犬の糖尿病の原因と症状について知っておこう

犬の糖尿病の原因と症状について知っておこう

犬の糖尿病はとても恐ろしい病気です。様々な合併症を引き起こし、治療が遅れればそのまま亡くなってしまうこともあります。しかし、早期に発見できれば正しく治療することにより、症状の進行を抑えることができます。糖尿病に気づくには飼い主がしっかり糖尿病についての知識を持っておくことが重要です。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。

今回は犬の糖尿病についてのお話です。糖尿病はとても恐ろしい病気で、現在の医学では一度発症すると完治させることはできません。それは犬の場合も同様で、発症してしまうと一生付き添っていくことになる病気です。

また、糖尿病の怖さはその合併症にあります。白内障、四肢の麻痺、壊死・・・、いずれも糖尿病から誘発される病気です。進行すると失明や四肢の切断など、取り返しのつかないことになってしまいます。

しかし、糖尿病は早期で発見できれば、その症状の進行を大きく遅らせることができます。そのため、糖尿病の原因や特徴的な症状を飼い主が知っておくのはとても重要なことなのです。今回は犬の糖尿病の原因、またその症状について主に解説していきます。

犬の糖尿病の種類

糖尿病には主に2つのタイプがあります。それぞれⅠ型とⅡ型と呼ばれ、根本的な原因は全く異なっています。
Ⅰ型は「インスリン依存型糖尿病」と呼ばれ、何らかの理由で膵臓が破壊されることにより、インスリンの絶対量が不足し、高血糖が持続してしまうものです。
対して、Ⅱ型は「インスリン非依存型糖尿病」と呼ばれています。大量のインスリンに晒され続けることなどによって、体の細胞のインスリンへの反応性が悪くなり、その結果高血糖になってしまうものです。

犬ではⅠ型の発症率がⅡ型に比べて約4倍となっています。そして、厄介なことにⅠ型を発症する原因は遺伝子による影響が大きいのです。

犬の糖尿病の原因

Ⅰ型糖尿病の原因は膵臓自体が破壊されることにあります。免疫による自己攻撃やウイルス感染による炎症などにより、インスリンを分泌する膵臓細胞が破壊されてしまうのですね。
そして、この免疫による自己攻撃が起きるかどうかは、大きく遺伝子に左右されます。生まれつき、自己を攻撃しやすい免疫を持った子がいるということです。そして、この免疫が原因となる糖尿病発症を防ぐ方法は現在ありません。

Ⅰ型糖尿病を発症しやすい犬種はある程度決まっています。その犬種を以下に列挙します。

・プードル
・ダックスフント
・ラブラドールレトリバー
・ゴールデンレトリバー
・ミニチュアシュナウザー

などです。また、これら以外の犬種でも糖尿病を発症する可能性はあります。特に肥満などの生活習慣病は糖尿病の発症リスクを大きく上昇させます。

幸いなことに、犬では糖尿病はそこまで多くありません。かといって、もちろん安心はできません。肥満など飼い主の努力で解消できるものはしっかり対策を行っておきましょう。

糖尿病の症状は?

上述したように、糖尿病は早期発見、早期治療によって予後が大きく異なります。早期発見のためには飼い主が糖尿病の症状についてよく知っておき、日頃からチェックしてあげることが重要になります。特に上で挙げた犬種を飼っている人は注意深く観察するようにしましょう。

水を大量に飲むようになる

犬の糖尿病の症状も人とあまり変わりません。症状の一つに水を大量に飲むようになることが挙げられます。
ちょっと多いかな?なんて量ではなく、明らかにおかしい量の水を飲むようになることが多いです。それこそ普段の4、5倍の水を飲むこともあります。
大量飲水は糖尿病を示唆するとても重要な症状です。糖尿病でなくても、他の重大な病気にかかっている可能性が高いので、この症状が見られたらすぐに動物病院に連れていきましょう。

おしっこを大量にする

水を大量に飲むためにおしっこが大量に出ます。これを多飲多尿といいますが、これも大きな病気のサインになります。腎不全の可能性なども考えられるので、早急に獣医さんに診てもらいましょう。

体重が減る

糖尿病になると、本来体の重要なエネルギー源になる「糖」を細胞内に取り込めなくなるため、しっかり食べているにも関わらず、体重が減ります。
また、エネルギー源を確保するために、普段より大食らいになる場合も多いです。他にも、食欲はあるのに元気がない、なども糖尿病で見られる重要な症状になります。

目が白っぽくなる

この状態になると糖尿病の合併症である白内障を発症しています。残念ながら糖尿病はかなり進行してしまっていると考えられます。
上記の症状に加えて、目が白っぽくなる症状が見られると非常に高確率で糖尿病を発症していると考えられます。

早期発見、早期治療が大切

犬の糖尿病を予防する方法は残念ながらあまりありません。肥満を解消することは糖尿病予防に効果的だと考えられていますが、絶対ではありません。発症率が低いのがせめてもの救いですが、それでも発症してしまう子は少なからずいます。
だからこそ早期発見、早期治療が重要なのです。糖尿病は発症初期に正しく治療を行っていくことで、症状の進行を抑え、余命を延ばすことが可能です。
飼い主が日頃から愛犬の状態を観察し、おかしなところがあればすぐに獣医さんに相談することが大切です。
飼い主さんがしっかり病気についての知識を持っておくことも重要です。愛犬を守ってあげるために、ある程度は勉強しておきましょうね。

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