子犬のころから体のどこを触れられても平気になるように育てよう

子犬のころから体のどこを触れられても平気になるように育てよう

子犬の頃から、身体のどこを触っても平気なようにしつけておくようにしましょう。たいていの犬ははじめから触られることを嫌がったりしないのですが、なかには身体を触られるのが苦手という子犬もいます。人に身体を触られることを嫌ったまま育ってしまうと、後々シャンプーや爪切りをしたいときあるいは病院に行く時などに困ることになります。


子犬のしつけをスタートさせる時に、「体のどこを触られても平気」という状態にしておくことは重要なことです。これが「ボディコントロール」です。

スキンシップのメリット

飼い主と飼い犬とのスキンシップは、さまざまなメリットがあります。

(1)犬の体調の変化、異変に気づくことができる

フードを食べるスピードや食べ残しがあるかどうかを見るだけで、犬の健康状態は、わかります。また排泄に関しても、よく観察していれば健康か調子がおかしいか気づくことができます。

健康のバロメーターとしてはこれらを観察するだけでもだいたいわかりますが、鼻が湿っているかどうか触ってみることでも確かめることができます。元気な犬は鼻先が濡れています。
また、虫に刺されていないか、怪我をしていないか、皮膚がかぶれたりしていないかなども、犬に直接触れて確かめることができます。
触って気がつく異変には、腫瘍のような危険なものもあります。

こんな風に常に犬とスキンシップをとり、身体の状態に注意していれば、病気になっても初期の段階で、動物病院へ連れていくことができます。

ですから健康のためにも、スキンシップは重要なのです。

(2)犬が人間を信じて身を任せることができるようになる

犬が人間に対して警戒心を示し、身を任せることができない状態のままに放置しておくと、犬も飼い主も困った状況となります。
例えば、子犬をシャンプーする時、子犬の足の爪を切る時、とくに初回では、スキンシップに慣れている子と慣れていない子では、水やお湯、爪切り器具に対しての恐怖心が違ってきます。
子犬は、日頃から飼い主の手に慣れていると、少しくらい怖くても我慢ができます。

また、動物病院で獣医師や看護師が治療のために犬に触れた途端に噛みつき、嫌がって逃げ出しては治療になりません。
子犬の頃から飼い主から触られていると、飼い主一家でなく他人でも、獣医師でも看護師でも、人間の手に対して警戒心や恐怖心を抱く状況は少なくなるでしょう。

子犬時代に十分に飼い主一家とスキンシップをとってこなかった場合には、人間を十分に信用することができないままになっています。ですから、急に自分よりも大きな人間が手を伸ばしてきたら、人間の方は可愛がって撫でるつもりであっても、犬の方は何をされるかわからず怯えてしまい、噛みつくことがあるのは当然のことかもしれません。

触られると犬が嫌がる部位

不十分なスキンシップが原因ではありませんが、犬がもともと触れられるのが嫌な部分があります。

(1)耳の先端、(2)鼻の先、(3)足の先、(4)しっぽ、(5)オスであれば性器、などの部位に触れられることを犬は本能的に嫌います。

その理由は、犬は、先祖のオオカミの時代から群れ同士で争いながら淘汰されてきた種です。
そのため、耳は遠くの音が聞こえ、足先は危険なものを踏まないようなセンサーになっており、尻尾は舵取りのようなもので、オスの性器は子孫繁栄のための大事な道具と、それぞれ生きていくために重要な場所となっています。
そのため、これらの重要な部位は、本能的に触れられたくないのです。

ですから、触られることが苦手な子にボディコントロールのしつけをする場合は、基本的には触られても平気な部位からはじめます。
慣れてきたら、徐々に弱点部位のボディコントロールをはじめましょう。いきなり苦手な場所から触ると、犬は、触られること自体が嫌になる危険性があるからです。

飼い主の「やさしい手」と「しつける手」

撫でて抱っこしてくれるのは、飼い主の「やさしい手」です。そして、叱られる時に叩かれるのは、飼い主の「しつける手」です。飼い主と犬が、子犬の頃からスキンシップを重ねてきたことで、しっかりコミュニケーションがとれていれば、お互いの信頼関係は構築されています。

その段階になれば、子犬は飼い主の少々痛い「しつける手」も我慢できます。子犬は、飼い主の「やさしい手」を知っていますから、しつけも頑張ろうと思うようになるのでしょう。もちろん、うまくできた場合には、飼い主はたっぷり褒めてあげましょう。

まとめ

子犬の頃に、十分なスキンシップをとって、体のどこを触れられても平気で、人間に身を任せることができる子犬は、その後のしつけも順調にできるようになります。また、スキンシップを取ることは、犬の体調管理や病気の早期発見にもつながります。

例えば、犬が見知らぬ人に噛みつくのは、人間に身を任せることができていないために、人間に対する恐怖心からくる行動であるということを忘れないでください。飼い主の手が、犬にとってやさしい手でありしつけの手である、「ボディコントロール」のしつけは重要でとても大切です。

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