こんにちは、獣医師の明石照秋です。
最近、肥満の犬がどんどん増えてきています。肥満をはじめとした生活習慣病は、糖尿病などの恐ろしい病気のリスクを著しく上昇させると言われています。
肥満の犬が増えている背景としては、ペットの長寿化、ペットフードの品質向上などが考えられます。
確かに、ぷっくりとした愛犬や愛猫は見ていてとても可愛いらしいですが、それは彼らの寿命を縮めていると言っても過言ではありません。飼い主として、適切な体重管理を行ってあげる必要があります。
そこで、今回は犬の正しいダイエット法について解説していきます。犬にはダイエットという概念がありませんから、飼い主がしっかり責任を持って取り組む必要があります。
愛犬が太っているのは飼い主のせいだと自覚することから
犬には肥満やダイエットという概念自体がありません。お腹が空いているときにご飯が出てくれば好きなだけ食べるし、好物がおやつで出てくれば多少満腹でも食べてしまうでしょう。
つまり、愛犬が太っているのはほとんどの場合、飼い主のせいなのです。必要以上に甘やかしてしまった結果ということですね。
そこで、犬のダイエットを行うには、まず飼い主の意識から変えていかなくてはなりません。食事量を減らすなど、犬にとって少しかわいそうなこともしなくてはなりませんが、ここは心を鬼にして、愛犬と一緒にダイエットに取り組みましょう。
犬のダイエットは食事制限が基本
人のダイエットではどちらかというと運動量を増やすことが一般的ですが、犬のダイエットは食事量を減らしていく食事制限が基本的なダイエット方法になります。とはいえ、いきなり一気に減らしてしまうと、犬にとって大きなストレスになり、健康を害してしまいかねません。
具体的にどれだけ減らすかは、その子の状態と目標体重によります。素人が適当に考えて食事制限のダイエットを行うのは危険なので、必ず獣医さんと相談してから行いましょう。その子にとっての適切な体重を踏まえて、具体的なダイエットプランを提示してもらえます。
食事制限ダイエットで飼い主が行える工夫
食事量を減らすと、やはり犬ももっとご飯をくれ!とがっついてきます。ストレスから無駄吠えをしてしまう子もいるでしょう。
そんな犬のストレスを紛らわせるために、飼い主にもできることがあります。その方法をご紹介します。
■食事回数を増やす
食事回数を増やすことは、犬の満足度を上げるのにとても有効な方法です。しかし、間違っても量を増やしてはいけません。本来与えていた量を5、6回に分けて与えるということです。ご飯が固形状のものなら、ある程度砕いて、かさ増しするのもよい方法ですね。
■低カロリーフードを与える
最近、ダイエット用の低カロリーフードが販売されています。これなら食べる量はそのままで、摂取カロリーだけを減らすことができます。
ホームセンターのペットコーナーでも販売されていますが、より品質のいい物が欲しい人は動物病院で購入しましょう。
■低カロリーフードを混ぜて与える
食事内容をいきなりダイエット食に変更すると、グルメな犬は食べなくなることがあります。そういった場合は、もとのご飯に低カロリーフードを混ぜて与えましょう。もちろん、量を増やすのではなく、もとのご飯の一部を低カロリーフードに置き換えて与えます。
■人の食べ物を与えない
人の食べ物が大好物な犬は多いです。味も濃いし、食べやすいものが多いので、ご飯のときにせがんでくる子は多いですね。
しかし本来、人の食べ物は犬に与えてはいけません。カロリーが高すぎるというのもそうですが、塩分などの成分が犬にとって多すぎるのです。
ダイエット中はもちろん、普段から与えないようにしましょう。どうしてもあげたい!といった場合は、一口だけにするなど、与える量は徹底的に制限すべきです。
■おやつにはささみなど低カロリーな食べ物を与える
ダイエット中はおやつにも気を配りましょう。オススメの食べ物は茹でたささみです。ささみは脂肪分が少なく、低カロリーなのでダイエット食品にとても向いています。かといって、あげ過ぎはいけませんよ。
ダイエットに成功したら
ダイエットに成功したからといって、気を抜いてはいけません。その後も適切な食事を与えていくことが重要です。
人と同じように、犬にもリバウンドがあります。そのため、以前と同じ食事量や、内容に戻すと、あっという間に太ってしまいます。
ダイエット中と同じ食事にすると体重が減り続けてしまいますから、適切な量のご飯を与えるようにしましょう。
具体的な量は、やはり獣医さんと相談して決定するのが一番確実です。
適切な体重管理でいつまでも健康に
生活習慣病が誘発する病気には、がんや糖尿病など命に関わるものがたくさんあります。肥満はその犬の体質にもよりますが、飼い主の意識と努力で解決できることがほとんどです。
正しいダイエットと食事管理を行って、愛犬の健康を守ってあげましょう。