犬の「歯の病気」にはどんなものがあるの?
かつて野生で生活していたころの犬の歯は本来健康的なものでした。しかし、かたい肉を引きちぎることも奥歯でかみ砕くこともなくなった現在では、犬は自然に歯は歯肉のケアを行えなくなっています。特にチワワなどの小型犬は小さなアゴに大きな歯、歯ならびの悪さや歯周病のリスクが高いとされています。
犬は虫歯にはあまりなりませんが、その他の歯の病気にはなりやすいので毎日ていねいなケアをしてあげましょう!
■歯周病は臓器にも悪影響を及ぼす
歯肉に炎症が起こり出血する歯肉炎や、歯の周囲からウミが出る状態になる歯周炎などを合わせた状態を「歯周病」と言います。悪化すると歯が抜けるだけではなく、歯周病菌が血管に入ってしまい腎臓や心臓といった「臓器の病気」を引き起こす原因に。
歯周炎では鼻孔に化膿が広がりくしゃみや鼻水、目の下が腫れてしまう症状が出ることもあります。
■乳歯遺残は汚れがたまる原因になる
犬は生後6か月くらいまでには乳歯は抜けるものですが、その交換期を過ぎても乳歯が残ってしまう状態を「乳歯遺残」と言います。そうすると永久歯が変な部分に生えてしまい、歯並びが悪くなり汚れがたまってしまう原因になってしまいます。汚れのたまりは歯周病の原因になりますし、嚙み合わせが悪いと口の粘膜を傷つけたり、犬歯が内側に伸びてしまうことも。
■歯が茶色いのはエナメル質形成不全かも
これは生まれつきの場合もありますが、歯の表面がザラつき色が茶色くなるという症状が起こるものです。歯の表面のザラつきは歯垢や歯石がたまりやすくなってしまいます。また歯そのものがもろいので折れやすいことや削れてしまうことも。なかなか気づくことも難しい症状なので、少しでも気になったら動物病院で歯のチェックをしてもらいましょう。
犬の歯周病、その原因とは
犬の歯周病の原因を知れば、愛犬の歯磨きケアがどれほど重要か分かります。人間と共に暮らす犬だからこそのリスクかもしれませんね。
■人間に近い食生活
ここ最近の犬に歯周病が増えている原因のひとつは「食生活が人間に近い」こととされています。可愛いからと、人間の食事をそのまま与えていませんか?人間の食べ物や柔らかすぎる物などは犬の歯に食べカスも残しやすく、健康にも良くないことです。愛犬の歯の健康を守るためにも、「それちょうだい!」の可愛い顔に負けないようにしましょう。
■食べかすはバイ菌のかたまり
歯周病の原因そのものとなるのは「歯垢」、食べかすなどがバイ菌の塊に変わり、歯垢となります。歯垢の中にある歯周病菌により歯周組織に炎症を起こし、歯周ポケットが深くなってしまうと歯周病となり様々な症状を引き起こします。
毎日のブラッシングで出来るケア、正しい方法とコツ!
歯茎からに出血が見られた場合にはまずは動物病院での治療をしてあげるのが一番です。軽度の歯周炎などであればその後の自宅でのケアにより症状の改善も可能で、ブラッシングケアを続けることは歯周病の大きな予防となってくれます。
飼い主さんにとっては嫌がる愛犬をおさえながらの少し大変なケアとなりますが、ぜひ頑張って愛犬の歯の健康を守ってあげてくださいね!
■出来るなら「歯ブラシ」が一番
歯磨きガムなどを使用している飼い主さんも多いかと思いますが、実はブラッシング効果はそれほど高くなく、カロリーも高いので太りやすくなってしまうためおススメできません。やはり一番は人間が使う形と同じ「歯ブラシ」を使ってのブラッシングです。歯磨きを習慣付ける、おすすめのステップはこちら!
①くちびるを軽くめくる・触るなどしてみて、それが出来たら愛犬を褒める
②指に歯磨き粉を付けて軽く歯に触る
③歯ブラシに歯磨き粉をつけて軽く歯に触る
④切歯や犬歯から数秒だけブラッシング
⑤徐々に全体をブラッシングする
⑥左右交互、慣れてきたら内側もブラッシングする
■歯ブラシがダメなら指にガーゼなどを巻いて拭く
一番は歯ブラシの使用ですが、どうしても歯ブラシをさせてくれない愛犬には指に巻き付けるタイプの「歯磨きシート」などを使用します。
①歯磨きシートなどをしっかりきつめに指にまく
②切歯や犬歯からこすり始めて、徐々に奥歯や全体をブラッシングする
③強くこすらないこと
もちろん、歯ブラシの効果にはかなわないので少しづつでも歯ブラシ使っていけるように練習も合わせて行いましょう。
■歯磨きガムは最終手段
歯ブラシもダメ、歯磨きシートもダメ、そんな愛犬に「最終手段」として与えるのが歯磨き効果のあるガムです。これはあくまでも最終手段なので率先して進める獣医師さんは少ないと思います。カロリーもあるガムは愛犬の肥満のもととなりますので、使う際には「一回何分」と時間を決めて取り上げます。
歯石歯垢の除去には麻酔が必要
歯石や歯垢の除去には動物病院で麻酔をしうた上での治療となります。もちろん、真っ白ピカピカな歯へと変わって帰宅することとなりそれは飼い主も嬉しいことですが、このときの「麻酔」は犬にとって大きな負担となり多少なりともリスクを伴います。
そういった治療が必要になる前に自宅でのデンタルケア、しっかりとしてあげたいですね。