犬の寝方に見る野生時代の名残
現在はペットや家族としての位置を確立した犬。遠い昔、犬は野生の中で勇敢に暮らしていました。
■集団で寝る習慣
犬はもともと野生で暮らしていた動物です。家族や仲間意識がとても強く、寝る時はいつも群れになって、かたまりながら就寝をしていました。野生の犬にとって就寝とは最も身の危険を感じる時でもあります。就寝時の意識のない時に、オオカミなどの的に襲われたらひとたまりもありません。ですから、群れを成すことで少しでも身の安全を確保していたのです。
野生時代の習慣が今も残っているんですね。いくら大きな敵でも集団なら立ち向かえる!弱いものは野生の地から身を引くしかない、過酷な時代に培った立派な教えです。
■お腹を見せて休むのは究極のリラックスポーズ
犬の最も可愛い仕草でもある、お腹を見せてゴローンと寝る姿。完璧に寝ているわけではありませんが、かなり気が抜けているような雰囲気を醸し出していますよね。
飼い主さんの前や室内の静かな場所で、気持ちが落ち着いている時に見せる「お腹見せ」のポーズ。ご想像の通り、危険な人や危険なものが身の回りになく、完全に安心しきっている時にしか見せない究極のリラックスポーズです。
仰向けになるということは、犬の急所であるお腹や喉を見せびらかすこと。野生時代にこのポーズ容易にしてしまっては、あっという間に敵に襲われ一貫の終わりです。心臓や内臓に近い犬の腹部や動脈や静脈が通る喉は、決して敵にさらけ出してはならない箇所なのです。
お腹を見せて私たちのことを信頼してくれていると思うと、愛犬がもっと可愛く見えてきますね。
愛犬が寄り添って寝る理由は2つ
飼い主さんや家族に寄り添って寝るのが大好きな犬も多いでしょう。そこには隠れた犬の心理が隠れていました。
■信頼しているから
愛犬が寄り添うように飼い主さんの横で寝るのは、「信頼」「安心」しているからです。犬が横に座ったり、寄り添ったりする仕草は信頼感や安心感がないとできません。もちろん、愛犬の性格や犬種にもよりますが、少しでも不安や緊張があるなら少し距離を置いて様子を見ているはずです。
愛犬の安心した気持ちが伝わってくるように、私たち人間もなぜかホッとしてきますよね。
■守って欲しいから
甘えているような仕草に見えますが、「守って欲しい」というような意味合いもあります。
いつもは飼い主さんや家族を守る立場にいる犬たちも、たまには守って欲しいと感じるのは面白い心理ですよね。
時々、飼い主さんにお尻をくっつけるようにして寝ることはありませんか?「変な寝方だな~」「お尻を向けて寝るなんて失礼だな~」などと感じたりしてしまう人も多いようですが、実は、この仕草は飼い主さんが自分を守ってくれる心強い存在だと認識している証拠なんです。
犬が野生時代に生きていた頃、背後は一番狙われやすいアングルでした。その最も危険な背後を(実質的にはお尻ですが)飼い主さんに向けることは、最大級の信頼を置いている証拠です。半ば、飼い主さんを「同じ仲間の最高の位」に位置付けている、そんな感覚に近いと言えるでしょう。犬の視点から見る世界というのは知れば知るほど興味深いものです。
寝る位置でわかる飼い主さんと犬の主従関係
飼い主さんと犬の関係。主従関係をしっかりと保ってしつけていきたいものです。でも、こんな仕草が見えたら飼い主さんのポジションが危ない?
■飼い主さんは犬と同等の仲間!
愛犬は本当に可愛いもの。ついつい甘やかしてしまう気持ちはよくわかります!特に、愛玩犬として家にやってきた犬はどうしても過保護になりがちですが、ここで、愛犬の寝る位置を確認してみましょう。
愛犬が飼い主さんの足の位置で寝ている場合は、飼い主さんを崇めている証拠です。リーダーとしての認識がしっかりあります。
しかし、愛犬が飼い主さんのお腹の位置で寝ている場合は、飼い主さんを犬と同等の仲間である、又はそれ以下という認識がある可能性があります。
■飼い主さんより犬の方が優位!!
愛犬が飼い主さんの頭部の周囲で寝る仕草が多くみられる場合は、犬の位置が人間より優位に立っている可能性があります。
ちょっと振り返ってみましょう。、愛犬とのコミュニケーションは上手くいっていますか?日頃、飼い主さんの言う事を聞いていますか?
飼い主さんのコマンドを聞き入れられないのは、愛犬が「自分がリーダー」と勘違いしている証拠です。愛犬は可愛い存在であるので、怒ったり厳しくできない…そんな飼い主さんは結構います。でも、主従関係が逆転してしまうと、しつけ全般が上手く行かなくなり、犬種によっては手の付けられない状況になる可能性があります。早めに修正を行うようにしましょう!
寄り添って寝るのは「信頼」の証
愛犬が飼い主さんに寄り添って寝るのは「信頼」「安心」、また「守って欲しい」という意味合いがあります。心理の根底にあるのは、飼い主さんに対しての安らぎや尊敬です。主従関係も上手くいっている証拠!まずまず安泰ですね。