2016年09月28日
環境省の発表によると、猫の年間殺処分数は8万匹。一日220匹もの猫が毎日殺されていることになります。動物愛護法の改定、自治体、ボランティア活動などのおかげで10年前と比べると4分の1に減ったというのに、この膨大な数です。かわいそうな猫を1匹でも減らすために、今回は猫の里親と保護団体について考えます。
猫の里親制度は全国にあります。多くはボランティアで、里親探しの仲介をしてくれています。
新しく猫を飼いたい時には、ペットショップに足を運ぶ前に里親になることを考えてみてください。生まれてすぐに捨てられてしまった猫たち、大切に飼われていたけれど飼い主さんが高齢のため施設に入ったり亡くなったりしてしまった猫たち、災害で飼い主さんと生き別れになってしまった猫たちなど、可哀そうな子がたくさんいます。里親になってくれる人を待っている猫を家族の一員として迎えるなら、もう一度幸せにしてあげることができます。
もし、どうしても猫を飼えなくなってしまった場合でも、決して戸外に捨ててはいけません。人に飼われていた猫は野良猫として生きていくことはできないのです。だからといって保健所に連れて行けば、動物愛護センターでの殺処分が待っています。どうか里親を探してくれるボランティアに相談してください。一生涯お世話してくれる保護団体もあります。
「何もできない」と思わずに「何ができるか」を考えることから支援は始まります。
保護されている猫たちのエサ代、去勢・避妊手術代、猫砂代などがかかります。各団体のホームページには、寄附金を送金できる窓口が設けられています。
猫の保護活動を物資で応援することもできます。各団体に問い合わせるか、ホームページの「欲しいものリスト」から選んで送ることができます。
猫を飼いたい時には、ぜひお近くの里親ボランティアに連絡してみましょう。団体によって利用条件が異なります。
主に以下のような条件のところが多いです。
・里親になる人の年齢は20〜60歳。
・家族に6歳以下の子供がいないこと。
・終生愛情を注いで飼うことができること。
・転勤や引越しで猫を手放さなければならない環境にないこと。
・飼育に関して家族全員の同意を得ていること。
・完全室内飼いができること。
・脱走防止対策や迷子防止対策ができること。
・集合住宅の場合はペットを飼う許可を得ていること。
・販売や動物実験目的でないこと。
・三種混合ワクチンや予防接種を受けさせること。
・去勢手術、避妊手術をすること。
インターネットで「猫の里親募集掲示板」と検索すると、里親を探している猫との出会いがあります。写真、性格、今の様子などの詳細な情報を載せてくれているので、先方との条件が合えば猫を譲り受けることができます。
かわいそうな猫の里親になってあげたいと思っていたのに、条件が厳しくて自分には無理だと思う方もいるようです。でも条件がある程度厳しいのは、里子に出した猫たちに幸せになって欲しいと真剣に願っているからであり、増加する里親詐欺を防ぐためでもあるのです。
猫好きには到底許せないような詐欺が増えています。もちろん違法です。実際にあった里親詐欺の手口をご紹介します。
保健所から引き取った子猫たちにワクチンを打たずに、ワクチン代を「実費」名目で受け取って新しい飼い主に譲り渡すという事件がありました。このケースでは、複数の保健所から多くの子猫を引き出して、普通の雑種の子猫は2万円、人気のある猫は4万円を「実費」として受け取っていました。途中で譲渡できないと判断した子猫たちは、冷凍庫に入れて殺していました。
里親になると言って次々と子猫を引き取っては、次々と殴り殺すという猟奇的な事件も起きています。
通常、動物実験は精度の高さが必要なので、健康で身元の確かな猫しか使われないと思われていますが、精度が高くなくてもかまわない実験もあります。里親として無料で猫を譲り受けて、実験台として惨い殺し方をしているケースがあります。
里親詐欺でだまし取った猫を殺して三味線の皮に利用している業者もいます。社会的責任は極めて重大でしょう。
いかがだったでしょうか?猫の里親ボランティアや保護団体について、少しご理解いただけたことと思います。全国には、かわいそうな猫たちのために非営利で活動している団体がたくさんあります。わたしたちも猫を家族の一員として迎える際には、里親制度を利用することができますし、ボランティア活動をされている善意の方々を支援することもできるかもしれません。今回の記事がそのようなきっかけになれば大変うれしく思います。