犬の糖尿病の予防法、治療法は?糖尿病は一生付き合っていく病気です

犬の糖尿病の予防法、治療法は?糖尿病は一生付き合っていく病気です

犬の糖尿病は一生付き合っていく病気です。そして、治療は主に飼い主の手で自宅で行います。その治療法について解説しています。また、糖尿病と肥満は密接に関連していると考えられています。糖尿病の予防法として、肥満の解消法についても簡単に触れています。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。

人と同じように、犬にも糖尿病という病気があります。症状もよく似ており、その治療方法や予後もほぼ同じです。

人の糖尿病は主に生活習慣が原因で発症すると考えられています。特に、肥満は糖尿病の発症リスクを上げる大きなファクターですね。

対して、犬の糖尿病は人の糖尿病とはタイプが異なり、主に遺伝性による発症が多いと考えられています。そのため、具体的な対策が取りにくいのです。
それでも、肥満などの生活習慣病は人の場合と同じように、犬の糖尿病のリスクも大きく上げると言われています。言い換えれば、肥満をはじめとする生活習慣病の予防は、糖尿病の予防にもつながるのですね。

糖尿病は現在のところ完治させる手段はありません。そのため、一度発症すると最期まで付き合っていかなければなりません。
そして、症状の進行を抑えるために、愛犬の余命を少しでも長くするために飼い主が自宅で治療を行っていく必要があります。

今回は、犬の糖尿病の治療方法の解説をメインに行っていきます。また、始めに糖尿病の予防法についても少し触れますね。

犬の糖尿病の予防方法は?

犬の糖尿病は遺伝性によるものが多く、これをすれば必ず予防できる!といったものはありません。
それでも、肥満が糖尿病のリスクを大きく上昇させることはよく言われています。肥満の解消は糖尿病の予防に一定の効果があるということですね。

それではどう肥満を解消するか、ですが、犬の場合は食事制限がダイエットのメインになってきます。ダイエットに際して大切なのは飼い主の考え方です。以下のページで犬の肥満解消法について解説していますから、ぜひ参考にしてくださいね。

また、糖尿病は比較的雌に多く、6歳以上の成犬、老犬に多いと言われています。この条件に当てはまる場合は特に注意して、肥満などの改善を行っていきましょう。

犬の糖尿病の治療方法について

初めにも言いましたが、基本的に糖尿病は最期まで付き合っていく病気です。そして、治療は自宅での飼い主さんの手によるものがメインです。
治療方針としては人の糖尿病の場合とほとんど変わりません。犬の場合はインスリンが不足して糖尿病を発症していることが多いので、インスリンの注射や食事療法により病気の進行を遅らせつつ対処していきます。

食事の度のインスリン注射

動物は食事をすると血糖値が上がります。正常ならここでインスリンが分泌され、しばらくすると血糖値はもとに戻るのですが、糖尿病患者ではインスリンが正常に機能しないため、自力で血糖値をもとのレベルに戻すことができません。そのため、外部からインスリンを補充してあげる必要があります。

基本的には食事回数を1日に2回と決め、食事後30分~1時間を目処にインスリン注射を行います。動物病院で注射器とインスリン製剤が貰えるので、自分で準備し注射します。
このとき必ず適切な量を注射してください。少なすぎてもいけませんし、多すぎても駄目です。特に多すぎた場合、血糖値が異常に低下し、最悪の場合、昏睡状態になってしまうこともあります。

また、注射する箇所は毎回変えましょう。同じ場所にばかり注射していると、その部分の皮膚が固くなり、注射の際の痛みが大きくなります。

食事内容も療法食に

市販されているドッグフードなどでは一気に血糖値が上昇してしまう恐れがあるので、糖尿病患者用の療法食を与えるようにしましょう。療法食は主に動物病院で販売されています。

また、食事時間、量もしっかり決めて与えるようにしましょう。毎回違う時間に与えると糖尿病の犬にとって大きな負担になります。

療法食をどうしても犬が食べない場合は、市販のドッグフードを少しだけ混ぜるか、もしくは低カロリーな老犬用のドッグフードを与えるのも効果的です。

どか食いの癖がある子は要注意です。一気に食べることによって、急激に血糖値が上昇してしまうからです。ゆっくり食べるように指導しましょう。

犬の糖尿病の治療費用は?

糖尿病の治療にあたり、主にかかってくる費用は毎月のインスリン代と療法食代です。犬の状態や病院によってある程度の差はありますが、インスリン代がおよそ1万5千円から2万円程度、また療法食代が5千円程度かかると考えておけばよいでしょう。
これに加えて、合併症などを併発している場合はその治療費用もかかってきます。

発症してしまっても根気強く付き合っていくことが大切

糖尿病に治療は飼い主にも愛犬にも大きな負担がかかります。しかし、一度治療をやめてしまえば、あっという間に病態が悪くなり、亡くなってしまいます。
糖尿病を完治させることはできませんが、正しく治療を行っていけば余命を延ばすことが十分可能です。寿命を全うすることもできるかもしれません。
しっかり根気強く、愛犬と一緒に病気と付き合っていくことが大切なのですね。

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