化学物質汚染は犬の精子の活動能力に関係する?
イギリス、ノッティンガム大学の獣医科学研究チームは、化学物質による汚染が犬の精子の運動能力に関係しているかを調査しました。実験に参加したのはラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパードなど介助犬として採用される5つの純血種の犬たち。26年間に渡って精子の運動性(前に進む運動能力)を分析しました。
有害な化学物質が犬の精巣から発見
実験の結果、オス犬たちの精子の運動能力は約30%も低下しており、変圧器、塗料、プラスチックなどに含まれる「フタル酸エステル(DEHP)」という化学物質がすべての犬種の睾丸や精巣で発見されたのです……。DEHPは、プラスチック素材を柔らかくするときに添加される物質で、調査結果に違いはあるものの、生殖器に対する毒性があると各国の研究機関が報告しています。
ドッグフードが原因?
■フードの中に化学物質の痕跡が…!
驚くべき事実はまだあります。研究チームが行った追加調査によると、飼い主さんが犬たちに与えていたドッグフードの中に、DFHPの痕跡が見つかったというのです。商品名が明かされることはありませんでしたが、主導研究者である同大学助教授のリチャード・リア氏によれば、これらはすでに世界中で販売されている商品なのだとか……。
■直接的な原因かは分からないものの…
調査の性質上、犬たちが食べていたフードが生殖器にDFHPが蓄積する直接的原因であるかは分かりません。フード以外にもDFHPを摂取する「別の何か」がもしかするとあったのかもしれません。ですが、おそらくフードが大部分の原因であるだろうとリア助教授は明言しているのです。
■フードを作る過程で混入?
どのように混入したのかをはっきりと解明することはできなかったものの、食品添加物として意図的に使われたわけではないということです。商品を包装するパッケージや食品に使用されている水に含まれていたのではないか、と研究チームは推測しています。
直接的な原因であるかはいまだにはっきりしませんが、DFHPなどの化学物質による汚染が増加するに伴い生殖能力の低下、精巣がんの増加が私たち人を対象とした研究ですでに確認されています。この先さらに研究が進めば本当にフードが原因なのかが明らかにされるときが来るのかもしれませんが、愛犬の健康を第一とするのなら、ドッグフードやおやつの購入先に気を配るのは今からでも遅くないのかもしれませんね。