2016年08月21日
毎年やってくる夏は、人間にとっても犬にとっても暑さがつらい時期。特に気温が25℃を超える高温になってくると、暑さや日差しを受けて犬が熱中症になり体調不良を起こすことが多くなってきます。この熱中症は、症状が進むと最悪命を落とす危険性もある病気。そこで今回は、愛犬を守るために知っておきたい熱中症への対処法をご紹介します。
犬は体が被毛に覆われているため、寒さに強い生き物ですが、反対に暑さにはとても弱いです。夏になると愛犬が口を開けて舌を出し、ハアハアと荒い息遣いをすることがありますよね。人は全身に汗を排出する汗腺を持っていますが、犬は肉球の裏にしかないのです。
そのため、体温調節のためには口を開けて、唾液を気化させることで体温を調節して暑さを逃しています。人間にとってはそこまで暑くないと感じていても、愛犬にとっては大きな負担になっているかもしれません。少しでも熱中症や日射病の症状が見られたら、早めに対処して大切な愛犬の命を守りましょう。
犬は暑さによって体温が上がると、浅く速い呼吸をして体温を下げるパンティングという行動を始めます。
これは熱中症の初期症状であり、暑さが続くとさらにパンティングが速くなり、呼吸が苦しそうによだれを大量に垂らし始めます。
熱中症の状態になると、体温が上がったままになりぐったりと動かなくなります。
手で触れてもわかるくらい体温が高く、呼びかけても反応しなかったり反応するまで時間がかかったりするようになります。
熱中症が進むと、目が充血したように白目が赤っぽくなります。また、口の中も充血を起こし、少し暗めの赤色である赤レンガ色の状態に。
ハアハアと息遣いが苦しそうだったら、目と口腔内の様子を見て普段よりも色が黒くなっていると感じたら、熱中症を疑ってみましょう。
熱中症が進行し、最終的にはけいれんを起こしたり、意識が混濁したりと命に関わる状態になります。他にも、呼吸がうまくいかず酸素が取り込めないことからチアノーゼの症状が見られることも。
そのままショック症状を引き起こし、命を落とすこともあるため早めに獣医から診察を受けましょう。
犬が熱中症になる原因で特に多いのが、日中部屋に一人だけで留守番をしているとき。飼い主が出かけている間、部屋を閉め切ってエアコンをつけずにいると、気温よりもはるかに室内の温度が高くなります。
また、留守番の間にゲージに入れている愛犬の場合、自分で涼しい場所を探して移動ができないので、さらに熱中症のリスクが大幅に上がることに!
夏の間は必ず留守中の温度管理に気を配り、エアコンをしっかりとつけて出かけましょう。ゲージも日があたり当たらない場所へ移動するのを忘れないでください。
愛犬と一緒に買い物に出かける飼い主も多いですが、お店の中までは連れていけないところが多いですよね。そのため、一時的に犬を車内に置いて、買い物に出かける人もいますが、暑い時期は非常に危険。
日差しの強い駐車場にエアコンをつけずに停車すると、たった15分で室内が40℃以上の高温状態になります。エアコンをつけずに窓を開けていれば大丈夫と思いがちですが、これでも車内は換気ができず熱気がこもるので、熱射病の原因になるのです。
日差しが強い時間帯は愛犬を車に乗せず、もし連れていく場合は絶対に車内に残さないようにしてください。
気温が高い真夏のアスファルトは日光の照り返しによって、50℃もの高温状態になっています。そこに、地面近くを歩いている犬を散歩させると、放射熱を受けて50℃の熱気を浴びてしまうことに。
アスファルトやマンホールなどが高温になっているとき、その上を歩くことで肉球がやけどする危険性もあります。夏の間は比較的涼しい早朝や、日が落ちた夕方から夜にかけて散歩をしましょう。
愛犬に熱中症と思われる症状があったときは、すぐに応急処置をして獣医へ連れていきましょう。
まずは日の当たらない涼しい場所に連れて、安静にさせます。意識があって水が飲めそうなときは、たっぷりと水分補給を行いましょう。このとき、スポーツドリンクや経口補水液があれば、飲み水と合わせ2倍程度に薄めたものを飲ませると、ミネラルの補給にもなりおすすめです。
次に、体を冷やすために冷水に浸したタオルを、脇、内股の付け根、首などに乗せましょう。アイスノンがある場合は直接肌に乗せず、タオルなどを巻いた状態で体を冷やしてください。家の近くだったら、お風呂場で全身に冷水をかけて体温を下げるのが効果的です。
ただし、冷水をかけすぎると体温が下がってしまうので、39℃を目安に冷やしすぐに獣医の元へ連れていきましょう。
意識がないときは、氷や冷水でとにかく急いで体温を下げましょう。それと同時に、動物病院へ連絡をして、犬が熱射病で意識がないことを伝えた上、早急に病院に連れて行ってください。
何も応急処置をしないと、病院まで運んでいる途中で状態が悪くなることも。慌てず体を冷やすための水や氷などをできるだけ持っていき、愛犬を冷やしながら連れていきましょう。
犬は人間よりも体温調節が上手にできず、暑い時期に熱中症にかかりやすい生き物です。自分にとっては大したことがない暑さでも、犬にとっては呼吸をするのも辛いぐらい暑さを感じていることも。
夏の間は愛犬との日中の外出をできるだけ避け、室内でも涼しく過ごしやすい環境を整えてあげましょう。