妊娠中でも犬と暮らせる。正しいトキソプラズマの知識を持とう

妊娠中でも犬と暮らせる。正しいトキソプラズマの知識を持とう

妊娠経験がある方は、周りから赤ちゃんによくないから愛犬を手放しなさい、と言われた経験がありませんか?この理由は、犬や猫など動物が感染するトキソプラズマという病気。しかし、きちんと病気を理解していれば大切な愛犬と別れる必要はありません!今回は、誤解している人も多い、トキソプラズマについてご紹介します。


犬のトキソプラズマってどんな病気?

トキソプラズマとは、寄生性原生生物のトキソプラズマに犬などの動物が感染したことで起こる病気。基本的に表立った症状はありませんが、持病や高齢によって免疫力が落ちていると、肺炎、肝炎、脳炎などの病気の原因になります。

この感染症の怖いところは、妊娠初期に感染することでお腹の赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症になってしまうリスクが高いこと。病気にかかると、お腹の赤ちゃんの多くが流産になったり、脳症や水頭症を発症して重い障害を持って生まれてきたりする可能性があるのです。

愛犬からのトキソプラズマを発症するリスク

では、妊娠したら赤ちゃんを守るために愛犬と離れなければならないの?と、不安に思ってしまいますよね。しかし、その必要は全くありません。この部分がよく誤解されている点で、トキソプラズマに感染する動物はさまざまですが、人間へのトキソプラズマの感染源となるのは基本的に猫だけ。

そのため、犬を飼っていることでトキソプラズマを発症するリスクは、ほとんどないので安心してください。また、たとえ猫でも必ずトキソプラズマに感染しているわけではありません。人間に感染するのは、猫のウンチが何らかの形で口に入ってしまう場合。

たとえば、猫のお尻にウンチがついていて、それに気づかずに抱っこしたときや、ウンチを片付けた時に手を洗わずに食事をすることで感染するケースがあるのです。そのため、普段から猫に触れたら手を洗うなど、清潔にしておけば感染することはほとんどありません。

妊娠初期はトキソプラズマの検査もある

それでも、トキソプラズマにかかっていないか心配に考える妊婦さんもいるでしょう。現在はほとんどの病院で、妊娠初期にトキソプラズマの抗体の有無を検査しています。

このとき、もし陽性であれば、トキソプラズマに感染しないよう普段から愛犬との接し方に気を付ければ、ほとんど問題がないことが多いです。そのため、間違った知識で愛犬を手放す、ということにならないよう注意しましょう。

また、周囲に妊婦さんがいたら、犬からトキソプラズマは感染することはほとんどない、犬を手放す必要は全くないという情報を教えてあげたいですね。

トキソプラズマに感染しないために心がけたいこと

愛犬から感染するリスクはほとんどなくても、不衛生な環境や犬との接触の仕方によっては、トキソプラズマに感染するリスクがあります。そのため、以下のポイントを守って妊娠中の愛犬との暮らしを楽しく過ごしましょう。

トキソプラズマ検査を受ける

産婦人科によっては、トキソプラズマの検査を義務付けていないところもあります。そのため、まず妊娠がわかったら早めに検査を受けましょう。産婦人科にお願いすれば、検査をしてもらえるので主治医に相談してください。

費用は2,000~3,000円ほどですし、血液検査で結果がすぐにわかるので妊婦さんの負担も少ないですよ。また、この時点で陽性との診断結果が出ても妊娠から半年以上前であれば問題ありません。

もし陰性だったならば、妊娠中に初感染してしまわないよう以下の点を守れば、感染のリスクはほとんどないと言えるでしょう。

愛犬の口との接触に気を付ける

基本的に犬からトキソプラズマは感染しませんが、注意したいのが日常的に愛犬の口に触れている場合。たとえば、可愛さ余ってキスをしていたり、顔を舐めさせたりしていると、口の中にトキソプラズマが侵入して感染する恐れがあるのです。

また、愛犬の健康上良くはありませんが、人間の食べ物を与えている場合、手に乗せて食べさせている人が多いですよね。このとき、愛犬の唾液が手についた状態で食事を続けると、人間の口に唾液がついてトキソプラズマに感染するリスクが高くなります。

そのため、普段から口に愛犬の唾液が入らないよう、キスをしない、口を舐めさせない、食べ物を手渡しで与えたら必ず手を洗う、という3点を徹底してください。

愛犬を感染源に近づけない

飼い犬は外との接触が野生の犬よりも少ないので、そもそもトキソプラズマを保有している個体が少ないです。現在、妊婦さんがトキソプラズマに感染するのは、生肉を食べたことが原因であるのがほとんど。

そのため、妊娠中は生レバーや馬刺しなど、生食を自分自身が避けるのはもちろんですが、愛犬に生肉を食べさせないことも大切です。

他にも散歩中は、落ちている糞や食べ物に愛犬が接触しないよう注意してあげてください。外飼いの猫や野良猫はトキソプラズマに感染していることも多く、愛犬がその糞に接触することで感染しやすくなるのです。

愛犬とトキソプラズマのまとめ

妊娠中はホルモンバランスの影響で、ちょっとしたことで気分が落ち込んだり涙が出てきたりと、情緒不安定になることもあります。この大変な時期に、そばに寄り添う愛犬がいるのは本当に心強く妊婦さんの癒しになってくれる存在です。

それだけでなく、赤ちゃんから動物と暮らすことは抗体が早くできてアレルギーになりにくいという研究データもあります。また、精神面でも赤ちゃんの初めての友達として、情操教育にもなるなど、良いことづくめ。

しかし、産後は赤ちゃんのお世話に追われて、愛犬がさみしい思いをしてしまうことがあります。自分だけでなく周りと協力して愛犬のお世話をするなどして、家族が増えてからも愛犬との暮らしを楽しみたいですね。

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