犬猫に必要な栄養素について
人間と同じ動物ですが、体を作る上で必要な栄養素が違います。
猫は肉食、犬も雑食といわれますが、もとをただせば肉食です。
また、意識して与えなければならない栄養素もあり、なんでも食べさせればよいというわけではありません。
■体を作る基本はたんぱく質
人間と比べて、猫や犬は腸の長さが短いことはご存知の方も多いでしょう。
反対に、草食動物や私たち雑食の人間は、腸が長く、消化に時間のかかる食べ物も上手に体に摂りいれることが出来ます。
犬や猫は、腸が短いために消化に時間がかかる炭水化物や野菜類の摂取が苦手で、場合によっては体に負担がかかることも。
そのため、犬猫の食事では、良質のたんぱく質を多く含むことが大切になります。
人間と比べると、犬で4倍、猫にいたっては7倍近くのたんぱく質量が必要になってきます。
また、たんぱく質ならなんでもよいかというとそうではなくて、大豆などの植物性たんぱく質より、肉や魚といった動物性たんぱく質からとるべきです。
植物性たんぱく質は体内で利用しにくい側面があるのと、そもそも動物が自然界で大豆をボリボリ食べている姿を見たことがないという点で、動物性たんぱく質の代替品、という位置づけに他ならないからです。
もちろん、大豆の栄養素には犬猫に有益なものもあります。ですが、それらを摂取させる目的でフードが作られているかというと、答えはノーでしょう。ほとんどの場合は、動物性たんぱく質の代替品、もしくは「かさ増し」であるといえます。
■キャットフードとドッグフードは何が違うの?
我が家にも犬と猫がいますが、たまに、キャットフードを犬が盗み食いしていることがあります。
また、犬猫を一緒に飼っている人との話で、ドッグフードが切れたから、キャットフードを代用したら喜んで食べたといった事もききます。
そもそも、ドッグフードとキャットフードの違いは何でしょうか?
大きな違いとして、必要な栄養素に違いがあります。
猫には、体の中で生成できない必須栄養素として、タウリンがあります。
これは、通常動物性たんぱく質を十分に摂っていればある程度は補給できるので、港町に住む野良猫などは新鮮な魚などから補給できます。
しかし、家猫になると自分で餌を選べません。完全室内飼いが求められる飼い猫は、自分で補給しに出かけることもできません。
そうなると、キャットフードにはタウリンが必ず添加されることになるのです。
また、キャットフードはドッグフードに比べて高カロリーであることが多く、さらに猫の性質、味覚の観点から嗜好性も強くなっています。ですから、犬がキャットフードを食べ続けると肥満につながります。
さらに、猫にドッグフードを与えるのは危険です。
そもそも猫がドッグフードを食べるのかな、という疑問はあるのですが、おなかがすいてしまったら食べるでしょう。
しかし、そうすると先ほどの必須栄養素であるタウリンの摂取が猫には不十分となり、猫にとって非常に危険な状態を引き起こします。
免疫不全や発育不全、失明の原因になったり、死に至る危険の高い拡張型心筋症など、恐ろしい病気につながりますので、犬には犬の、猫には猫の専用フードを与えましょう。
原材料を確認するうえで大切なことは?
犬や猫が食べてはいけない食材があるのはみなさんご存知ですよね。
そういったものが専用フードに入っていることはまずありませんが、一見、大丈夫に思えるような当たり前の原材料の中にも、危険が潜んでいることがあるのです。
■犬猫に積極的に摂取させるべき原材料
犬猫共通の原材料として、たんぱく質を供給する原材料(動物性たんぱく質)が必須です。
これらは、肉、魚、卵などがありますが、基本的には肉と魚から摂取するのが好ましいといえます。
ただし、肉(特にチキン)についてはアレルギーなどもありますので、なにの肉なのかといった点も把握しておく必要があります。肉が合わない場合には、魚のみを使用したフードなどもあります。
たんぱく質は非常に重要ですので、袋の裏に記載してある成分保証値を確認し、犬であれば30%~、猫であれば35%~は求めたいですね。
ただし、腎臓や肝機能の思い病気を抱えている場合は、高たんぱく質のフードは良くない場合があるので、獣医師の指示に従いましょう。
また、必須脂肪酸も重要です。
健康な皮膚や美しい被毛を維持するために、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸がバランスよく配合されていることが望ましいでしょう。
こんな原材料は避けたい!注意すべき点
ペットフードには最低これだけの成分、栄養素は必要ですよという最低基準を示したものがあります。
日本のペットフードも多くはこの基準を採用して製造されているので、犬猫が生きていくだけを考えれば問題のない商品ばかりです。
ですが、中にはフードを食べない、皮膚や被毛にトラブルが出るなどした場合は、日々のフードに問題がある可能性があります。
■穀物類、炭水化物類が多すぎる
ホームセンターやドラッグストアなどにある、比較的低価格の商品の中には穀物類や炭水化物の割合が多いものがあります。
これはひとえにコスト削減以外に意味はないといえますが、穀物類、特に小麦やトウモロコシは、アレルギーを引きこしやすい原材料です。
また、炭水化物(穀物、ジャガイモなどの根菜類)のなかでも高GI食品と呼ばれる、血糖値を急激に上げる作用の原材料は、多すぎると肥満の要因となります。
また、原材料表記のルールとして、含有割合の多い材料から順に表記しなければなりません。
表記のトップ1,2が穀物や炭水化物である場合は、相当多くの穀物、炭水化物が使用されているといえますので、判断基準にしましょう。
最近は、このような穀物類を摂取するメリットがないとの考え方から、グレインフリー(穀物類不使用)のフードが海外メーカーを中心に製造されています。
■動物性たんぱく質の原材料がよくわからない
袋に記載されている原材料表示で、「チキン」とか、「サーモン」といった種類の名前があるはずが、〇〇ミールという記載しかない場合は注意が必要です。
ミールというのはいわゆる肉骨粉を示し、その肉骨粉となった原材料については、全てではないにしろ疑問の余地があるからです。
たんぱく質は良質なものでなければ意味がありません。この、〇〇ミールといった表記だけでは、そのたんぱく質が良質であるとどこからも判断できないので、避けた方が良いといえます。
■動物性油脂の由来が不明
犬猫にとって、脂質も重要な要素です。
そしてこれらの脂質も、良質なものを摂取しなければただの老廃物にしかならず、かえって体の不調につながる場合があります。
涙やけや、皮膚トラブルにもつながることがあるのです。
袋の記載に、ただ「動物性油脂」とだけ書かれていても、その脂がなんの動物のものなのかわかりませんね。
「サーモンオイル」「チキン由来」くらいは表記できるはずです。
すべてではありませんが、中には粗悪な脂を使用している場合もあるので、気をつけたいものです。
■食品や栄養素ではない添加物が入っている
これらは人間で考えても同じですね。
鮮やかな発色や、とろとろのスープ、食欲をそそる香り、たしかに美味しそうに思えます。
でも、それらが調理の仕方や食材由来のものではなく、人工的にされているとしたら、ちょっと気持ち悪さを感じませんか?
ペットフードではわりと行われていて、その旨も表記する義務があるため袋をみれば書いてあります。
多いものだと、発色剤や安定剤、酸化防止剤などが目につきます。
酸化防止剤については、発がんの危険性などが指摘されているものもあり、たとえ基準内であっても心配になります。
また、発色剤や増粘剤など、食品添加が認められているものでも、不必要なものを積極的に摂りいれる必要性を感じませんね。