2017年11月06日

犬の問題行動。まずは愛犬の気持ちを理解することから始めよう

犬の無駄吠えや攻撃性でお困りの飼い主さんも多いのではないでしょうか。でも実は、犬の問題行動はストレスが原因の可能性もあるんです。しつけをする前に、犬にストレスがたまっていないかどうかをチェックしてみましょう。


そもそもストレスとは何か

ストレスとは「暑さ・寒さ・病気・精神的な緊張」などが原因となって体の中でおこる防御反応のことです。

ストレスといえば、精神的なものを想像してしまいがちですが、心だけではなく体への刺激もストレスだと言えます。

人や犬、猫などの生き物は、体を常に一定の状態に保とうとする「ホメオスタシス」という働きをもっています。

たとえば、暑い日に汗を流すのも、寒い日にブルブルふるえるのも、緊張したときに手や足の裏から汗が出るのも、ホメオスタシスによるものです。

汗をかくことで体温を下げ、ブルブルふるえることで熱を作り出して体温を上げようとします。また、手や足に汗をかくことで戦いや逃走に備えようとします。

つまり、ストレスは悪いものではなく、私たちの体をしっかり守る重要な役割を担っているのです。でも、どうしてストレスによって体調を崩すことがあるのでしょうか?

それは、あまりにも大きすぎるストレスに長時間さらされたからだと言えます。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、それぞれ「興奮」と「鎮静」の作用を司っています。そして、一方が働きを活性化すると、もう一方は働きを抑制するという風に、調節しながらバランスを保っています。

しかし、ストレスを感じ続けることで、両者のバランスが崩れ、心身に影響を及ぼしてしまうのです。

これを防ぐためには、定期的にストレスをケアしていくことが大切です。

犬が出すサインを見逃さないで

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犬がストレスを感じているサインは、カーミングシグナルで見分けることができます。

カーミングシグナルとは、犬が自分の気持ちを伝えるための手段のことで、これを真似すれば犬に気持ちを伝えることもできます。

カーミングシグナルのパターンはたくさんありますが、その中から代表的なものを見てみましょう。

・顔を背ける
・目を背ける
・固まる
・あくびをする
・片足をあげる

顔や目を背けるのは「相手に落ち着いてほしい、恐怖を感じている」というサインで、固まるのは「相手を落ち着かせる」ためのサインです。

また、あくびは「やめてほしい、嫌だと思っている」ときのサインで、片足を上げるのは「緊張している自分を落ち着かせる」ためのサインです。

このようなカーミングシグナルが多く見られる場合は、犬がストレスを感じていないか、注意深く観察してみましょう。

そしてストレスが高まってきたときには

・そわそわする
・体をかきむしる
・体をかむ・なめる
・ほえる
・しっぽを追いかける
・家の中を荒らす

などの行動が見られます。

このような行動が見られたら、何が犬にストレスを与えているのか考え、原因を取り除いてあげることが大切です。

シャドーイングで犬の気持ちを理解する

シャドーイングは、ストレスの原因を見抜くために効果的です。

シャドーイングとは、犬の行動を真似することで気持ちを理解しようとする方法のことで、もともとは心理学の手法のひとつでした。

シャドーイングのコツは、その犬になりきることです。

たとえば、犬が吠えたときは一緒にほえます。そして、犬が移動したときは一緒についていきます。
犬が上を見たら同じように上を見て、犬が伸びをしたら一緒に伸びてみましょう。

犬と同じように四つんばいになって階段を降りようとすると、とても怖いことが分かります。また、散歩中に地面にかがんでみると、地熱で予想外に熱いことが分かります。

このように、犬と同じ目線に立つことで見えてくることがあり、犬と同じように行動していくうちに、だんだんと犬の気持ちが分かるようになってきます。

犬にとってストレスになりそうなことを発見したら、すぐに改善してあげてください。
それだけできっと、快適に暮らしていけるはずですよ。

ストレスをケアするためには

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はっきりとしたストレスの原因が分からないときは、日常生活でなるべくストレスを感じさせないための工夫が必要です。

まずは、基本的なことで

・食餌
・運動
・コミュニケーション

を見直してみましょう。

食べ物は足りているか、毎日散歩に行っているか、犬に話しかけ、触れているか。
とくに、室内で放し飼いだから散歩には連れていかないという飼い主さんも増えているようです。

でも、自由に走り回れるとはいえ、同じ空間にずっと閉じ込められていると、人間だったらストレスを感じてしまいますよね。
やっぱり、外に出て適度に新しい刺激を感じた方がストレスをケアできるのではないでしょうか。

そして、基本的なことの他にも、環境や生活パターンを変えてみるなどの方法があります。

たとえば、クレートの置き場所を変えてみる、朝に散歩にでかけてみるなど、他にもできることはたくさんあるはずです。

犬のストレスを特定できるのは飼い主さんしかいません。愛犬の状態を普段から観察し、早めに対処することが重要です。

犬のストレスケアまとめ

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犬のストレスケアの方法をまとめます。

①犬の出すシグナルを理解する
②犬の行動を真似してみる
③基本的な飼い方を見直す

同じ犬種であっても、それぞれ個性があります。また、年齢や体の病気なども違うため、ここで紹介したストレスをケアする方法に適さない犬もいると思います。

老犬をむりやり散歩に連れだすことはありませんし、独立心が強い犬に対して必要以上に構いすぎることもありません。

大切なのは、愛犬の状態を把握し、適切な方法でストレスを取り除くことです。
そのために飼い主さんは、普段から愛犬とのコミュニケーションを欠かさないようにしておきましょう。