2016年08月21日

里親になるための条件と事前準備。里親に応募してからの5ステップ

犬を飼うにはペットショップだけでなく、里親になるという方法があります。飼い主から捨てられた犬や、悪徳ブリーダーによって遺棄された犬など、このような保護犬の里親となり、家族として迎え入れることもできるのです。そこで今回は、犬の里親になるにはどんなことが必要なのか、くわしくご紹介いたします。


保護犬の実情

保護犬は、飼い主に捨てられた犬、迷子などで飼い主から離れてしまった犬、虐待を受けた犬など、さまざまな理由で飼い主と一緒に生活できなくなった犬のこと。動物愛護センターなどに一時的に保護され、新しい飼い主が見つかるのを待っています。

他にも、ブリーダーが廃業して飼い続けられなくなった犬も、動物愛護団体の手で保護犬になるケースも。この動物愛護センターは、収容できる動物の数が決まっており、一定の時期が過ぎてしまえば動物たちは殺処分されてしまいます。

しかし、飼い犬になれば温かな家族に迎え入れられ、第二の人生を謳歌することができるのです。

里親になるための事前準備

里親を募集している機関を探す

里親になるには、まず犬の里親を募集している機関を探す必要があります。機関は主に「公共機関」、「民間団体」の2つのタイプがあり、公共機関は動物愛護センターや保健所のこと。一時的に保護はしても、飼い主が見当たらなければ殺処分が行われます。

それに対し、民間団体は動物を保護している病院や公共機関を、里親希望者とつないでいるサイトなどの運営を行っています。

里親の条件を調べる

里親になるには、さまざまな条件をクリアしている必要があります。保護犬は過酷な環境を過ごしてきており、心に深い傷を負っています。そのため、傷ついた犬が安心して暮らせる環境かどうかを、機関が確認をして許可が出た場合のみ、家族として犬を迎えることができるのです。

機関や団体に寄って条件は異なりますが、主に以下のようなものが挙げられるので、当てはまっているか確認をしてみましょう。

・外飼いの場合、塀やフェンスがある家
・敷地内で放し飼い(オフリード)できる環境がある家
・繁殖の制限(避妊・去勢手術を行う)
・狂犬病ワクチンなど予防接種の実施および登録
・ペット保険の加入(治療費の負担により、飼育の継続が困難になるのを防ぐため)

など。

他にも団体によって条件が異なりますので、くわしくは公式サイトなどの注意事項を読み込んでおきましょう。

里親に応募してからの流れ(5ステップ)

応募から譲渡手続きまでの一般的な流れを、動物愛護センターを例にまとめました。
各自治体によって多少の違いがありますが、基本的な流れとして把握しておくのをおすすめいたします。

1.里親講習の申込みをして受講する

犬の飼育に関して最低限の知識を持っている飼い主のみ里親になれます。

そのため、犬のお世話やしつけ、病気に関することなど基本的なことを学習するため、里親希望者は講習を受けることになります。

2.犬と対面する

飼い主の環境によって、その状況にあった犬が譲渡候補として選ばれ対面を行います。

まずこの段階で、その犬の性格や様子を観察し、自分と相性が合うか、自宅が育てられる環境かどうかをじっくり判断しましょう。

3.犬の譲渡の申込みをする

自分と相性が合う犬がいたら、譲渡希望の申込を行います。

もし同じ犬の譲渡を希望する飼い主がいたら、機関の方で生活環境などを確認し、どちらがよりその犬に合っているのか適正を判断して決定されます。

4.飼育するために必要な登録を済ませる

犬の譲渡が決まったら、飼育のために必要な蓄犬登録(ちくけんとうろく)、狂犬病予防注射などを行います。団体によっては、この時ペット保険に加入するところも。

他にも迷子になったときに探せるよう、個体識別のため首輪に団体のネームタグをつけたり、マイクロチップを犬に注射したりする手続きがある団体も増えてきています。

5.保護犬の譲渡

手続きなどが全て済んだら、いよいよ保護犬を新しい家族として自宅へ迎え入れます。この時に飼育に必要な、トイレやゲージ、フードなどを用意しておく必要があるため、譲渡が決まったら早めに道具を揃えて、飼育環境を整えておきましょう。

また、新しく保護犬を迎え、数週間後や一か月後など環境が少し落ち着いたら、保護団体へ家族と一緒に犬が写った写真を送ることが多いです。その後もたまに団体が愛犬の様子を確認しにやってくることもあるため、対応するのを忘れないでください。

写真を送っていなかったり、電話に出なかったりしていると、強制的に里親資格をはく奪されるため、譲渡後も責任ある対応が求められます。

里親になった後の犬との生活

犬は新しい環境に移ると、強いストレスを感じたり脱走しようとしたりすることも少なくありません。特に保護犬は人間からひどいことをされた経験を持っているため、強い不信感を抱いています。

そのため、犬の気持ちが落ち着くまでできるだけ室内でともに過ごし、常に寄り添ってあげましょう。また、日々のお世話だけでなく犬の性格を感じ取り、意志の疎通を図って信頼を得るのも大切なこと。

虐待を受けていた犬は、少し大きな物音がしただけでも、おもらししたり震えたりと異常行動を起こすケースも多いです。このようなストレスに愛情を持って接し、いつも安心して過ごせる環境を作ることが里親に求められています。

里親も選択肢の一つに

保護犬を家族として新しく迎えるのは、子犬を飼うよりも難しい問題が起こることが多いです。しかし、保護犬がかつて経験してきた苦しみごと飼い主が受け入れ、深い愛情をかければ、きっと幸せな表情を取り戻してくれるでしょう。

犬を飼いたいと思ったら、ペットショップという選択肢だけでなく、捨てられた犬を引き取る里親という選択肢も一度考えてみてはいかがでしょうか。