巨大食道症とは
生後7か月のジャーマンシェパード、エリは一日5回から7回、この椅子で食事をします。
お気に入りの可愛い椅子だからではありません。
エリは、巨大食道症という病気を抱えて生まれてきました。巨大食道症とは食道の機能が低下し蠕動運動ができず、食べ物をうまく胃に運べなくなってしまう病気です。
エリは、生まれるまでに消えてなくなるはずの心臓の血管が残ったまま生まれてしまい、その血管がリング状となって食道を囲むように成長し、食道を圧迫していたのです。
エリを診察した獣医によれば、エリは、なんとかミルクを飲むことができても、固形の食べ物は食べることができない状態でした。
治療法を探して
特別なケアが必要だったため、元の飼い主は世話を続けることができなくなり、エリを助けたいと思ったアダ動物病院の助手をしていたサヴァンナがエリの世話をする決心をしました。
サヴァンナは2時間おきにエリに注射器で流動食を与えました。
また、巨大食道症に苦しんでいただけでなく、エリは骨折もしていました。栄養状態が悪く、カルシウムやタンパク質も不足していたため、骨がもろくなり、病院で助手の腕から飛び降りた時に足が折れてしまったのです。
その後3度の手術も行いましたが、うまくいかず、もう他にできることはなく、最後に考えられる方法は栄養チューブの挿入しかないと途方に暮れていた時、奇跡のように解決策が見つかったのです!
エリを救ったベイリーチェア
それはベイリーチェアと呼ばれているもので、ここに座って食事をすることで、身体が垂直に保たれ、蠕動運動ではなく、重力によって食べ物を食道から胃に送ることができるという椅子です。
この椅子はエリのサイズに合わせ、ある男性が作ったものです。
可愛らしいデザインが施され、エリ専用の特別な食卓になりました。
エリはこの専用の食卓で、約15分かけて1日5回から7回食事を摂り、食べ物を消化します。
その後3週間でエリは驚くべき回復を遂げ、体重も約14kgにまでなりました!
エリは最初、この椅子があまり好きではなかったようですが、今ではこの椅子に座ったまま眠ってしまうこともあるそうです。
エリは一生軟らかい食べ物しか口にできないかもしれませんが、サヴァンナと協力者たちのおかげで他の犬と同じ毎日を過ごすことができるようになりました。
エリは「満腹」という感覚も知ることができたのです!
今ではサヴァンナと外で走り回って遊べるまでになっています。
ここまで回復できたのも、エリの世話をしてくれた獣医師と仲間の助手のおかげと、サヴァンナは感謝しています。
獣医でもある病院のオーナーは「この件に関わったすべての人の中でも、サヴァンナが一番の貢献者です。サヴァンナが決して諦めなかったことがエリを救ったのです」と語っています。
そしてサヴァンナも、今後もエリを手放すつもりはなく、ずっと一緒にいたいと思っていると話してくれました。
愛情溢れるベイリーチェア
大切な家族の一員であるペットを病気から救うためにオーダーメイド、或いは手作りされるベイリーチェアには飼い主さんの愛情が詰まっています。
最後にそんなベイリーチェアをいくつかご紹介します。