日本人と犬の歴史

日本人と犬の歴史

今では当たり前のように飼われている犬たち。そんな犬たちと日本人にはどんな歴史があるのでしょうか?戦時中には身を引き裂くような思いで犬を手放した人も多い物。そんな事を知ればもっともっと愛犬を大事にしたくなるはず。時代と共に見る、現代の「犬ブーム」、その問題点とは?


縄文時代から人々の相棒だった日本の犬

縄文時代の遺跡から、人間と共に犬の骨も発見されています。そこから分かった事は同じ食べ物を食べ、ちゃんと埋葬されていたという事。当時の人々も今と同じように犬は大事な相棒で、その死を悲しんでいたのかもしれませんね。聖徳太子には「雪丸」という愛犬がいたそうで、「人の言葉を話す」とも信じられていたとか。どれだけ愛されていたか分かるエピソードです。さらに時代が進み平安になると、いよいよ犬が「ペット」として親しまれるようになります。「源氏物語」などにも猫と一緒に登場しますので、現代と動物事情は変わりません。私たち日本人と犬にはこれほどにも長く、そして深い歴史があったのです。

江戸時代には愛犬家で有名なあの人

生類憐みの令

江戸時代の動物事情と言えば皆さんご存知の「生類憐みの令」ですよね。これは5歳という幼い子を亡くした徳川綱吉がその後にも男児に恵まれなかった理由を前世で殺生を繰り返した事、そして今世では動物を憐み(大事にするという事)特に犬を大事にしろ、と信頼を寄せていた宗呂に言われて出来た物という説が有力です。

最終的に130もの法令になったこの決まりはどんどんエスカレートし、うなぎやどじょうなどの売買も禁止、さらに犬に関しては例え事故でも死産でも罪となっていったのです。もちろん犬を叱ったりも禁止です。例えしつけでもそれが見つかれば、有無を言わさず飼い主は処分されたそう。これでは人々も楽しく犬と暮らす、というよりも常に緊張しながら飼っていたに違いありませんよね。

お金持ち奥様に人気だった犬

江戸時代の一般的なペットはネズミ捕りの面からも猫の方が人気が高く、犬を飼っていたのは主に大名家の奥様方。特段人気が高かったのは(というよりも今のように多種多様な犬種はいなかったと思いますが)チン。番犬や猟犬として飼われていましたが、犬の墓が見つかっている事などからやはり現代のように愛情を持って飼っていたのだと思われます。

明治時代には「ポチ」がブーム!

鎖国を終えた日本には多くの西洋文化が流れ込んできますが、それが明治時代です。そんな中、やはりペットとして人気のあった犬ですが中でも「ポチ」や「ジョン」と名付けるのが流行したそう。今まで知らなかった外国の風がいかにして強く影響をもたらしたのかが分かる背景ですよね。ちなみにぽポチの語源には諸説ありますが、フランス語の「小さくてかわいい物=プチ」を宣教師が犬に対して言っているのを聞き間違えたのでは?と言われています。

そして時代へ戦争へ・・・昭和

犬の献納

昭和18年、日本がまだ戦争真っ只中だった頃、日本各地の動物園には動物たち処分の命令が下ります。上野動物園にも、象や猛獣に対して東京都から命令が入ります。現代では考えられませんが、当時の戦況はひどく空襲の際に暴れる危険性や、戦争には役に立たないといった理由で動物たちは殺されていきました。

さらにその影響は各主要都市の一般家庭にも及びます。その内容は「お国の為に犬を差し出せ」。その表向きの理由は第一線で戦う兵士の為の毛皮や食料としてでしたが、実際には分かりません。もちろん、ほとんどの家がそんな事したかった訳はありません。しかし当時はすでに狂犬病の予防接種なども存在しており、今と同じように犬を飼う際には届け出が必要でした。つまり、どの家が飼っているのか全て把握されていたのです。

力づくで連れて行かれた愛犬は、殴り殺されたと言います。

経済成長とペットブーム

戦後まもなくはまだまだ貧しい家庭が多く、犬を愛でるなど二の次三の次だった事でしょう。しかしご存知の通り日本はどんどん復興し、経済的な豊かさを手に入れていきます。それと比例するかのようにペットブームも巻き起こっていくのです。1950年代にはビーグルやコリー、1970年代に入るとポメラニアンやマルチーズなどの小型犬が人気となります。これは仕事で忙しく父親が不在の家庭で特に人気があり、その寂しさを埋めようとして飼う家庭が多かったようです。

犬の殺処分が課題となる平成

室内で飼う事が一般的に

1990年以降、そして2000年代には多くの家庭が犬を室内で飼うようになります。この時にブームとなっているのがチワワやミニチュアダックスです。室内でも飼育しやすい点から人気となりましたが、同時に無責任に飼い始める人も急増します。経済的に困難になる事があまり無いこの時代では、多くの人の興味はファッションや遊びなど。それ自体を否定はしませんが、その延長線上にペットが来てしまった事も事実では無いでしょうか?

現代で殺される理由はひとつも無い

お話してきた通り、日本人と犬には長くて深い歴史があります。そしてその中には戦争という時代があり、嫌でも泣いても叫んでも愛犬を手放した方がいます。震災時の福島でも、同じように深い悲しみの中愛犬と別れざるをえなかった方が多かったのは記憶にも新しい事です。

そんな中、「普通に暮らしている」状況で犬を殺処分する理由なんてあるのでしょうか?犬が人気である事や、好きな犬種を飼う事はいつの時代も変わりなく、それ自体は素晴らしい事です。しかしこれだけ多くの人が「犬種にこだわらず一匹でも救って欲しい」と願うのは、殺される理由なんか無いにも関わらず、多くの犬が殺処分されるという現実があるからです。豊かな日本にふさわしい、そんな犬との歴史を築いていきたいものですね。

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