犬の去勢・避妊手術を行う時期はいつ?またそのメリット・デメリットとは?

犬の去勢・避妊手術を行う時期はいつ?またそのメリット・デメリットとは?

飼い犬に去勢・避妊手術を行うことは必須になってきています。ただ、正しい時期に行わないと愛犬に負担をかけてしまいますし、効果が小さくなる場合もあるのです。そこで、この記事では犬の去勢・避妊手術を行う適切な時期や注意点についてまとめています。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。

犬を飼う上で悩みの一つになるのが、マーキングや求愛での無駄吠えなど性に関する行動です。これらは適切な時期に去勢・避妊手術を行うことによって防ぐことができます。この他にも、去勢・避妊手術には様々なメリットがあります。正しい去勢・避妊を行って、愛犬、飼い主ともにストレスなく過ごせるようにしましょう。

愛犬の去勢・避妊手術の行う時期は?

去勢・避妊手術を行うべき時期はオスとメスで異なると言われています。ともに生殖機能が成熟し、最初の発情行動が出る前に手術を行うのが望ましいと考えられていますが、オスとメスでは生殖機能が成熟するタイミングが違うのです。

オスの場合は生殖機能が完成するのが生後1年くらいと考えられているので、この時期を目処に手術を行うとよいでしょう。

メスの場合は、オスより性の発達が早く、小型犬で半年程度、大型犬では8~12か月程度で最初の発情が見られると言われています。そのため、これらの時期を目処に手術を行うことになりますね。

去勢・避妊手術は簡単なものとはいえ、その手術に耐えうるある程度の体力は必要ですから、生まれてすぐ、というわけにはいきません。体がある程度成長し、生殖機能が整ってくるこの時期が手術のベストタイミングということになります。

この時期でないと絶対にダメ、というわけではありませんが、最初の発情前に手術を行うことが最も問題行動などを抑えることができると考えられています。

愛犬の去勢・避妊手術の費用は?

やっぱり気になるのはその手術費用。多頭飼いをしている人ならば特に気になりますよね。

これもオスとメスで相場が違います。また、動物病院は自由診療といって、治療にかかる費用はその動物病院が決めていいのです。そのため、病院ごとに若干、費用が異なるのですが、一般的にはオスの去勢で2万円前後、メスの避妊で4万円前後のところが多いのではないでしょうか。
病院のホームページなどがあれば、そこにだいたいの費用が書かれていますので参考にするとよいでしょう。

愛犬の去勢・避妊手術にかかる時間は?

手術時間自体は3時間程度で終わります。その後、1日入院して翌日退院、というケースが多いです。そして1、2週間後に抜糸をしておしまい、といったところですね。

愛犬の去勢・避妊のメリットは?

最近は愛犬の去勢・避妊を行うことはほぼ当たり前のことになっています。飼い主のマナーとも考えられているくらいです。手術を行うことによって、愛犬、飼い主はもちろん、周囲にもメリットがあります。順に見ていきましょう。

愛犬の望まない妊娠を防ぐことができる

犬は人と違ってほぼ本能で行動するので、発情時に異性が近くにいればすぐに生殖行動に及んでしまいます。その結果、妊娠してしまうと望まれない命が産まれてきてしまうのです。犬は一度の出産で4~5匹の赤ちゃんを産むのですが、1人の飼い主がいきなりこれだけの子犬の面倒を見ることはほぼ不可能ですよね。
いい引き取り手が見つかるといいですが、見つからなかった場合、飼い主も愛犬も産まれてきた子犬も不幸になってしまいます。

こんな事態を防ぐ一番の方法が去勢・避妊なのです。また、子供を産めなくなるなんて可哀想、と考える飼い主さんもいますが、子供を産ませる気がないのなら犬にとって発情なんて辛いだけです。ずっと性欲が抑圧された状態で生きていかなければならないのですから。本当に愛犬のことを思うなら去勢・避妊はしっかりと行うべきです。

病気の予防になる

犬はペットの中でも生殖器関係の病気にかかりやすい動物です。有名な病気だと、子宮蓄膿症、前立腺肥大、前立腺腫瘍といったところでしょうか。
しかし、去勢・避妊手術を行うことによって、これらの病気のリスクを大きく下げることが証明されています。特に前立腺腫瘍などは命にも関わる病気ですので、防げるのであればありがたいことですよね。

問題行動が減少する

飼い主にとって困るのが、性に関する問題行動です。犬であればマーキングや無駄吠え、果てには異性を求めて脱走してしまうこともあります。去勢や避妊によって、100%こういった行動がなくなるとは言い切れませんが、効果があるのは確かです。
飼い主にとって大きなストレスになる部分ですので、このメリットは大きいですね。

愛犬の去勢・避妊手術のデメリット

去勢・避妊は必ずしもメリットばかりではありません。少なからずデメリットも存在します。

性格が変わることがある

手術によって、性ホルモンを出していた臓器を摘出するので、その影響によって性格が変わることがあります。中性的な性格になることが多いですね。今まで凄くやんちゃだった子が手術を受けて急におとなしくなった、などです。

太りやすくなる

性ホルモンの減少によって基礎代謝が低下し、手術前より太りやすくなることが知られています。去勢・避妊前と同じ量のご飯をあげているのにどんどん太っていく、なんてこともあります。獣医さんとと相談して適切な量のご飯をあげるようにしましょう。

愛犬の去勢のメリット・デメリットまとめ

適切な時期に去勢・避妊手術を行うことは飼い主にも愛犬にもメリットがあります。お互い気持ちよく過ごせるように、なにより望まれない妊娠をさせるために去勢・避妊はしっかり行うようにしましょう。

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