2016年10月12日

犬のノミアレルギーに注意 大事なのは飼い主が気付いてあげること

アレルギーの原因となるノミはとても小さいので、なかなか気づいてあげられないかもしれません。しかし、「痒さ」は犬にとっても辛いことです。ノミアレルギーには局所的な脱毛など、特異的な症状もあるので、それらが愛犬に見られたら早めに動物病院に連れていってあげましょう。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。

アレルギー、というと人の花粉症や食物アレルギーを思い浮かべますが、実は犬や猫にも同じようにアレルギーがあるのです。
人と同じように食べ物によるアレルギーもありますが、犬で特に多いのがノミによるアレルギーです。

ノミアレルギーを発症すると痒がる、局所的に毛が抜けるなどの症状が現れますが、命に関わるような重篤な症状が見られないことや、寄生しているノミを視認しにくいことから、飼い主さんが発症を見逃してしまいやすいです。
しかし、人と同じように「痒い」という症状は犬にとっても辛いもの。できるだけ早く気づいて動物病院に連れていってあげるべきです。
今回は犬のノミアレルギーについて解説します。飼い主としてしっかり知識をつけて、いざというとき対処できるようになっておきましょう。

ノミアレルギーの原因は?

原因はもちろんノミですね。しかし、ノミは非常に小さい上、犬の体毛の奥深くに生息しているため、肉眼ではなかなか確認できません。
さらには、たった1匹のノミの寄生であってもノミアレルギーを発症することがあるのです。
そのため、獣医師でも簡単には診断できず、症状や生活環境から他の病気の可能性を潰していき、最終的にノミアレルギーであると推察します。
では、ノミアレルギーの症状にはどのようなものがあるのでしょうか?特徴的な症状もあるので、知っておきましょう。

ノミアレルギーの症状は?

ノミアレルギーの主な症状は皮膚炎です。ノミの唾液や糞に皮内の免疫が過剰に反応してしまい、皮膚炎などを引き起こします。
そのため、ノミが寄生している周囲は赤く腫れたり、ひどい場合は皮膚がただれたりします。また、ノミアレルギーは強烈な痒みを引き起こします。愛犬が後ろ足で、お腹のあたりをひっきりなしに掻く、背中や後ろ足のあたりを壁にこすりつけるなどの行動をする場合は、ノミアレルギーである可能性があります。

ノミアレルギーの症状が出やすいのは、主に腰周辺から背中、または後ろ足のあたりです。ノミアレルギーによる皮膚炎や、その痒さから執拗に掻きむしった結果、局所的に毛が抜けてしまうこともあります。
この局所的な脱毛も、ノミアレルギーを診断する上で重要な情報になります。このような症状が見られたらノミアレルギーを疑い、病院に連れていきましょう。

ノミアレルギーの治療方法は?

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治療方針としては大まかに2つに分けられ、現在出ている痒みなどの症状を軽減する、寄生しているノミを全滅させることを目標にして治療を行っていきます。

現在出ている痒みなどの症状を緩和させるために、経口タイプのステロイド薬などが処方されます。これは過剰に反応している免疫を抑え、アレルギーの症状を軽減させるために用います。

そして、寄生しているノミを殺すために、滴下式の薬が処方されます。これを痒みが出ている部分や、脱毛がおこっている部分に用います。
他にもノミに有効なシャンプーなどを使うよう指示される場合もあるでしょう。

ステロイド剤の効果は比較的早期に出るため、痒みなどの症状は1週間も経てば収まります。しかし、ノミの駆除は早くても1か月、長い場合は数ヶ月かかる場合もあります。しっかり殺しきらないと、再びノミの増殖が始まり、再発してしまう可能性が高くなります。
獣医さんからOKをもらうまでは、根気よく治療を行っていきましょう。

ノミアレルギーの予防方法は?

これはノミアレルギーの治療とも被ってくるのですが、とにかく犬の周囲の環境中からノミを追い出すことです。
ノミは一生の間に、動物に寄生するフェーズと環境中で成長するフェーズがあります。そのため、犬に寄生しているノミを全滅させても、環境中に多くのノミがいれば、容易に再感染してしまいます。
よって、犬の生活環境を清潔に保つことがとても重要になるのです。

具体的な方法としては、

・家の中で掃除機を定期的にかける(畳の中などにもノミは生息しています)
・犬が使っている毛布や布団などは、一定の頻度で交換して洗濯する
・掃除機のゴミパックは早めに交換して、古いものは捨ててしまう

ことなどが挙げられます。

また、ノミの種類にもよりますが、場合によっては人に感染することもあります。基本的に命に関わることはありませんが、皮膚が赤く腫れたり、痒みが出たりと犬に感染した場合と同じような症状を示します。
このようなことがないよう、愛犬の周囲はいつも清潔にしておきましょう。

まとめ

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ノミは1mm前後の大きさしかないため、肉眼での発見はなかなか困難です。そのため、疑わしい症状が出たら、早めに病院に連れていくことをおすすめします。
そのままにしておくと同居犬などにも感染することがあるので、少しかわいそうですが、治療中などは接触させないようにしましょう。
また、ノミアレルギーに関係なく、愛犬の生活圏を清潔に保っておくのは、様々な病気の予防のためにも重要なことですよ。