犬や猫を飼う前には、飼い主として動物アレルギー検査を受けておくべきです

犬や猫を飼う前には、飼い主として動物アレルギー検査を受けておくべきです

ペットを飼う前に考えなければいけないのが動物アレルギーです。アレルギーはほとんどの場合完治しないので、ペットと同居している間、ずっとアレルギーと付き合っていくことになります。アレルギーは場合によっては命にも関わる重大な病気です。ペットを飼い始める前にアレルギー検査を受けて、その可能性を知っておくことは大切です。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。

動物アレルギーでペットが飼えない、という人はたくさんいます。他にも、犬や猫を飼い始めたら自分が動物アレルギーだとわかった、という人もいます。

動物アレルギーはその症状の程度にもよりますが、場合によっては命にも関わってくる、決して軽く考えてはいけない病気です。
しかし、一度飼い始めたペットを、自身がアレルギーだからといって見捨てるのはあまりに無責任です。

そこで、犬や猫などペットを飼う前には、同居する人全員が動物アレルギーの検査を受けることをおすすめします。
今回は、動物アレルギーの検査を受けられる場所やその費用、アレルギー検査結果の正しい見方について解説します。

動物アレルギーの検査はどこで受けられる?

アレルギーの専門医がいる、「アレルギー科」で検査を受けるのが一番おすすめです。しかし、アレルギー科は少し大きな病院や、総合病院にしかないことも多いです。
近くにそのような病院がない場合は、内科や皮膚科、耳鼻科で検査を受けることも可能です。ただ、どれだけ詳しく検査を受けられるかはその病院によりますので、前もって電話で確認しておくとよいでしょう。

検査費用はどのくらい?

気になるのはその検査費用ですね。ペットと同居する予定のある全員が、アレルギー検査を受けることがベストなので、費用が高いとその分負担も大きくなってしまいます。

検査費用なのですが、場合によってかなり異なってきます。というのも、保険が適用できるかできないかで全く変わってくるからです。
一般的に治療目的でアレルギー検査を行う場合は、保険適用の範囲内になります。例を挙げると、目が痒い、蕁麻疹が出るなど、アレルギーを疑う症状がすでに出ており、その原因物質、つまりアレルゲンを調査するためにアレルギー検査を行う場合は治療行為とみなされ、保険が適用されます。
しかし、ペットを飼う前の事前調査のように、あくまで検査の名目で行う場合、治療行為とはみなされず、保険の適用外になることが多いです。

保険適用の場合の費用は5000円前後が相場です。ただ、これは基本項目の検査の場合であって、検査項目を増やすとそれだけかかる費用も増えていきます。
保険適用外の場合はこの3、4倍はかかると考えておくとよいでしょう。さらに具体的な費用については、各病院に問い合わせてみましょう。

検査方法は?

現在よく用いられている検査方法は、ブリックテストとRASTテストの2つです。
ブリックテストは針などで皮膚に細かい傷をつけ、そこにアレルゲンを含む溶液を垂らし、反応を見るテストです。
RASTテストは採血をし、血液中のアレルギーに関わる成分の数値を調べるテストになります。RASTテストのほうが、一度に多くのアレルゲンを調べることができるため、こちらが用いられることが多いです。

検査結果の正しい見方は?

当然、検査後に医師が検査結果について説明してくれます。以下はその内容を忘れてしまった、また検査前に予習していきたい人は参考にしてください。

アレルギーの検査結果は主に「クラス」と「総IgE値」で評価されます。
クラスはそのアレルゲンに対して、どれだけ体の免疫が反応しているかを表しています。つまり、ある物質に対しての抗体量を示しています。
抗体はアレルゲンに対して、1対1の関係で作られます。そのため、小麦に反応する抗体が卵に反応することはありません。
また、抗体ごとに形が少しずつ違うので、ある物質に対する抗体量をひとつずつ調べることができます。よって、この数値を見ることで、あるアレルゲンに対して体がどれだけ反応しているかを調べることができるのですね。
クラスは0から6まで分かれていて、抗体量が多いほど高クラスになります。それだけ体内の免疫がその物質に強く反応しているということです。

次に「総IgE値」は、簡単に言うとあらゆる抗体の総量です。この値が高いと、それだけ免疫が外部の物質に敏感に反応しやすいことを意味し、アレルギーを起こしやすい体質ということになります。

しかし注意したいのが、これらの値が高いからといって、必ずしもアレルギーの症状が出るわけではないということです。
クラス6でも症状が出ない人もいるし、クラス0のアレルゲンに対して症状を示す人もいます。あくまでこの結果は、その物質にアレルギーを起こしやすい体質であることを示すに過ぎません。
クラス6だったから動物アレルギーだ、とは必ずしも言えないのです。

まとめ

アレルギー検査を受けて、クラスが高かった場合には、実際に動物と触れ合ってみることをおすすめします。
ペットショップで犬や猫と触れ合ってもいいし、猫カフェに行ってみるのもいいでしょう。そして、動物アレルギーではないことが分かってから、ペットを迎えても遅くはありません。
アレルギー検査を受けておくのは、自分たちの身とペットの将来を守るためにも重要なことです。

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