2017年11月06日

メス犬を飼うなら知っておきたいヒートの話

メス犬を初めて飼う人が、まず戸惑うものが犬のヒート、いわゆる生理です。人間の女性に起こる生理とはメカニズムから全く違うメス犬の「ヒート」についてまとめてみました。


犬のヒートって何?

ヒートとは、いわゆる犬の生理のことです。
犬のヒートは、人間の生理とはサイクルもメカニズムも違うので、メス犬を飼おうと思っている人はヒートについての基礎知識を知っておくと、これからの愛犬との生活できっと役立つことでしょう。

初めてのヒートは、小型犬で生後6~12か月前後、大型犬では生後10か月~遅い場合は24か月頃で迎えることが多いでしょう。ですが、個体差が大きいので、その時期にヒートがないからといって、あまり神経質になる必要はありません。
小型犬で1歳半を過ぎてもヒートが来ない場合や、2回目以降のヒートが不順な場合は、動物病院などで診察を受けてみましょう。

犬のヒートと人間の生理が大きく異なる点は、妊娠のしやすさであるとも言えます。
人間は、月に1回の排卵後24時間以内しか受精できないのに対し、犬の場合は、排卵後4~5日間程度受精可能な期間があり、その間に多い時で10回ほど排卵します。

また、人間は排卵後に子宮内膜がはがれることで出血するのに対し、犬の場合は、出血がおさまってから排卵します。見た目には順序が逆のように感じられるでしょう。

犬の生理は「発情前期」→「発情期」→「発情後期」→「無発情期」というサイクルで進みます。

発情前期

血が出始めてから約10日ほど続きます。メス犬の体は排卵に備える準備がはじまりますが、まだオス犬を受け入れられる状態ではありません。
血液の量は日ましに増えます。小型犬の場合はそれほどの量ではありませんが、大型犬の場合は、ソファやカーペットなどが汚れる可能性があるので、犬用の生理用品などを使うことをおすすめします。

おしっこの回数が増えたり、気性が荒くなったり、じっとして動かなくなるなど、様々な変化が起こります。
この時期からメス犬は発情に向けて強烈なフェロモンを出すようになります。
オス犬が匂いを嗅ぎつけると強烈な勢いで迫ってくることになるので、大変な注意が必要です。ヒート中の外出を控える飼い主さんもいます。特に十分気を付ける必要があります。

発情期

血液の量が減ってきたら、排卵の準備が整ったという合図です。
出血してから12日前後、発情期に入って2~3日経つと排卵を始めます。
発情期は8日程度で、排卵の前後合わせて5日間程度が妊娠可能な期間になります(出血後10~15日くらいの期間)
この期間に交配すると、かなり高い確率で妊娠します。
妊娠を望まない場合は、きちんとオス犬と隔離しておくようにしましょう。その場合、犬と触れ合う機会は極力避けることをおすすめします。

発情後期

排卵後、1週間ほどたって受精する能力がなくなると発情期が終わり、発情後期になります。
黄体ホルモンが分泌されている間は発情後期が続き、日数でいうと約60~100日ほどになります。
犬が想像妊娠しやすいのは、この黄体ホルモンの分泌が影響しています。

想像妊娠ってどんなもの?

メス犬が自分の妊娠を想像して妊娠するわけではないので、想像妊娠とはいわず「偽妊娠」と呼ぶのが一般的です(ここでは伝わりやすいように想像妊娠という言葉を使用します)。
犬の想像妊娠は、黄体ホルモンが長い期間にわたって分泌されることによっておこります。
新聞紙や洗濯物などを集めてきて巣作りのようなことを始めたり、母乳が出たり、つわりになる子もいます。

想像妊娠の症状は無発情期に入ると自然と治まるケースがほとんどですが、ヒートの度に想像妊娠をするような場合は、子宮蓄膿症などの病気を誘発することにもなりかねないので、獣医さんに相談することをおすすめします。

無発情期

黄体ホルモンの分泌が終わったら、次のヒートまで3か月から半年ほど続きます。
この時期が一番落ち着いた時期で、また発情前期につながっていきます。
避妊手術をすると、この無発情期が続くような状態になります。

メス犬の避妊手術について

初めてのヒートを迎えて手こずった飼い主さんなどは、避妊手術をしようかと考える人も少なくありません。
発情後期は、血管が太くなっているため避妊手術には不向きです。避妊手術を考えている人は、発情後期が済んでから獣医さんに相談してみましょう。

メス犬の避妊手術には、卵巣だけを摘出する方法と、卵巣と子宮のどちらもを摘出する方法があります。体への影響やその犬の体力なども考えてどちらの方法にするか、獣医さんと十分話し合って決めることをおすすめします。

手術費用は相場で約2~3万円程度ですが、自治体によっては補助金が出る場合があります。補助がでる金額や、申請の方法なども異なるので、事前に自治体のホームページなどをチェックしてみてはいかがでしょうか。

メス犬のヒート中に注意すること

発情期があるのはメス犬だけで、オス犬はメス犬の発するフェロモンに対して発情します。
フェロモンを嗅いだオス犬の勢いはすさまじいもので、網戸をやぶって部屋に突入してきた、なんて話もよくあることです。
ヒート中だからといって、外出を控えるのはかわいそうだと思う飼い主さんも中にはいるかもしれませんが、望まない妊娠をして体に負担がかかってしまったり、突進してくるオス犬を引き離そうとしてケガをしてしまう可能性などもあります。
妊娠を望まない場合は、ヒート中の外出やドッグランなどの利用は避け、大事な愛犬の安全を守ることをおすすめします。