ハンガリーの精神科学者の実験結果により、犬が飼い主の言葉を理解していることが証明!

ハンガリーの精神科学者の実験結果により、犬が飼い主の言葉を理解していることが証明!

こんにちは、動物病院勤務10年の獣医師です。犬を飼っている人であれば、私の話すことわかってるんじゃないかな?…と、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。今回はそんな疑問を解決する一つの実験の結果をご紹介します。非常にうれしい発見ですよ!愛犬家の皆さん、ぜひ知っておいてください。


犬が理解しているのは言葉?イントネーション?

動物には「警戒音」以外の言葉は見つかっていない

犬はヒトの言葉を理解できるのか――皆さんはどう思われますか?
現在のところ、動物には人が話すような言語のような言葉は見つかっていません。例えば、鶏やプレーリードッグなどいくつかの動物では、普通の鳴き声以外に、天敵などの危険を知らせる「警戒音」を出すことはできます。しかしそれはあくまでも警戒音であり、言葉ではありません。犬では、犬の間での言葉というものは見つかっていません。

獣医師は経験上、イントネーションを理解していることは知っている

私を含め多くの獣医師は、経験上、犬がヒトの話す言葉のトーンやイントネーションで、言いたいことをある程度理解していると考えています。言葉そのものを理解しているかどうかに関しては「可能性はあるけれど…」程度に考えていました。

ハンガリーで行われた「犬がヒトの言葉を理解するか」の実験

ハンガリーの獣医学の歴史は古い

ではここからが本題です。犬が言葉に対する理解の実験が行われたのはハンガリーの首都ブタペスト。ハンガリーは1700年代からすでに獣医学講座が始まっていた非常に獣医学の歴史のある国です。

13組の家族の協力で実験を実施

ブタペストにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学の神経科学者アッティラ・アンディクス博士とその研究チームは、13組の家族に協力してもらい実験を始めました。実験犬ではなく、飼い犬を使って行える実験というのはいいですね。その実験に参加したのはボーダーコリー、ゴールデンレトリーバー、チャイニーズクレステッドドッグ、ジャーマンシェパードの4犬種です。

スキャナーの中で飼い主の声を聞く実験

実験に参加した犬は飼い主の声を聞く間、スキャナーの中で伏せてじっとしているように訓練されました。とっても賢いですね。
そして、スキャナーの中で飼い主の言葉を聞かされました。それは、褒めるイントネーションと平坦なイントネーションそれぞれで、「Well done」(よくできました)など意味のある言葉と、「as if」(~のようだ)など意味のない言葉です。

言葉とイントネーションを脳の別の部位で認識

ヒトの言葉そのものに犬の左脳が反応

科学者がそれらの犬の脳のスキャンを分析したところ、イントネーションにかかわらず、ヒトと同じように意味のある言葉を左脳で処理していることがわかりました。しかし意味のない言葉では、そういった脳の動きはありませんでした。つまり、意味のある言葉を聞いた時だけ左脳がしっかり働いていたのです。アンディックス博士は「この結果から、ヒトの言葉は犬にも意味を成すことができる」と結論付けています。

イントネーションは右脳で認識

さらに犬は言葉のイントネーションを右脳で処理することもわかりました。これもヒトと同じです。
また、褒めるイントネーションで話す褒める言葉を聞くと、さらに別の部位が活発になります。それが脳の報酬領域と言われる部分です。
「犬は、聞いたことを理解するために、言葉とイントネーションという二つのタイプの情報を、ヒトと同じように組み合わせて処理することができる」と博士は語っています。

実験結果の結果のまとめ

今回の研究の結果をまとめると、以下の通りです。
・言葉を分析する左脳領域を持っている
・感情を伴う音を分析する右脳領域を持っている
・言葉とイントネーションを組み合わせて認識する脳の報酬領域を持っている

単語レベルであれば理解できる可能性が高い

かみ砕いてお話しすると、犬はヒトの言葉もそのイントネーションもどちらもヒトと同じように認識できるということです。もちろん言葉や文法すべてを理解するというわけではなく、おそらく単語レベルの理解だとは思います。また、ヒトの話す「音」すべてを区別できるかどうかも今回の実験ではわかっていません。日本人が「R」と「L」の発音の区別しづらいように、犬でも区別しにくい音があり、すべての音を区別で気ないのではないかと考えます。それでも、「ご飯」、「散歩」、「トイレ」など簡単な言葉は理解できる可能性が十分あります。

どんどん愛犬に話しかけよう!

「犬に話しかけるなんてばかみたい」ということは一切ないんですね! 頑張って話しかけて一つずつ言葉を覚えさせてあげてください。きっとコミュニケーションがうまく行くようになると思います。また、犬はヒトの感情もとってもよく理解します。できるだけ優しく、いい言葉をかけてくれることで愛情を感じ、優しい子に育ってくれるかもしれません。

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