2017年11月06日

ヒューマンアニマルボンドという考え方を知っていますか?

人に飼われている犬や猫、ウサギと言った動物を「ペット」と呼びますよね。しかしそこには多くの愛情や絆が生まれ、そういった動物と人間の共存にはお互いに多くのメリットが存在します。その考え方を「ヒューマンアニマルボンド」と呼び、今回はそんな人間と犬、猫の絆の深さについて考えてみましょう。


ただのペットではない、コンパニオンアニマル

古い時代の日本では、犬は基本的に外で飼われ、動物病院などももちろん無く、病気になって死ねばそれまででした。もちろん、そこには愛情はあったかもしれません。しかし本来は羊を追うためや番犬として、そういった飼われ方がほとんどでした。

時がたつにつれ、犬や猫たちはどんどん家の中で暮らすようになり私たち飼い主の心を癒してくれる存在になってきます。そういった意味から、家族として暮らす動物たちをコンパニオンアニマル(伴侶動物)と呼ぶようになります。愛犬を「パートナー」と呼ぶ方が多いのも、こういった背景があるのかもしれませんね。

ヒューマンアニマルボンドとは「絆」のこと

コンパニオンアニマルである動物たちと飼い主である人間の絆そのものを「ヒューマンアニマルボンド(略してHABと言うことも多い)」と言います。そしてその絆によって生まれるお互いのメリットを活用しよう!というのがこのヒューマンアニマルボンドの目的そのもの。

では、具体的にどのようなことが挙げられるのでしょうか?

孤独を癒し、家族の絆を深める動物たち

犬や猫。鳥やウサギと家族として一緒に暮らすことで得られる一番大きなものは「癒し」ではないでしょうか? 動物たちが与えてくれる癒しは気持ちのみならず、例えばADHDの症状を軽減させることなども分かってきています。また、人との交流も自然と増えるので高齢者にとっても非常に大きな存在となりますよね。

また癒しのみならず、家族そのものの絆も深めてくれるのがコンパニオンアニマルが私たちに与えてくれることでもあります。

アニマルセラピーなど医療の現場でも活躍

ヒューマンアニマルボンドを通した医学的効用は非常に多くの研究をされている分野でもあり、実際に心臓発作後の患者さんの生存率が上がったということも広く知られていることです。他にも、運動機能の回復を目的に動物と一緒に遊ぶことや、一緒に過ごすことで心拍数や血圧の安定などさまざまな身体的活用が注目されています。

他にも、福祉施設や学校といった場所で動物と触れ合いさまざまな経験を通し学び、癒すことを含めアニマルセラピーは今後も高く注目されていきそうな分野となっています。

動物へのメリットも存在するのがHAB

一方的に人間側が多くのメリットを受けるだけでは「ヒューマンアニマルボンド」の考えとは反してきます。ヒューマンアニマルボンドでは、飼われている動物たちも、人間とくらすことで健康面や精神面にも多くのメリットが生まれることが大前提です。ではそのために、私たち飼い主がすべきこととは?

動物たちの健康管理

人間と触れ合うことで、愛犬や愛猫たちも実は心拍数や血圧の安定が図れるということを知っていましたか?また幸福感をもたらすエンドルフィンというホルモンの放出などがあることも分かっています。そしてこういった面に欠かせないのは「愛情ある触れ合い」です。

また、定期的に健康診断を受けさせることや望まない妊娠の防止など、本当に家族の一員として獣医学的な健康管理やケアは欠かさずに行うことが何よりも大切と言われています。

里親探しも動物たちへの福祉活動

捨てる、保健所への引き渡しそのものがすでにヒューマンアニマルボンドとはかけ離れた行為であることは明確ですが、それでもそういった動物たちがいるのが現実です。そういった動物たちに新しい家族を探すことや、自らが里親となることは非常に重要なヒューマンアニマルボンド活動の一環です。

一匹でも多くの犬や猫が、いえ、全ての犬や猫が幸せに暮らせることを目指していくことこそがヒューマンアニマルボンドの役割かもしれませんね。

他人に迷惑をかけず、社会性をつける

噛まない、無駄吠えをしない、こういったしつけの他にも日頃からケージに慣れさせておくことも重要な面です。万が一の災害時などどこかに預けたり、避難時での生活でも動物たちを守れるようになります。愛情をかけるということは、時に本当の子どものように厳しく接することも必要ということでしょう。

殺処分セロへもつながる考え方

ヒューマンアニマルボンドの考え方が広まれば、最終的には今私たちが目指すべきことのひとつ「殺処分ゼロ」へも大きく貢献できるのではないでしょうか?

「伴侶動物」という考えを持ち飼うこと

まずは飼い始めるときにこのヒューマンアニマルボンドの考え方を知れば、飼育放棄や動物への虐待といった行為も減っていくでしょう。そしてすでに動物を飼っている私たち飼い主も、ペットはただのペットではなく、コンパニオンアニマルつまり「伴侶動物」であることを再認識したいですね。

その生涯をともにする、そのことを自分自身そして愛犬や愛猫に約束をしましょう!

暖かく死なせること

動物たちにとって一番の幸せなことは、最終的に家族に看取られて(その場にはいなくても一緒に暮らしてるという意味です)暖かいぬくもりある場所で死ぬこと、です。飼い主さんにとっては辛い動物たちの老後も、そこを放棄してしまってはその子たちはどこか冷たい床の上、死んでいくこともあり得ます。

人間と暮らすすべての犬や猫たちが、暖かくその生涯を終えられることが出来れば殺処分など不要な世の中になっていくことでしょう。