犬の肥満は様々な病気の原因になる 適切な体重管理を

犬の肥満は様々な病気の原因になる 適切な体重管理を

最近、ペットの飼育環境がどんどん良くなるにつれて、肥満犬が増えてきています。肥満は関節炎や糖尿病を引き起こす可能性のあります。こういった恐ろしい病気の発症リスクを抑えるためにも、愛犬の適切な体重管理が重要です。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。

最近、人の生活習慣病がよく取り上げられています。生活習慣病には、肥満、糖尿病、動脈硬化などがありますね。いずれも命の危機に結びつく、恐ろしい病気です。

そんな生活習慣病、実は最近犬にも増えてきているのです。ペットの長寿化、室内飼い、ペットフードの品質向上などにより、肥満犬がどんどん増加しています。
犬も人と同じように、生活習慣病からガンなどの重大な病気を発症しやすくなることが報告されています。そのため、生活習慣を見直すことは愛犬の長生きのために、とても大切なことなのです。

今回は、生活習慣病の中でも特に多く見られる「肥満」について、また肥満が引き起こす恐ろしい病気について解説していきます。愛犬の体重や体型が適切な範囲であるかチェックしてあげましょう。

まずは犬の体重チェックから

犬の肥満度を測定する一番の方法は体重測定です。犬種ごとに適切な体重は変わってくるので、以下のページを参考にして、愛犬の体重が適切な範囲に収まっているかチェックしてください。
http://www.with-mydog.com/taiju/01.php

また、同じ犬種であっても、体格などによって適切な体重は異なります。人でも、ガタイがいい人とほっそりした人の肥満度を、単純な体重だけで判断しませんよね。
犬の場合はボディコンディションスコア(BCS)という指標を用います。真上から犬を見下ろしたときの肉の付き具合、腰骨が触れるかどうかなどで判断します。

これも参考サイトを以下に貼っておきます。しかし、BCSは素人ではなかなか判断が難しい指標です。できれば獣医さんに診断してもらうほうが確実でしょう。
http://www.with-mydog.com/taiju/02.php

肥満が引き起こす様々な恐ろしい病気

肥満自体がすぐに命に関わることはないのですが、肥満から結びつく病気は恐ろしいものばかりです。
以下に紹介していきますが、ほとんどが一度発症してしまえば完治しないか、取り返しのつかない病気です。
このような病気になるリスクを減らすためにも、しっかり愛犬の体重管理を行いましょう。

心臓病

肥満それ自体が心臓病に繋がるとは現在のところ考えられていません。しかし、心臓に大きな負担がかかることは確かで、特にすでに心臓病を発症している犬では、肥満が原因で症状が重くなると言われています。

心臓に負担がかかれば、それだけ突然死などのリスクが大きくなります。こういったリスクを抑えるためにも体重管理は大切なのです。

関節系の病気

体重が重ければ、それを支える関節や筋肉に大きな負担がかかります。肥満が引き金になる関節病には、関節炎や椎間板ヘルニアなどがあります。

関節には骨と骨の間に、軟骨というゼラチン状の物質が入っており、運動の際にこれがクッションになることで、骨同士の衝突を避けています。
しかし、体重が重すぎると、軟骨だけではクッションの役目を果たせなくなり、骨同士がぶつかるようになってしまいます。
すると、関節は炎症を起こし、いわゆる関節炎を発症するのですね。

関節炎の治療は、基本的にはお薬で行っていきますが、原因を完全に取り除かない限り、高確率で再発します。根本的な原因は肥満など体重が重すぎることにあるので、ダイエットを行います。

関節炎や椎間板ヘルニアは再発しやすい病気です。体重管理をしっかり行い、発症リスクを抑えましょう。

糖尿病

生活習慣病の中で、一番有名な病気かもしれませんね。肥満は糖尿病の大きなリスクファクターです。
肥満になると、全身のインスリンの感受性が低くなると考えられています。インスリンとは、血液中の糖濃度を下げる働きをもつ、とても大事なホルモンの一つです。
普段のインスリンの分泌量で十分な効果がないことがわかると、インスリンを分泌する膵臓はさらに頑張って多くのインスリンを分泌し、なんとか血中の糖濃度を下げようとします。
これを繰り返しているうちに膵臓は疲弊してしまい、最終的に正常な量のインスリンを分泌することができなくなってしまいます。
こうなるともはや血中の糖濃度を下げることができず、いよいよ糖尿病を発症してしまいます。

糖尿病は一度発症すると、完治させることができません。そして、四肢の壊死や失明、動脈硬化など様々な病気を誘発します。
肥満は糖尿病の発症に非常に繋がりやすいと言われています。犬も人と同じように、適切な体型維持をすることが重要なのです。

愛犬が肥満気味のようなら生活習慣の見直しを

ここまで肥満が引き起こす、恐ろしい病気について解説してきました。上述した病気以外にも、肥満は様々な病気の発症リスクを上昇させます。
犬の肥満も人と同じように、食事管理、運動管理などをしっかり行えば、改善することができます。愛犬が肥満気味のようなら、獣医さんと相談して適切なダイエットプランを組み、肥満を改善していきましょう。

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