知っておきたいペットの医療保険とペット賠償責任特約

知っておきたいペットの医療保険とペット賠償責任特約

犬や猫のペットには、人間のような公的な健康保険制度がありません。愛犬が怪我や病気になった時には、思わぬ高額の医療費がかかることになります。ペットの平均寿命が延びたのは、医療が進歩したことのおかげですが、人間と同じように長寿社会で安心して暮らしていくための、犬猫専用の医療保険や傷害保険が整備されてきています。


ペット医療保険とは(犬・猫)

犬と猫のみの医療保険で、怪我や病気の治療費を補償するものです。適応する補償は次のものがあります。月払い、年払いがあり、犬猫の年齢によって掛け金が異なり、高齢になると高額になります。また、大型犬の掛金は小型犬より高額になります。ペットの世界では、薬代も火葬代も体重によって価格に差があります。
それでも、老犬の病気は手術や入院治療が必要になる場合が多いですから、安心代として掛けておく飼い主も増えているようです。

医療保険の補償は、通院補償(診療治療代、処置費、処方薬代)、入院補償(入院費用)、手術補償(手術費用、手術時の麻酔費用)が主な3つです。

例えば、小型犬が骨折した場合の入院治療費、手術費用の合計でおよそ21万円ほどかかります。その場合、飼い主は、医療機関に治療費を支払います。その後、加入しているペット医療保険会社に、支払明細書や請求書を揃えて申請すれば、1ヵ月後には、保険会社との契約に従った割合で、病院へ支払った額の50〜80%が戻ってきます。

その他の補償として、お別れペットセレモニーの日の火葬費、事故ケガによる車椅子の作成費用などを補償する保険があります。

※ペット医療保険の特約としてペット賠償責任特約が付帯されているものもありますが、保険会社によって異なる場合があります。

ペット保険に限ったことではありませんが、まず保険は自分が加入する保険の約款を隅から隅まで自分で見て確認することが大切です。保険の契約がどうなっているか把握しておくことがなにより重要です。受け取れると思っていた保険金を受け取れなかったら何のために保険に加入していたかということになってしまいます。

ペット傷害保険とは(犬・猫)

ペット傷害保険は、傷害だけを補償する単独の保険はないようです。ただ、ペット医療保険の特約として付帯された「ペット賠償責任特約」に入っていれば、補償が受けられます。

また、火災保険、傷害保険(普通傷害・交通傷害)、自動車保険の加入者で、「個人賠償責任特約」を付帯している場合も、同様に補償を受けることができます。つまり、加入者である被保険者の所有物である自転車や飼い犬が、何かの拍子に他人や物を損壊した場合に補償が受けられるということになります。(これはペット傷害保険というわけではありません)

個人賠償責任特約の付帯した保険に入っている場合には補償が受けられます。例えば、飼い犬が他人に噛み付いたケース、飼い犬が他人の持ち物を壊したケース、飼い犬が他の飼い犬に怪我をさせたケースなどです。

個人賠償責任特約を付帯する場合の掛け金は月額100~300円ほどです。例えばまず、自動車の任意保険や火災保険や、傷害保険に加入している方は、この特約が付帯されているかを確認しましょう。付帯されてない場合には、保険契約の更新時に付帯してもらうこともできます。

ペット医療保険で補償されない場合

ペット医療保険で補償が受けられない主な条件を見てみましょう。
なかなか厳しい条件ですので、契約する前にはきちんと読んでおきましょう。

(1)去勢手術や避妊手術など、傷病にあたらない入院・手術費の補償は受けられません。

(2)狂犬病予防ワクチンや混合ワクチン接種代、フィラリアとダニの予防薬代など、予防に関するものの費用の補償は受けられません。

(3)ワクチンを接種していればかからない病気、例えば、狂犬病やジステンバーにかかっても、補償は受けられません。

(4)保険契約者または被保険者の故意または、重大な過失によって被った傷病は補償は受けられません。

これらの条件は変更される場合もあります。
ともかく契約の内容をよく確認することが大切です。

また、ペットの医療保険だけでなく、愛犬が他人に噛みついたり他人の物を破損した場合に備えた、ペット傷害保険もあります。飼い犬の起こした事故は、当然飼い主の責任になりますから、ペット傷害保険に入っていれば噛みついてしまった相手への賠償金なども安心です。

ペット賠償責任特約で補償されない場合

ペット賠償責任特約では、次のケースは、被保険者(保険の加入者)には義務が生じませんから、保険会社からの補償は受けることができません。

(4)ドッグランで犬と犬が衝突したり喧嘩をして怪我をしたケースでは補償が受けられません。

(5)飼い犬を他人に預けていた時に起こったケースでは、補償が受けられません。

まとめ

人間の保険も、補償額が決まるまでは領収書を揃えて請求書をつくるなど大変ですが、さらに、保険会社は領収書を精査して、認められない費用は除外されるなど厳しい金額が提示されます。犬の医療保険は、その上に、契約の段階で、50%、70%、100%の補償金額の割合も分かれていて、1ヵ月の支払金額も違ってきます。

犬には公的な健康保険はありませんから、ペット医療保険に加入しペット賠償責任特約を付帯しておくと、安心して暮らせるというメリットは大きいものではないでしょうか。
よく調べてメリットがあると判断できた場合は、加入してみるのも良いことなのではないかと思います。

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