そもそもガンってどういう病気?
人や犬の体は無数の細胞からできており、この細胞が分裂を繰り返すことで体を成長させ生命を保っています。しかし、細胞は全て正常なものとは限らず、中には形成に異常があるものも。
本来このような異常細胞は体内にある監視システムによって取り除かれますが、まれに異常な細胞が監視から逃れ、無制限に増殖してしまうことがあるのです。この異常細胞があちこちに転移したり、何年もかけて大きく成長したりしたのが悪性腫瘍、つまりガンのことです。
ガンは犬の体の色々な部位で発生し、その症状は発生場所によって違いがあります。ガンの症状は他の病気と近いものが多く、初期だと発見されないことも多いのです。
そして、犬も人と同じく死亡原因の第1位がガン。10歳以上の高齢犬のうち半分がガンで命を落としているのです。
犬がガンになる可能性は人間の約2倍
まだガンという病気自体が解明されていない部分も多いです。そのため、一概にこれが原因だと断言できるものはありませんが、可能性が高いものとしては以下のようなものがあります。
■高齢化
犬が高齢になると免疫力が低下することから、異常形成の細胞が増殖する割合します。実は犬がガンを発症するのは人間の約2倍と高く、この原因は平均寿命が延びたことによるものと考えられているのです。
■受動喫煙
タバコにはニコチンやタールなどの有害物質が含まれており、飼い主や家族がタバコを吸っていると愛犬がガンを発症しやすくなります。昔、犬の肺に直接タバコの煙を送り込むという恐ろしい実験が行われました。
その結果、2年半以上フィルターを通さずタバコの煙を吸い込み続けた犬のうち、約4割が肺ガンや鼻腔ガンを発症したとのこと。特に鼻の長さが短~中くらいの犬だと鼻腔内の空気を清浄化する作用が弱い分、受動喫煙によるガンの発症リスクは高くなります。
■紫外線
太陽の中の紫外線を浴びることで、細胞内のDNAに傷がつき異常細胞の数が増えていきます。犬種ではコリーやシェットランドシープドッグなどは、紫外線の影響を受けて扁平上皮ガンを発症するリスクが高いとされています。
犬のガンのサインはどんな症状がある?
それでは、犬のガンの症状は具体的にどんなものがあるのでしょうか?もし、次のような症状が見られたらいち早く動物病院に連れて行き診察を受けましょう。
■食欲不振
最近ごはんをあまり食べない…おやつをねだらなくなった…というのはガンの初期のサインの可能性があります。しかし、犬の食欲不振はガン以外の病気でもよく見られるため、これだけでガンと判断するのは難しい部分もあるのが現状です。
■体重が減った
食欲不振と合わせて代表的なのが体重減少です。愛犬が軽く感じるようになった、あばらが浮いて見えるようになったなど、痩せた印象を受けたら念のため動物病院を受診しましょう。
また、すぐ体重減少に気づけるように、愛犬の体重は1週間に1回ほどを目安につけておくことをおすすめします。そして体重減少の可能性があったら、その日から一週間毎日体重を計測して体重が落ちていないか比較してください。
■しこり
ガンの代表的な症状として、患部のしこりが挙げられます。ガンのしこりは現れた後に一度消えてしまい、その後以前より大きく出現するのが特徴。ちなみに、しこりは悪性と良性があり、必ずしもガンというわけではありません。良性か悪性かは検査ですぐに判明するため、動物病院で診断を受けましょう。
■腹水が溜まる
ガンの症状が進行していると、お腹に水が溜まる腹水の症状が出てきます。これはお腹だけが妊娠しているように大きく膨らんだ状態で、愛犬もお腹が苦しく食欲が落ちたり呼吸が苦しそうだったりという症状も見られます。
血液中にはアルブミンというたんぱく質があり、これは血管の水分量を保つ役割を担っています。ガンが進行するとこのアルブミンが減少して機能が低下していきます。その結果、血管内の水が外に漏れだしお腹に溜まってしまうのです。
犬のガンを早期発見するには?
愛犬のガンを早期発見するには、まず毎日の健康状態をチェックすることから始めましょう。
特に次の点を注意して観察してください。
・口臭がないか
・足を引きずっていたり、腫れていたりする部分はないか
・おしっこの色が赤茶色など血尿になっていないか
・ウンチは下痢や血便でないか
・食欲はあるか、食べる量が減っていないか
・体のどこかをかばうようにしていないか
・お腹がぽっこり膨らんでいないか、触るのを嫌がらないか
愛犬のガンへの対処まとめ
愛犬のガンへの対処は、できるだけの早期発見と治療です。どうしてガンになるのかは、まだ解明段階ですが初期治療すればガンを治せる可能性もあります。そこで、今回紹介した原因とチェックポイントを抑えて、愛犬の異常に気付いたら早めに動物病院へ連れて行ってあげましょう。