2017年11月06日
さまざまな皮膚病に対する治療も効果が無いなどアトピー性皮膚炎を疑われたら、愛犬の皮ふに対して優しい環境を整えてあげましょう。長い付き合いになる病気、上手に付き合っていきたいですね。
愛犬が皮ふをかゆがったからといってすぐにアトピー性皮膚炎と診断されることはほぼありません。まず疑われるのは「ノミ」「ダニ」「食物アレルギー」など、薬での治療が可能な皮膚病です。そういったものの治療の効果が見られず、長い期間かゆみが続くなどの場合にはじめて「犬アトピー性皮膚炎」と診断されます。
アトピーを「完治」させることは非常に難しく、その症状を緩和させて上手に付き合っていくほかありません。愛犬が少しでも気分良く過ごせるように今根気よく頑張っていきましょう!
犬のアトピーにはいくつか違った方法の治療法があります。メリットとデメリットをよく理解した上で飼い主さんも納得して治療をすすめていきましょう。
非常によく効くお薬です。「副作用がこわい」と思う飼い主さんも多くいるかと思いますが、季節限定のかゆみ症状などに使う場合に症状が悪化することはまずありません。(悪化した場合には寄生虫などの原因の可能性も)
使い方を間違えなければ怖い薬ではなく、愛犬をかゆみのストレスから解放してくれるものとなりますよ。ただし、年間を通しての使用は副作用(食欲やオシッコの量が増える)の可能性は上がります。なるべくは一時的なかゆみ止めとして、内服ではなくスプレータイプを使用することをおすすめします。
こちらは一時的な症状をやわらげるのではなく、アレルギーを起こしやすい体質そのものを改善していく治療法です。アレルゲンを注射で体内に入れ、その物質に慣れさせていくというもの。5~6回の注射で症状がおさまれば治療は終了となります。副作用も最初の段階で反応を見て治療をすすめるので不安や心配も少なくできるメリットが大きいです。
しかし、特殊検査を受けることが原則・実施している病院が少ない・手間も費用もかかるというデメリットがあるので飼い主さんが最後までその治療を受けさせることが出来るかどうか?しっかりと判断した上で決めましょう。
最新の犬アトピー性皮膚炎に対する治療法。減感作療法と同じく、体質改善を目指した症状緩和のインターフェロン製剤を注射する治療法です。これはもともと体内にある物質のため副作用が少ないという大きなメリットが。
ただし、こちらも注射を多い頻度で受けさせる必要があるため手間は非常にかかります。
薬剤の入ったシャンプーを使用することを「シャンプー療法」と言います。これなら塗った薬を舐めてしまう心配もないし体を清潔にたもつことができますよね。シャンプー療法にはいくつかポイントがあるので正しい方法で優しいケアをしてあげましょう。
動物病院での販売も多い「マラセブ」シャンプーですが、これと似た「ノルバサン」というシャンプーもあります。ほぼ同じ効果ですが、違いはマラセブには抗菌作用も入っていること。
このふたつのシャンプーに共通している「クロルヘキシジン」という殺菌成分が重要となりますので、このほかのシャンプーを使う場合にも成分表示などでチェックしてみて下さいね。
特に炎症を持っている愛犬には水で皮ふを冷やすことがおすすめです。炎症までは出ていない場合でも「ぬるすぎるかな」くらいのお湯を使ってシャンプーをしましょう。
シャンプーを泡立てた状態で5~10分、そのまま皮ふに浸透させる時間を取りましょう。このとき、愛犬がシャンプーを舐めてしまわないように注意してあげてくださいね。また、より症状の重い部分から洗い始めることで、その部分をより長くシャンプーにつけてあげることが出来ますよ。
ドライヤーの熱風は使わずに基本はタオルドライで十分です。どうしてもドライヤーを使いたい場合には冷風モードにして乾かしてあげましょう。
「愛犬のためと思ってやっていたことが全て逆効果だった」なんとなく良さそうというだけでのシャンプー選びなど間違いは愛犬の皮ふにとって大ダメージとなることも!アトピー持ち愛犬のシャンプー時のNGやその他生活環境を整える上での注意点についてご紹介します。
とくにアトピー性皮膚炎を持った犬は、「熱」に非常に弱くなっています。皮ふを温めることは絶対にNGとされています。とくに注意すべきは愛犬のシャンプー時。シャンプー療法を行うことも多いかと思いますが、「ぬるめの温度・もしくは水」を必ず守りましょう。
水は冷たくてかわいそうなイメージがありますが、皮ふを冷やす事でかゆみを減らしてくれる効果もあるのでおすすめですよ。ちなみに入浴は絶対にNGとされています。
また、シャンプー後は基本的に自然乾燥をさせましょう。真冬に外飼いでもない限り、これが原因で風邪をひくことはありませんので、ドライヤーの熱はあてないこと。トリミングに出す際にも、しっかりとお話しましょう!
洋服は皮ふや寒さから愛犬を守ってくれることもありますが、アトピー持ちの子に関しては別です。洋服を着せることで皮ふがむれたり摩擦を起こしてしまいやすくなるので、着せないようにしてあげてくださいね。
お散歩時のハーネスなども、なるべく皮ふや肌に触れる面積の少ないものを選ぶようにしましょう!
犬を飼っていれば掃除はよりマメになると思いますが、とくにアトピー持ちの愛犬であれば「神経質かも?」くらいでちょうどいいのです。特に布団や毛布、ソファなどの布製品はダニが多くひそむ場所。毎日の掃除で清潔さをキープしましょう!
アトピー性皮膚炎は非常に難しい病気のため、飼い主さんの心の負担も大きくなってしまいますよね。でもあまり神経質に治療をしすぎるとかえって愛犬の体には負担となってしまうことも。「症状が前よりは良いからいっか!」これくらいの気持ちを持つことも大切です。
薬による治療よりも生活環境を整えていくことが、この病気と付き合っていくコツかもしれませんね。