2016年09月04日
犬を飼っていれば一度は愛犬のおう吐の対応に追われることがあります。実は犬のおう吐にはいくつか種類があり、緊急性の高さも変わってきます。どんな症状でどういった対処が必要になるのか把握して、落ち着いたケアをしてあげましょう!
一般的に吐くことすべてひっくるめて「嘔吐」と言いますが、実は「嘔吐」と「吐出」に分かれます。これらは検査や治療が異なるために、吐いた際の様子や吐物の状態をよく観察し、出来るだけ詳しく正確に獣医師に伝えるようにしましょう。
胃の中に入っている物を強制的に吐き出すことを「おう吐」と言います。吐く前に、お腹が膨らんだり凹んだりを繰り返していたら「おう吐」の可能性が高いでしょう。慣れている飼い主さんなどは、愛犬がグフッグフッと言いながらの前兆に「あ、吐くな」と分かるようになりますよね。前兆に気づいたら、シートを敷いてあげるなど準備をしましょう。
おう吐とは、消化管内に入っている有害物質を外に出すためのいわゆる防御反応です。何か体にとって悪い物を飲み込んでしまったり、胃腸の感染症でも、おう吐によって体を守ろうとします。
犬が嘔吐した時の様子などによって危険度は変わります。様子を見るか、すぐに動物病院へ連れていくか、臨機応変に対応をしていきましょう。
・嘔吐の回数が一度で、その後は無い
・元気も食欲もある
この場合には危険性はあまりありません。数時間絶食をさせ様子を見て、その後少量の水を与えます。そのまま吐かなければ問題ありませんが、その日はなるべく胃に負担のかからない柔らかい物や低脂肪の食事を与えましょう。翌日に元気があれば、通常の食事に戻しても大丈夫でしょう。また、食事の間隔が長すぎることが原因で吐く場合もあり、朝などに黄色い液体を吐く症状があれば食事の間隔を短くしてみましょう。
・一日に何度も吐く
・元気も食欲もない
・下痢などを伴っている
・体重減少
こういった場合には病気の可能性もあります。特に、食後8時間以上経過してから食べた物を吐いている場合には腸閉塞の可能性もあります。すぐに動物病院へ。
・一日に何度も吐く
・元気も食欲もない
・吐いたものが赤い
・吐いたものに黒いカスのような物が混ざっている
・吐物が便の臭い
・背中の皮膚を引き上げて、戻りが悪い
この場合には、胃の中での出血や小腸の閉塞といった緊急性の病気である可能性があり、緊急度も高いです。引っ張った背中の皮膚の戻りが悪い場合には、脱水症状を起こしています。吐物が気管などに入らないように体を横にせず、すぐに動物病院へ行きましょう。
嘔吐は急性・慢性と二種類に分けられて対処法も変わります。正しい対処をしてもらうためにも、日頃から愛犬をよく観察しておくようにしましょう。
嘔吐の症状が3日以内の場合には急性、それ以上続く場合には慢性と判断します。
急性嘔吐の原因は、口にしたもの・感染症・薬など非常に数多くあります。そのため、愛犬が何を食べたのか、または化学薬品や感染症の影響はないか、そういった可能性を飼い主さん自身が考えて獣医師に伝える事も重要です。
慢性おう吐の場合には病気の可能性もあり、元気や食欲があっても油断できません。特にダイエットもしてないのに急速に体重が減っている場合にはその重症度も上がります。
吐出とおう吐ではその原因も治療法も変わります。では、このあまり聞きなれない「吐出」とは何なのか?知識としてもっていれば、獣医師への説明もより明確に出来ますよ。
食道の内容物が逆流し、口から吐き出されることを「吐出」と言います。素人ではおう吐との区別は付けづらいかもしれませんが、大きな特徴として前兆がなく突然吐く、といった事が挙げられます。
急いで多くの量を食べたあとに吐いた場合には、まずはゆっくり食べさせる工夫をしましょう。その対応で吐くことが無くなれば、問題ありません。
食事のペースを調整しても何度も吐出する、または元気もない場合には病気の可能性もあります。異物を飲み込んだ事による食道の閉塞や、化学薬品による食道炎など、食道の問題であるケースが多いようです。吐出が続くと、栄養不足や脱水症状を引き起こしますので動物病院へ行きましょう。特に息苦しそうにしている場合には重症の可能性が高いので、早急な対応が必要です。
ここまで書いてきた通り、「吐く」にも色々なパターンと原因があり、正しい処方をしてあげる事が愛犬の体を守る事につながります。そのために飼い主さんが出来る事は、日頃から愛犬の様子をよく見ておくこと。体重の変化や、食欲・元気の有無などです。そして誤飲を防ぐために特に化学薬品などは愛犬が絶対に取れない場所に保管するなど、事故的な原因を取り除くようにする事が大切です。