猫を拾った時にすべきこと!まずは動物病院へ。飼うには覚悟とお金が必要

猫を拾った時にすべきこと!まずは動物病院へ。飼うには覚悟とお金が必要

春や秋などに生まれたばかりの子猫と出会うことがあるかもしれません。かわいそう、と思って拾ったとき、どんなことをしなければならないのか。そして猫と一緒に手にする「責任」つまり飼う覚悟と必要なお金。そんな、ちょっと現実的でシビアなことを紹介します。


こんにちは。小動物看護士(ドッグシッター/小動物介護士)の須永智尋です。殺処分される犬猫の問題が社会問題化する中、実際に野良猫を保護する場面に遭遇することもあるでしょう。命を預かることになった時、どんなことをしなければならないのか。NG行為とはどんなことか。紹介しますので参考にしてください。

猫は繁殖力がすごい!

猫は繁殖力が非常に強い動物です。早ければ生後6か月で発情するようになります。オスはいつでも繁殖行為におよぶことができ、メスを妊娠させられます。

そして猫のメスは、オスと繁殖行為におよんだ後で排卵が起こります。繁殖行為に及ぶとほぼ確実に妊娠します。さらに、猫のメスは一度の発情期に複数のオスと繁殖行為におよぶことがあり、異なる父親の子どもを同時に生むこともできます。生まれてくる子猫はだいたい3~6匹です。

ネズミほどではありませんが、猫は犬よりもずっと強い繁殖力です。環境省の発表によれば、平成27年度に保健所が引き取った犬猫の頭数は「犬:46,649頭」「猫:90,075頭」となっています。圧倒的に猫の方が多いですよね。殺処分となった頭数も「犬:15,811頭」であるのに対し「猫:67,091頭」です。

犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況

猫の保護される数の多さは、この繁殖力の強さが関係しているといえます。

拾った時のNG行為

猫を拾った時に取ってはいけないNG行為というのがあります。

洗ってはいけない

拾った猫は汚れていることが多く、ついつい洗ってキレイにしてあげたくなりますよね。しかし、拾った猫を洗ってはいけません。多くの猫は水が苦手で、シャンプーが大嫌いです。暴れて攻撃的になる可能性が充分あります。

また、強いストレスがかかりますし、体力を消耗します。濡れた体が乾くときに冷えて体温が低下する危険もあります。拾った猫は洗わず、柔らかい布で泥などを優しく拭き取る程度にしてくださいね。

ペットが居る家に連れ帰ってはいけない

既にペットを飼っている人は、拾った猫を家に連れ帰ってはいけません。拾った猫は、感染症にかかっている可能性があり、また、ほぼ100%の確率でなんらかの寄生虫に寄生されています。

もし、そんな猫を連れ帰るとペットに感染症や寄生虫がうつる危険があります。拾った猫を抱いた飼い主の服を介してうつることもありますので、充分注意してくださいね。

保護団体に直接持ち込む

拾った猫を保護団体に持ち込んで保護してもらおうとする人がいます。しかし、多くの保護団体は新たに保護猫を受け入れるだけの余力を持っていません。

どこの団体も、金銭面でも、労力面でもギリギリの所で保護活動を行っています。そのような所に安易に拾った猫を持ち込まないようにしましょう。

病院に行かずに飼う

拾った猫を動物病院に連れて行かずに飼うのも危険な行為です。ほとんどの場合、拾った猫は何らかの病気にかかっていたり、寄生虫に寄生されています。場合によっては人獣共通感染症に感染していることも!

人獣共通感染症
同一の病原体により、ヒトとヒト以外の脊椎動物の双方が罹患する感染症です。

また、月齢によっては授乳や離乳食など特別なケアが必要な場合もあります。

動物病院で診てもらい、獣医師から注意することや、アドバイスを聞いてから飼う方が、適切なケアができます。

猫の命も大切ですが、拾った本人やその家族、飼っているペットなどの安全を確保するためにも「病院に行かずに飼う」ということは避けましょう。

必ず動物病院へ行こう。ただ、費用は数万円になることも

猫を拾ったら、必ず動物病院に行きましょう。そして推定月齢を聞き、適切なケアについてアドバイスをもらいましょう。

獣医師は、衰弱状況、病気やケガの状況、感染症や寄生虫検査などを行い、適切な治療・必要な処置について教えてくれます。

猫の状態によりますが、一度の診察で全ての項目が終わることはまず、ありません。体力の回復状況、ケガの状態や病気の症状に応じて通院し、ケアしていくことになります。

動物病院の費用は拾った人(病院に連れて行った人)が負担することになります。費用は動物病院が請求する額を全額支払わなければなりません。

獣医師の診療料金は、独占禁止法により、獣医師団体(獣医師会等)が基準料金を決めたり、獣医師同士が協定して料金を設定したりすることが禁じられています。  
つまり、現行法のもとでは獣医師は各自が料金を設定し、競争できる体制を維持しなければならないことになっております。したがって動物病院によって料金に格差があるのはやむを得ない状況と言えます。この点についてどうかご理解ください。

診察料、注射料、調剤料、処置料、検査料(血液検査・糞便検査・尿検査・眼検査など)、薬代、ワクチン代など、いろいろな項目で費用が設定されていて、場合によっては数万円かかることもあります。

高い! と感じるかもしれませんが、命を救うのに欠かせない費用です。病院に連れて行ったけれど、そのまま病院に猫を任せて帰る、というようなことはしないでくださいね。

家で飼う時は隔離した環境で飼うこと

家で他のペットを飼っている人が猫を拾った時は特別な注意が必要です。

・猫白血病ウイルス感染症
・猫免疫不全ウイルス感染症
・猫伝染性腹膜炎
・猫伝染性呼吸器症候群
・猫伝染性鼻気管炎
・猫汎白血球減少症
・猫ロタウイルス感染症
・猫らい病
・猫ひっかき病(バルトネラ・ヘンセラという細菌に感染している猫にひっかかれたり噛まれた時に人が感染する病気)

こうした病気に感染している可能性に加え、ノミ・ダニといった外部寄生虫や回虫・鉤虫・鞭虫・条虫などの内部寄生虫に寄生されていることがよくあります。

・外部寄生虫、内部寄生虫、両方の駆除
・感染症の検査、治療
・猫を飼う準備を家族全員が済ませる
・猫自身が新しい環境に慣れる

こうしたことが全て済むまで、拾った猫は別室で猫用のケージなどで隔離して飼うようにしましょう。また、飼い主を介して病原体や寄生虫が家の中に広がらないよう、消毒・手洗い・衣服の洗濯などを徹底するようにしましょう。

日を改めて不妊・去勢処置をしよう

賛否両論ありますが、猫は不妊や去勢手術をしておきましょう。猫を拾うことになった経緯を考えてみてください。繁殖力の強さ、殺処分されている数、その背景などを考えると、望まない繁殖を防止するために効果的な手術は必要だと思いませんか?

自治体が不妊・去勢手術費用を援助している場合があります。給付を受けるための条件、申請期間や手術の日程に制限がありますが、費用補助が受けられますのでお住まいの自治体のHPなどをチェックしてみてください。広報誌などでも案内されていますよ。

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