むだ吠えを止めさせるには叱っても効果はありません。犬は、どんな気持ちで吠えているのかを考え、その原因を取り除くことによりむだ吠えをさせないようにしていくことができます。
2016年10月11日
犬は番犬として飼われていることがほとんどでした。人が訪問してきた時、チャイムが鳴った時、飼い主に知らせることが犬の大事な役目でした。犬は吠えることによって家人に訪問者があることを知らせる役目を担っていたのです。 しかし、現代では番犬も減りました。番犬ではない犬が吠えることは「むだ吠え」と言われます。
むだ吠えを止めさせるには叱っても効果はありません。犬は、どんな気持ちで吠えているのかを考え、その原因を取り除くことによりむだ吠えをさせないようにしていくことができます。
犬はいろいろな吠え方をすることで、さまざまな気持ちを、飼い主に向かって発信しています。吠える時には必ず意味があり、一生懸命に飼い主に何かを伝えようとしているのです。これが、飼い主に話しかける犬の「ことば」なのです。
尻尾を振りながら高い調子で吠えるのは、多くは嬉しさを表現するサインですが、「ごはんが食べたい」「遊びたい」「散歩に行きたい」等の要求のサインの場合もあります。
また、飼い主が電話やテレビ等、自分以外のことに気を取られている時にも、飼い主の気を引くために吠えることがあります。
留守番をしている時にチャイムが鳴ったりすると、「ワン! ワン! ワン!」と強い調子で吠えます。これは自分のテリトリーへ入ってきた相手に対して警戒心や敵対心があって吠えているのです。
縄張りを守るために吠えている犬は、自分が群れのボスになった気分でいます。見知らぬ人に「ワン、ワン、ワン」と吠え続けるのは、警戒と怒りの感情を表しているサインです。
飼い主を守ろうとしている気持ちもありますが、この場合は、吠えるのを止めさせましょう。
「キャンキャン」「キャイーン」という時には、何か理由があって痛がっているときです。こういう鳴き声をするときには、気づかないうちに怪我をしていないか、確認するようにしましょう。
「ゥオーン、ゥオーン」という遠吠えは、オオカミの遺伝子からくる遠吠えです。オオカミの群れが襲われた時に別の群れのオオカミに助けを求めたり注意を促したりする鳴き方です。
例えば、家族は旅行に行き、犬はペットホテルや動物病院に預けられた場合など、このような遠吠えをすることがあります。これは、一緒に生活していた家族(群れ)から離れた不安やさびしさの気持ちであり、救いを求めているサインなのです。
このように犬が吠えるのは、理由があります。
ですから犬の鳴き声の全てが「むだ吠え」というわけではありませんが、とはいえ人間社会で暮らしている犬は、家族に迷惑をかけてもいけないし、隣近所に迷惑をかけてもいけません。ケースバイケースですが、わがまま鳴きや、夜鳴きや、見知らぬ人に吠えている時など、毅然とした態度で犬を叱るようにしましょう。
一向に鳴き止まない場合には、笛やカスタネットを鳴らしてみたり、ラジオのボリュームを上げてみたり、何かしら手近にあるもので、犬が驚くような物音を立てます。これでむだ吠えをやめてくれることがあります。
もっと遊んでほしい、早くご飯を食べたいなど、時間外のわがままな要求から鳴いている場合は、無視するのがしつけとして効果的です。
基本的には、飼い主がしつけていくことで、犬が「むだ吠え」をしなくなってくれることが望ましいかもしれません。
しかし、マンション住まいの犬や、仕事で長時間の留守番をしなければならない犬等は、他に迷惑がかからないように、機械や口輪やスプレーなどの防止グッズが必要になってくることもあります。
防止グッズには、いくつかの種類があります。
このようなグッズはできれば使わずにすむにこしたことはないものですから、最小限必要なだけ使うようにしましょう。
犬が吠えると超音波や電流が流れます。当然、犬はそれが嫌で吠えるのをやめるようになるという仕組みです。
口輪をすれば吠えることはできなくなります。
口輪には、皮のベルトだけで口を固定して開けなくするものや、メッシュのマスクで口全体を覆ってしまうものなど、いくつかのタイプがあります。
吠えたときにスプレーをかけて、吠えてはだめだということを教えます。
吠えることは、言葉をもたない犬にとっては必要な伝達方法なのですが、ほどほどにしてもらわないと、人間と共存していくことが難しくなってしまいます。ですからなるべくむだ吠えをさせないようにしつけていく必要があります。
とはいえ、犬が吠えるのは意味があります。わがままからくる要求吠えもありますが、恐怖や不安、運動不足からくるストレス、あるいは病気や怪我による痛み等が原因の場合もあります。ですから叱る前に、まずその理由を考え、原因を取り除いてあげることが大切です。
そして、それでもどうしても直らないようであれば、防止グッズと併用しながらしつけをしていきましょう。