犬の耳とは
私たちに比べて格段に優れている犬の聴覚。とくに高音を聞き取ることができるそうです。
犬の耳の外側に張り出している部分を耳介といい、中には細かい血管が通っています。耳の根元には小さな筋肉がたくさんあり、音がした方向に耳を向けたりする働きをしています。
寒い場所が原産の犬種は、体温を守るため耳介が小さく、暖かい場所が原産の犬種は、熱を逃がしやすいよう耳介が大きいと言われています。
耳の形も立ち耳の子、垂れ耳の子、耳の先だけ垂れている子と様々です。
また、犬は耳をよく動かします。耳の動きは犬の感情表現の1つでもあり、耳の動きで犬の気持ちを知ることもできます。
マッサージなど身体的な癒しや、ストレスを解消してあげるなどの精神的なケアを行うドッグセラピストたちはがはり治療や指圧を学ぶ際には、耳はとても重要な部位だと言われています。
犬の耳には神経のネットワーク、たくさんのツボがあり、刺激することで内臓器官に影響を及ぼします。そのため犬の耳はとても繊細です。
犬が耳を撫でられると喜ぶ理由
犬の耳の後ろや、耳の付け根を撫でであげたら、うっとりとした表情を浮かべ、ウトウトし始めたなんていう経験はありませんか?
これは耳を撫でられマッサージされることで神経が刺激され、自律神経系の最も複雑で精巧な統合中枢である間脳の一部である視床下部を通して、脳の下垂体から脳内で機能する神経伝達物質の1つであるエンドルフィンが分泌されるからです。
エンドルフィンはモルヒネと同じ作用があり、多幸感をもたらすと考えられています。
私たちが気持ちのいいものを見たり、聴いたりしたときに快感を感じるのもエンドルフィンが分泌されるからです。また、マラソンなどで苦しい状態が続くときに、ストレス軽減のためエンドルフィンが分泌され、快感や陶酔感を感じる「ランナーズ・ハイ」という現象も知られています。
このエンドルフィンが分泌されることで、犬はリラックスして落ち着き、幸せな気分になるのです。
また、愛犬の耳をマッサージしてあげることで、犬とのコミュニケーションをはかることになり、信頼関係を築くことにもつながります。
気をつけたいこと
犬が耳の後ろや付け根を触られると喜ぶといっても、誰にでも撫でで欲しいということではありません。
知らない人にいきなり耳を撫でられると、犬はかえって不安になることがあります。これは犬の優位問題に関係しています。
下位にある犬が他の犬のあごの下に頭をもっていき、やさしく擦り寄せているのを見たことがありませんか?また逆に、優位にある犬が他の犬の頭の上に自分の頭をのせる…
これは敬意を示すサインで、犬の優位性を表しています。
耳を撫でられるとき、犬は頭を私たちの手に委ねることになります。そのため誰に触られるかで感じ方が違ってくるのです。
耳の病気の早期発見につながる
音の通り道である犬の外耳道は曲がり、鋭くカーブしているL字型です。そのためゴミや水分などの異物がたまりやすく、細菌や寄生虫などが原因で外耳道に炎症を起こす外耳炎をはじめ、耳の感染症にかかることがあります。
普段から耳の掃除をしてあげることは、もちろん大切ですが、日頃から耳を撫でであげ、マッサージすることで、痛がったり、いつもと違う反応を見せるなどの異常に気付くことができ、早期の治療につながるメリットもあります。
まとめ
とても繊細な犬の耳。
犬の聴覚は私たちに比べ非常に優れており、音に反応して耳を動かしたり、寝ているときでも動いていたり、とても器用に耳を使っています。そのため耳の付け根にある筋肉をよく使うので、マッサージをしてあげることで疲れをとってあげることもできます。
コミュニケーションしながら耳に触れて、マッサージしてあげることで緊張をほぐし、スキンシップをはかることができ、病気や異変に気付くことで早期発見にもつながります。
愛犬との絆もより深いものになるのではないでしょうか。