2016年10月22日
猫は、痛みを感じていても隠そうとします。でも、痛みを感じないわけではありません。言葉で伝えられない猫の代わりに、飼い主が痛みに気がつけるようにしておきたいですね。猫の痛みのサインについてまとめました。
人間は、体が傷ついたり炎症を起こしている時に痛みを感じ、異変が起きていることに気がつきます。
猫も人間とほぼ同じメカニズムで痛みを感じるとされています。
しかしながら猫は、敵に弱っているところを悟られないようにするため、本能的に痛みを隠そうとする傾向があります。
また、痛覚が人間よりも鈍いのか、人間よりも単に我慢強いのか、多少の痛みがあっても、ほとんど変わらずに生活を送ることができます。
そのため、飼い主が気がついて動物病院に連れて行くときには重症になってしまうこともあります。
でも、日常のちょっとした変化に気がつくことで、猫の痛みの発見につながることもあります。
最近ちょっと怒りっぽくなった、おもちゃの食いつきが悪い、いつものキャットタワーに登らなくなった、など、日頃から愛猫の様子をよく観察することで、微妙な変化に気がつき、痛みのサインを早期発見できる確率を上げることはできます。
痛みには、急性痛と慢性痛といわれるものがあります。
急性痛とは、急に痛くなり、治癒までの短期間で治る痛みのことを指し、3ヶ月以上と長く続く痛みを、慢性痛といいます。
急性痛は、その原因となるケガや病気が治れば消えるものですが、痛みのサインに気がつかずに適切な治療が遅れてしまうと、別の痛みを引き起こし、慢性痛に変わってしまうこともあります。
猫の痛みに対する緩和ケアとして、痛みの原因や種類によって鎮痛剤が処方されることもあります。
猫が痛みを感じているときは、わずかでも猫の行動に変化が現れます。
痛みの度合いによって、明らかな場合やとてもよく観察しないと気がつかない場合があると思います。
いつもしていることをしない、いつもと違うことをするということがあれば、痛みを感じているサインかもしれません。
以下にあてはまることが無いか、日常生活の中で気にかけてあげましょう。
・食欲の減退
・食べ方の変化(舐めるばかり、頭を傾けて噛むなど)
・排泄の姿勢に異常がある(片足を上げるなど)
・排尿したくてもでない
・トイレの失敗が増えた
・いつもよりおとなしい
・グルーミングをしなくなった
・特定の場所を執拗にグルーミングする
・いつも乗るところにジャンプをしなくなった
・うまく飛び降りられない
・歩き方の変化(片足を上げる、足を引きずるなど)
・隅っこや暗い場所に隠れる、引きこもる
・尻尾をパタパタと動かしている
・ひとりで唸っている
・眠りが浅い様子
・震える
・触られるのを嫌がる
・攻撃的になった
・おもちゃで遊ばない
・猫じゃらしなどを振っても目で追わない
・じっと四肢をたたんで座ってばかりいる
・頭を下げ、目は閉じ気味
・不自然な姿勢のままでいる
上記の「痛みのサイン」は、痛みを感じている可能性がある指針になりますが、その行動は「痛み」が原因とは限りません。
ただし、どこか具合が悪い可能性は高いので、動物病院に相談に行く指標にはなります。
逆に、下記のような場合には、猫が痛みからある程度解放されていると判断できるでしょう。
筋肉を伸ばす猫ストレッチをしていたら、皮膚や筋肉を伸ばしても痛くない、と判断できます。
いつもの様に伸びーっとしているか、ちゃんと見ておきたいですね。
食欲があるかどうかは、猫の体調の変化を見る時のとても大きな指標になります。
何かといえば食欲の落ちる猫なので、食欲減退の原因はもちろん痛みに限りませんが、食欲がもりもりあれば、「耐え難いほどの痛み」は感じていいないと考えて大丈夫でしょう。
ただし、猫は余程の痛みまでは表に出さず、食欲減退につながらないことも多いので、食欲があっても、その他のサインを見逃さない様にすることが大切です。
動物はどこが痛いのかを言葉で訴えることが出来ません。
行動やしぐさを観察して、愛猫の代わりに動物病院の獣医さんに伝えましょう。
まぶしそうに目を閉じたままにしているときは、目に痛みがある可能性があります。
また、異物感がある時は前足で目をしきりにこすったり、ウインクをします。
特に上記の様に目を痛そうにしていなくても、人に頭部を触れられるのを嫌がる場合には、目の痛みの可能性もあります。
外耳炎がひどくなったりすると、耳が赤く腫れ、痛みが生じることがあります。しきりに頭を振ったり、後ろ足で引っかいたりするしぐさが見られるようになります。
人に頭部を触れられるのを嫌がります。
痒いだけの時も同様のしぐさをして、また地面や壁などに耳を擦り付ける動作が見られますが、痒みの原因を放置すると痛みに発展し、また症状も悪化します。
歯肉炎、口内炎などで強い痛みがあると、食欲が低下します。
痛い場所を庇うように、右だけ、左だけで食べ物を噛むことがあります。
よだれが出たり、食べようとすると「ギャッ」と叫ぶこともあります。
痛みが酷くなると、全く食べられなくなります。
口の周辺を触られるのを嫌がります。
気管支の炎症で喉の方に痛みがある時は、ものが飲み込めなくなります。
内臓に炎症があったりや下痢などの症状があるときは、お腹を守るように、お腹を下にしてじっとうずくまっています。
お腹をしきりに舐めることもあります。
食欲は低下します。
脱臼、骨折、関節炎などで足に痛みがある場合は、庇うように片足を浮かせたり、突っ張らせて引きずるように歩いたりします。
歩くときのしぐさによって、痛みの原因を突き止める目安となるため、どのような歩き方をするのかを動物病院でなるべく詳しく説明できるように観察しましょう。
また、同時に高いところにジャンプしなくなったり、立ったり座ったりをためらう場合も、足の痛みの可能性もあります。
高齢の猫に多い関節炎は、気がつかずに重症化させることの多い病気だそうです。
あまり走らなくなったかな、と思ったら、他にも動きに変化が無いかよく観察しましょう。
猫背気味で歩幅を小さくして歩いていたら、脊椎症をおこし、腰の骨が動かずに痛みが出ている可能性があるそうです。
また、首を下げたり振り向いたりするのを嫌がる場合には、首の骨が痛い可能性があるとのことです。
痛みのサインは、程度や種類によって上にあげた以外にもあります。
もしもいつもとちょっと違うかな?と感じることがあったら、痛みのサインかもしれません。
特に歩き方の些細な変化などは、動物病院の診察だけでは分からないため、飼い主の申告が大変重要になってきます。
悪化させる前に気がついて、愛猫の負担を軽減できるようにしたいですね。
毎日の何気ないしぐさの変化を見逃さないように、日頃からよく観察したり、マッサージなどを通して触れ合うことが大切ですね。