愛犬がうなるのは自分が偉いと思っているため
もともと犬がうなるのは、集団生活をする動物のため。集団生活の中では序列が決められており、リーダーを筆頭に集団一人ひとりがランクをつけられています。そのため、愛犬は飼い主や家族を見て、誰が一番えらいのか優劣をつけているのです。
このときに飼い主が一番で、他の家族が2番、3番、愛犬が一番下だと思ってくれていればいいのですが、しつけの仕方を誤ると飼い主よりも自分の方が偉いと愛犬が勘違いしてしまうことも。
その結果、自分のなわばりに侵入したり食べ物をとろうとしたりすると、たとえ飼い主でもうなって威嚇をします。愛犬のうなりというのは、その根底に自分がこの群れ(家族)の中で一番偉いのだという気持ちの表れでもあります。
どんなときに愛犬がうなるのか
■独占したいため
自分が遊んでいるおもちゃを触られたり、自分のなわばりだと思っている場所に誰かが侵入したりすると、これは自分のものだとアピールしてうなることがあります。うなって威嚇をすることで、自分の権利を相手に主張しています。
しかし、うなられたことに怯えて飼い主がおもちゃやご飯を返せば、愛犬がうなれば相手は言うことを聞くのだと学習してしまいます。そうなると、相手が自分の言うことを聞くまで延々と吠え続けたりうなり続けたりするので、うなり癖をしつけましょう。
■怖い思いをしたとき
愛犬にとって何か怖いものが近づいてきたときに、不安を感じてうなることがあります。この行動は対象への「これ以上近づいたら攻撃する」という威嚇行為。特に人に慣れていない野良犬などは、触れようとしただけでうなったり吠えたりしてきます。
また、しつけとして飼い主が愛犬を叩くなどの暴力をふるっていると、愛犬が恐怖を感じてうなり癖がさらにひどくなります。最悪噛まれてケガをする危険性もあるので、愛犬との主従関係をしっかりと結ぶことが大切です。
■遊び過ぎて興奮したため
遊びに夢中になりすぎると、つい「ウーッ」とうなるときがあります。一見威嚇されているのかと思ってしまいますが、実際は遊びが楽しくて興奮してしまったため。日常的にうなっているのでなければ、特に気にする必要はありません。
ただし、興奮しすぎて吠える場合はしつけのためにも、一旦遊びを中断して愛犬を落ち着かせましょう。
愛犬のうなり癖を直すためのトレーニング法は?
■アメとムチでメリハリをつけたトレーニング
うなり癖を直すには、うなっても飼い主が褒めてくれず拒否されるということを愛犬に学んでもらうことがポイントです。それを理解してもらうには、愛犬がうなったら罰を与えて、反対にうなるのをやめたら思い切り褒めてあげること。
この罰を与えることと褒めることの組み合わせを心がければ、主従関係が結びやすく愛犬は飼い主をリーダーのボスだと認めます。具体的なやり方は、愛犬がうなったら近くで大きな音を鳴らすこと。
フライパンをお玉で叩く音でも良いですし、何か固いものを地面に落すなどして、愛犬が驚くような大きな音を鳴らしましょう。こうすることで、驚いた愛犬がうなるのをやめるため、そこで飼い主はすかさず褒めてあげましょう。
「うなるのをやめて偉かったね」と褒め、ご褒美としておやつを与えましょう。うなったら音を出して罰を与える、やめたらすぐにおやつを上げるという方法を繰り返すことで、「うなると怖い事が起きる、でもやめるとおやつがもらえる」ことを愛犬が学習します。
うなり癖が徐々に落ち着いてきたら、単純に褒めるだけにしておやつの量を減らしていきましょう。少しずつおやつの数を減らしていけば、最終的におやつがなくとも人に対してうなること自体をやらなくなっていきます。
■ひたすら無視をする
愛犬が飼い主に向かってうなっても、特にリアクションをせずひたすら無視をしましょう。うなっている最中にごはんやおもちゃに無理に手を伸ばすと噛まれる危険性があるので、その場で動きを止めて愛犬の様子を観察してください。
やがて愛犬は飼い主が行動を起こさないのを確認し、うなるのをやめます。うなりが治まったのを確認したら、すぐに褒めてあげましょう。また、うなってすぐにご褒美をあげるとうなればおやつがもらえると勘違いされる可能性もあるので、うなったら声で「ダメ」「いけない」と注意してください。
うなるのをやめたら、「えらいね」「グッド」とオーバーに褒めてあげましょう。これで愛犬はうなるのはいけないことだ、うならなければ飼い主も喜んでくれると覚えます。
まとめ
愛犬がうなるのはその相手を自分よりも下だと思っているため。これを直すには飼い主が愛犬にリーダーシップを発揮することが大切です。
また、普段うならないのに急にうなるようになった場合は、どこか体調が悪い可能性があります。腹痛など体の痛みで苦しんで声を出しているかもしれないので、普段と様子が違ったらすぐに動物病院へ連れて行ってあげましょう。