992年に行われた、アメリカの獣医師116人を対象にした調査によると、自家製フードを処方した獣医師のうち、犬や猫の栄養要求を満たしていたものは、わずか10%しかなかったそうです(1992, P.Cowell)。獣医師にすら難しいことを、素人が行うのは容易でない事がお分かりいただけるでしょう。
手作りごはんにとって大切なこととは?
手作りごはんを与えるにあたって、大切なことがいくつかあります。
基本的なことですが、案外間違った認識で手作りごはんを与える人もいます。
犬猫にとって、愛情の詰まった手作りごはんが、栄養面も考えられたものであってほしいと思います。
■犬や猫に必要な栄養素を把握する
犬、猫にとってもっとも重要な栄養素は「たんぱく質」です。次に、高品質な脂質となります。
もちろん、ビタミンやミネラルも必要です。
これらをバランスよく、しかもカロリーも計算しなければなりません。
たとえば、成犬時に10キロ程度の柴犬などは、1日当たり30gのたんぱく質を摂ることが理想です。生きていくためだけであれば、半分の15g程度でも病気にはなりませんが、十分な量であるとはいえません。
たんぱく質30gを食品から摂取しようとすると、比較的安価な鶏肉だと200g以上は一日に必要です。
馬肉などのレッドミートはもう少したんぱく質量も多いですが、価格は鶏肉の数倍となります。
体のバランスを整えるビタミンも必須です。
ビタミンB1、B2、B6、B12、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ビオチン、コリン、ビタミンC
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど、何から摂取すればよいのかわからないようなビタミンもありますね。
しかも、不足してもいけませんが、過剰摂取も体調不良や疾病を招くため、適量の摂取が大切です。
ビタミン類やミネラルは野菜や果物などから得るのでしょうか?
しかし犬や猫はそれらの消化が苦手です。せっかく与えても十分な栄養素が摂れるでしょうか?
さらに、健康な皮膚や被毛のために必要なオメガ脂肪酸などをとるためには、魚類も必要ですね。
猫には必須栄養素のタウリンも与えなければなりません。
それ以外にg単位で必要なナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、微量で良いが重要である鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレンがあります。
エネルギー源にするために、炭水化物を与えるケースがありますが、それについては後述します。
■与えてはいけないものを知る
犬猫に与えてはいけないものがあるのはみなさんご存知ですよね。
しかし、その種類は膨大で、なかには加熱すれば与えられるが生ではだめ、特定の品種のみ与えられるが、それ以外はダメなどといったものもあり、完全に把握するのは不可能に近いでしょう。
ですので、あれもこれもとするのではなく、与えても良い食材の中から、普段手に入りやすく、安定して与えられるものをあらかじめ把握しておくとよいでしょう。
■炭水化物の是非
炭水化物は、エネルギーに変わりやすく腹持ちが良いこと、さらに安価に手に入れられること、加工しやすいことなどから、ドッグフードにも使用されます。
主なものとして、米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモなどが挙げられ、これらは比較的安価なペットフードに多く含まれています。
当然、手作りごはんの強い味方と思いがちですが、ちょっと待ってください。
犬、猫は本来炭水化物をそれほど必要としません。むしろ、ゼロでも問題ありません。
これは人間にも言えますが、肥満の原因はカロリーでも脂質でもなく、炭水化物に含まれる糖質です。
この糖質が、急激に血糖値を上昇させることでインシュリンが過剰に分泌され、使われなかったインシュリンが脂肪へと変わるのです。
ダイエット目的で肉を減らすのは、たんぱく質欠乏を招く可能性があり絶対にしてはいけませんし、野菜中心メニューは体への負担が大きすぎます。
そもそも、ダイエットしなけらばならなくなった原因が炭水化物の与えすぎであった場合、肉を減らしその分炭水化物を増やしたりしては、もはや何をしているのかわからないことになります。
また、小麦やトウモロコシはアレルギーを引き起こしやすいため、注意が必要です。
昔から犬も猫も残り物の白ごはんを食べていた、という点から炭水化物を与えても良いと思いがちですが、昭和の時代の犬猫の平均寿命は7歳以下です。
食べ物だけが原因ではありませんが、ペットフードが普及するにつれ、現代の平均寿命は昔のおよそ倍になっています。
手作りごはんでは、塩分の摂りすぎはうるさく言われがちですが、むしろ炭水化物について考えるべきです。
■柔軟な姿勢で取り組む
犬猫への手作りごはんは、人間のそれよりも実はたいへん手間がかかり、また難しいものだということは事実です。
たしかに、何が使われているかわからないペットフードを与えるのは不安だし、毎日毎日同じものを食べさせるのはかわいそう、そういった気持ちもわからなくはありません。
ですが、だからと言ってあきらかに栄養面で成り立っていないものを、愛情の一点だけで犬猫に与えるのは私は間違いだと思います。
100%手作りでなくても、足りない部分はサプリメントやペットフードに頼り、おかず的な意味合いで手作り食を与えるという形でも良いと思いますし、一番には栄養面を考慮してほしいと思います。
何が何でも手作りでなければならないというのではなく、できる部分と出来ない部分を把握して、柔軟な考えを持つことも大切です。
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最後に、手作りごはんをサポートする食材をご紹介します。
魚や肉などのたんぱく源は毎日必要です。でも、その都度カットしたり、ミンチにしたりといったことは手間ですよね。
また、近所のお肉屋さんでは取り扱っていない鹿肉や馬肉など、非常に犬猫に適したたんぱく源もとりいれたいものです。
ビタミンやミネラルを摂取するために、やっぱり野菜も必要。でも、うまく与える方法がわからない・・・
そういった時には、ぜひ手作りを応援する食材をプラスしてみてください。
犬や猫にとって大切なたんぱく質。これらは、高品質なものでなければ、ただの老廃物になってしまい、涙やけや免疫力低下の要因となります。
こちらの骨ごとミンチは、より自然に近い状態でたんぱく質を補給できますし、カルシウムも合わせて摂取できます。
犬猫は、自然界で獲物を捕食した場合、内臓に残った消化途中の野菜などを食べることで、本来なら得ることのない栄養素などを補給します。
野菜や果物は、そのままではほとんど消化できませんし、加熱してしまうと必要なビタミンが溶け出してしまったり、壊れてしまって意味がなくなります。
この商品は、いわば草食動物のおなかの中のものに近く、犬猫の体にも負担が少ないといえます。
こちらは、馬肉メインにベジミストと呼ばれる季節の野菜を独自の製法でペーストにしたもの、それに魚をダイスカットしたものがついた商品です。
ベジミストには、穀物が入っていないのも良いですね(こちらのほかの商品は穀物入りもあります)。
馬肉には、心臓も含まれているため、栄養価も高く手作りをサポートしてくれますよ。
エゾ鹿は高ミネラル、高ビタミンの栄養価の高いお肉で、たんぱく質も豊富に含まれています。
エゾ鹿は野生の生き物なので、抗生物質や薬品などを投与されていないため、安全な食材といえます。