2016年11月24日

新しい職業犬、メディカルアラートアシスタントドッグがすごい!

昔から、ヒトと犬は助け合いながら生きてきました。古くは、羊の管理をする牧羊犬や狩りの助けをする狩猟犬などが職業犬として人を助けてきました。現在では、盲導犬や災害救助犬、警察犬など様々な職業犬が活躍しています。今回はそんな職業犬の一種、「メディカルアラートアシスタントドッグ」をご紹介します。


飼い主の危機を教えるメディカルアラートアシスタントドッグ

メディカルアラートアシスタントドッグは「メディカル=医療」「アラート=警告」「アシスタント=補助」を組み合わせた言葉であり、何か医学的に危険な状態になった飼い主に、本人が気付くより先に気付いて警告してくれる犬です。このメディカルアラートアシスタントドッグはさまざまな状況を判断します。

ホルモンや血糖値の変動を感知して警告

まずは、内分泌に関する病気について。内分泌とはホルモンを出す機能のことで、血糖値を下げるインスリンや代謝に関係する甲状腺ホルモンを出す機能を内分泌機能と呼びます。そして、その内分泌に異常のある病気を内分泌疾患と言います。

そして、メディカルアラートアシスタントドッグは、内分泌疾患を持っている人のなんとホルモンの変動や血糖値の低下を感じて知らせてくれるのです。

糖尿病では血糖値が下がりすぎる低血糖が危険

たとえば、糖尿病。糖尿病により高血糖が続くと、感染症や脱水を起こし、意識の障害が出たり命を落としてしまうこともあります。そのため糖尿病の治療では、血糖値を下げるためにインスリンを打ちます。その時に怖いのが、血糖値が下がりすぎてしまう低血糖です。

低血糖に気付かない飼い主に警告

低血糖になれば普通は自分で気付きますが、若い子供や感覚が鈍ってしまった人では気づかないうちに低血糖になってしまうことがあります。そのまま低血糖が進行すると、意識障害から昏睡を引き起こし、命が危なくなることもあります。また、命にかかわるような低血糖でなくても、低血糖が繰り返されることで、記憶障害などが起こるといわれています。自分で気付かない低血糖を察知して知らせてあげ、糖分を取るなど血糖値を上げさせるのがこの犬の仕事です。

副腎のホルモン異常にも反応

また、腎臓の近くにある副腎という臓器の機能が落ちてしまう、「アジソン病」という病気があります。副腎はストレスがかかった時にコルチゾールを出しますが、アジソン病ではコルチゾールが出にくくなります。強いストレスがかかると、コルチゾール不足によって体がストレスに耐えられなくなり、血圧の低下などで命を落としてしまうこともあります。このホルモンの低下を知らせてくれるメディカルアラートアシスタントドッグも存在します。

さまざまな心不全の人のためにも活躍

他にもメディカルアラートアシスタントドッグが助ける人はいます。心疾患の人です。

心疾患には非常にいろいろな種類の病気があり、メディカルアラートアシスタントドッグも色々な心疾患の飼主のために活躍しています。

例えば「体位性頻脈症候群」。この病気の患者は頻繁に重度で危険な失神を起こすことがあります。この病気にはアドレナリンが関与している可能性が高いのですが、アドレナリンの変化に反応して飼い主に警告するのがメディカルアラートアシスタントドッグの役割。そうすることで、飼い主は意識を失う前に安全な場所に移動することができます。

ピーナッツアレルギーの人も一安心

最後に紹介するのは、ナッツに反応する職業犬。重度のナッツアレルギーンの人では、その匂いに含まれるナッツのアレルゲンだけでも危険なアレルギー反応を起こすことがあります。ナッツのにおいのある場所を事前に知らせたり、ナッツが匂っていたことを警告してくれるので、アレルギーの人は症状が出る前に避難することができます。

犬に秘められた可能性は想像以上

ヒトにはない犬の能力。犬の嗅覚はさまざまなものを嗅ぎ分けられるんですね。ナッツのにおいだけでなく、ホルモンの変化や血糖値の低下の匂いを嗅ぎ分けられるなんてすごい能力ですね。最近ではガンを嗅ぎ分ける犬も出てきており、まだまだ私たちが想像しないようなことができるようになるかもしれません。今後もヒトと犬が助け合いながら暮らしていけるといいですね。