猫エイズって?
正しい知識を持てば、猫エイズはそれほど怖い病気ではありません。
猫エイズについて簡単に知っておきましょう。
■猫エイズ猫のほとんどは、猫エイズを発症していない
猫エイズは、猫免疫不全ウイルス感染症の呼称で、FIV(猫免疫不全ウィルス)に感染することが原因で発症します。
ウィルスに感染後、一ヶ月ほどで数週間から数ヶ月の急性期に入り、急性期を経て無症状キャリア期に入ります。
急性期の症状は軽く(風邪症状など)この時期に死亡することは、小さな子猫や既往症を持っている猫を除きほとんどありません。
無症状キャリア期は長く、一般に猫エイズと呼ばれている猫たちのほとんどは、無症状キャリア期にいる猫たちです。
実際には「猫エイズ」を発症した猫ではなく、発症はしていない、エイズウィルス(FIV)のキャリア状態の猫たちになります。
無症状キャリア期の猫は、一見すると健康な猫と変わりありません。
検査をしなければ、ウィルスのキャリアであることに気がつかない飼い主さんも多いでしょう。
■どうしたら発症するの?
無症状キャリア期から猫エイズを発症するまでには、多くの場合は数年以上のキャリア期が継続します。
この無症状キャリアーの期間は4~5年、場合によっては10年以上続きます。またウィルス増殖は続いていますから、多の猫への感染源になりますから注意が必要です。
ウィルスは、猫の体内でリンパ球を犯し、次第にその機能を奪っていきます。
無症状キャリアー期に進んだ病態が一定限度を超すと免疫不全症候群いわゆるエイズを発症してきます。
■人にうつるの?
人間には感染しません。
人間のエイズの原因となるHIVウィルスとは別物です。
■猫同士の感染経路は?
猫同士では、ウィルスに感染している猫と喧嘩をした咬み傷などから血液を介して感染します。
交尾の際の感染や、母子感染もありますが、最も多いのが喧嘩です。
このウィルスは、感染力が弱いので粘膜の直接的な接触や汚染血液との接触等の直接的接触でうつります。空気感染などはしません。
濃密なグルーミングによって唾液感染することもあるともいわれますが、空気感染はしませんし、人が猫エイズキャリアの猫に触って、それによって他の猫にウィルスが感染するということもありません。
■猫エイズだと長生きしない?
無症状キャリアのまま、天寿を全うする猫が多くいます。
その証拠に、猫エイズキャリアの猫には、高齢の猫がたくさんいます。
猫エイズキャリアの猫がたくさんいるということは、言い換えれば猫エイズキャリアでも生きている猫がたくさんいるということになります。
発症を遅らせて長生きしてもらうためには、ストレスが少ない環境で過ごさせることが大切です。
発症したら、対症療法を行っていきます。
初期の症状としては口内炎が多く、抵抗力の低下が原因で様々な症状が出てきます。
ここで気を付けなくてはいけないのは、エイズウィルスに感染したことが即エイズ発症とはならないことです。無症状キャリアー期とエイズ発症期の端境期では、軽い症状だけを出す場合があります。この軽い症状だけのものはエイズ関連症候群といってエイズそのものとは区別されています。多くのエイズ関連症候群は、適切な治療さえ施せば治療は可能ですし、それが直ちに生命に関わることはありません。
猫エイズの猫がいる保護猫カフェ
保護されて里親を待つ猫の中でも、猫エイズウィルス(FIV)キャリアの猫はたくさんいます。
しかしながらFIVキャリアだと、里親さんが見つかる確率がとても低いのが現状です。
行政の愛護センターでは、FIVキャリアだと発症していなくても高確率で殺処分対象となってしまいます。
そんなFIVキャリアの猫たちが里親さんとの出会いを待ちながら、のびのびと暮らす保護猫カフェがあります。
■ネコリパブリック東京 中野店
全国に保護猫カフェを展開しているネコリパブリックが2016年7月に、猫エイズウィルスキャリアの猫だけがいる保護猫カフェをオープンしました。
場所はサブカルの街、東京の中野。
かの有名な中野ブロードウェイにほど近い場所にあります。
ネコリパブリックでは、猫エイズキャリアの猫を「りんご猫」と呼んで、エイズキャリアでも元気に過ごせることを多くの人に知ってもらい、偏見をなくそうと活動をしています。
猫エイズの猫がいる猫カフェといっても、普通の保護猫カフェとなんら変わりません。
そしてもちろん、よい出会いがあれば猫の里親を申し出ることも可能です。
ネコリパブリックでは、他の店舗でもエイズキャリアの猫がいる場合もあります。
他の店舗では、猫同士の感染防止のために、一部のスペースを「りんご猫」の専用の部屋として分けています。
無茶苦茶くつろいでます。
キャリア同士なら一緒に過ごせます。