2016年09月13日

予防が大事!犬のフィラリア症について知っておこう

フィラリア症は犬を飼っている人なら必ず知っておかないといけない病気です。なぜなら、フィラリア症は一度感染、発症してしまうと完治が難しいため、予防がとても重要な病気だからです。予防薬をしっかり投与して、愛犬をフィラリア症から守りましょう。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。

「寄生虫」って知っていますか?一般的に、寄生虫は動物の体の中に入り、その動物の栄養を奪って住み着きます。厄介な生き物ですよね。
犬に感染する寄生虫で、とても有名なものとして「犬糸状虫」があります。またこの虫が原因となる病気を一般的に「フィラリア症」といいます。
この病気に感染して放っておいた場合、致死率はほぼ100%という恐ろしい病気です。また完治は非常に難しく、治療中に亡くなってしまう子も多いです。そのため予防がとても大事な病気なのです。
この病気は狂犬病と並んで、犬の飼い主が知っておかないとならない病気の1つなので、知らない人はこの機会にぜひ知っておきましょう。

犬のフィラリア症とは

原因は上述した通り、「犬糸状虫」という寄生虫で、この虫が心臓と肺をつなぐ血管に住み着いた結果、起こる病気です。
犬糸状虫は白く、長い虫でよくそうめんに例えられます。写真などで見たら分かりやすいですが、少しショッキングなので気をつけてくださいね。
犬糸状虫が心臓と肺の間の血管に大量に寄生すると、以下のような症状が現れます。

・呼吸がしづらそう
・咳がでる
・運動したがらない
・お腹に水が溜まって膨れてくる(腹水といいます)
・血尿が出る

いずれもなんらかの病気のサインになりうりますが、この中でも咳については特に要注意です。咳はフィラリア症に限らず、重大な病気のサインである可能性が高いからです。
飼い犬にこの様な症状が見られた場合は、早めに動物病院に連れて行きましょう。

犬のフィラリア症の原因は?

この病気は犬同士の接触などでは感染しません。この病気を媒介するのは「蚊」です。なにも特別な蚊ではなく、日本で夏の間に飛んでいる普通の蚊が感染源になるのです。

感染ルートは以下の通りです。

1 犬糸状虫に感染した犬の血液内には、犬糸状虫の子供、「ミクロフィラリア」が大量に含まれています。

2 蚊が感染犬から血を吸う時、ミクロフィラリアも一緒に吸い込みます。

3 そして、この蚊が健康な犬に吸血した時、吸い込んでいたミクロフィラリアが犬の血管に移動するのです。

4 健康な犬の体内でミクロフィラリアが成長し、やがて犬糸状虫になり、フィラリア症を引き起こします。

夏の間、蚊に全く刺されないようにする、というのはほぼ不可能ですよね。そのため、薬などで予防するのが一般的です。

犬フィラリア症の予防について知ろう

この病気を正しく予防するには、飼い主の犬フィラリア症についての正しい知識が不可欠です。ここからは犬フィラリア症の正しい予防法について解説していきます。もちろん、かかりつけの獣医さんからも教えてもらえますが、内容を忘れてしまった場合などに参考にしてください。

予防法は飲み薬と注射のどちらかを選べる

予防薬の投与方法は錠剤型の飲み薬か、注射かを選ぶことができます。飲み薬の場合は、およそ半年の間、月に1回飲ませることになります。注射の場合は、一度注射すれば半年近くは効果が持続するので、年に1回、もしくは2回打てばOKです。

投薬する時期は?

フィラリア症の予防薬は、体に入ってきたミクロフィラリアを殺す薬です。成虫になってしまうと効果がありません。ミクロフィラリアは犬の体内に入ってから成虫になるまで、およそ30日から70日程度かかると考えられているので、それに合わせて予防薬を投与します。

具体的には、5月あたりから12月ぐらいまで薬の効果が持続するように投与します。蚊の出現に合わせて対策するということですね。
そのため、錠剤型の場合は5月から毎月、注射ならば5月に1回、11月に1回接種することになります。

薬を飲ませる場合は必ず獣医さんに診てもらってから

去年もらった薬が余っているから今年使っちゃおう・・・、これは絶対にやってはいけません。そもそも薬は必要分しか処方されないはずなので、余っていること自体おかしいのですが。

予防薬はミクロフィラリアを殺す薬だと言いました。しかし、体内で一度に大量のミクロフィラリアが死ぬと、体の免疫が異常に反応してアレルギー反応を起こしてしまうことがあるんです。このアレルギー反応は湿疹が出た、程度の軽いものではなく、最悪、死に至るほどの重いものです。

もし、去年の時点でフィラリア症に感染していた場合、不用意に薬を飲ませると、こういった状況が起こる可能性があるのです。
そのため、予防薬を飲ませる前には必ず獣医さんに診てもらって、フィラリア症に感染していないかチェックしてもらいましょう。診断は簡単で、採血をして、顕微鏡でミクロフィラリアがいないか観察するだけです。

投薬期間中に急に太ったり、痩せた場合は要注意

薬は基本的に体重から投与する適切な量を計算します。そのため、投薬期間中に大きな体重変化があった場合、計算していた適切な量の範囲から外れてしまうことがあります。正しい量が投与されないと、薬の効果がない、重大な副作用が生じる、などが起きることがありますので、目に見えて太ったり、痩せたりした場合は、もう一度獣医さんに相談に行きましょう。

犬のフィラリア症は予防が全てといっても過言ではありません。しっかり対策して、愛犬を病気から守ってあげましょうね。