2016年09月21日

飼い犬も感染の危険が!犬のエキノコックスを予防しよう!

寒さが厳しい北海道で暮らす飼い主なら、エキノコックスという言葉を耳にしたことがあるかと思います。このエキノコックスは寄生虫のことであり、キツネが感染しやすい病気として有名。 しかし、実は犬もエキノコックスに感染する危険性があり、接触した人間にも感染してしまうのです。


犬のエキノコックスとは?

エキノコックスは多包虫症と言い、キタキツネや犬が寄生虫に感染することで起こる病気です。ウンチと一緒に排泄された寄生虫の卵が、何らかの方法で人の体内に侵入してしまうと、やがて肝機能障害といった重大な病気を引き起こす原因になります。

このエキノコックスの怖いところは、潜伏期間が非常に長い点。感染してから5~15年ほどの潜伏期間の間、徐々に人の体内をむしばんでいきます。発症するとエキノコックスに感染した病巣部分を完全に切除する治療法以外はなく、人間にとって脅威と言える病気なのです。

実は犬がエキノコックスに感染していても、人間のように重大な病気の症状は現れません。そのため、飼い犬が万が一エキノコックスにかかっていたとしても、飼い主が自分の状態に気づかなければ、何年にも渡って体内で寄生虫が増殖している危険性も。

反対に、早期にエキノコックスに気づけば人であっても抗生物質での治療が可能です。エキノコックスを防ぐには、飼い犬の飼育管理を徹底し、もし感染が見つかったら駆除薬を使っての治療を行う必要があります。

犬がエキノコックスに感染する原因は?

犬のエキノコックスの感染源は野ネズミを食べてしまうことが挙げられます。キツネから直接感染することはなく、犬同士でも感染の心配はありません。

もし犬が野外で野ネズミを食べると、体内にエキノコックスが巣食ってしまい、腸内で繁殖を繰り返していきます。ペットの犬を室内飼いしている人もいれば、外で放し飼いをしている場合もありますよね。

特に放し飼いをしている場合は飼い主が気づかないうちに野ネズミを捕まえて食べてしまっている恐れがあるのです。また、室内犬であっても散歩の途中に野原や山の近くでノーリードの状態で散歩させていると、野ネズミを口にする危険性も。

そのため、外で飼い犬から目を離す機会がある飼い主は、エキノコックスに感染していないか注意する必要があります。

犬がエキノコックスに感染したときの症状は?

犬がエキノコックスに感染しても基本的に、目立った症状は見られません。

ただし、犬によっては粘液のかたまりのようなウンチをしたり、下痢が続いたりすることがあります。また、エキノコックスの成虫がウンチの中に排泄されることがありますが、1~3㎜程度ととても小さいので、肉眼でとらえるのは非常に難しいでしょう。

感染の有無を知るには、動物病院で検査する方法が一般的。飼い犬のウンチを提出して検査してもらえば、すぐに結果がわかるので疑われる症状があったら、早めに診察をしてもらいましょう。

飼い犬がエキノコックスに感染したらどうするべき?

エキノコックスに感染しているのが確認されたら、まず体内にいる寄生虫を駆除するために駆除薬が使われます。「プラジクアンテル」というサナダムシ用の駆除薬を使う動物病院が多いですが、これは副作用がないので安心して飼い犬に使用できます。

駆除薬を用途して2~3日後には腸内にいるエキノコックスのほぼ全ての駆除が完了しますが、体毛にエキノコックスの卵が付着している可能性も。そのため、駆虫した後にシャンプーで体をていねいに洗ってあげるとより安心です。

また、飼い犬が使っているおもちゃやごはんを入れる器などを熱湯で消毒しておきましょう。エキノコックスの卵は乾燥や高温に弱いので、熱湯をかけたあとしっかりと道具を乾かせば、卵を駆除することができますよ。

犬のエキノコックスを予防するには?

エキノコックスは基本的にキツネが生息する北海道で感染する病気です。

しかし、北海道から全国に犬がやってくる数は年間7000頭ほど。それゆえ、関東などでもエキノコックスの発症例が報告されています。ほかにも、飼い犬と一緒に北海道旅行をした際に感染したというケースもあるようです。

そのため、飼い主ができる予防法としては、北海道に犬連れで訪れるときは事前に、駆除薬を投与することがおすすめです。万が一エキノコックスに飼い犬が感染しても、飼い主に感染する前に卵を駆除することができます。

また、エキノコックスに感染した可能性があったら、早めに飼い主やその家族が検査を受けることも大切。北海道では住民のエキノコックス血清検査が無料で受けることが可能です。他の地域でも保健所に依頼すれば、血清検査が受けられることもあるため、気になる方は相談するのをおすすめいたします。

まとめ

エキノコックスは名前を聞いたことがあっても、どんな病気なのかわからない飼い主も多いです。飼い犬自体は命に別状がありませんが、もし飼い主など人が感染してしまうと、気付かないうちに内臓が蝕まれる恐ろしい病気です。

そのため、北海道在住の飼い主は、まず飼い犬をノーリードで散歩させないよう注意しましょう。
他の地域の飼い主でも、感染のリスクはゼロではありませんので、気になる接触があったら血清検査を受けてください。