こんにちは。小動物看護士(ドッグシッター/小動物介護士)の須永智尋です。多くの方が生後2~3か月くらいの子犬を家族として迎えると思います。犬は一歳くらいで体が成犬サイズになります。生まれて最初の一年間の食事が体作りに大きく影響すると言えますね。そんな大切な子犬の食事を離乳から成犬まで紹介していきましょう。
子犬の離乳は生後3週齢頃スタート
愛犬が子犬を生んだ。子犬を拾った。子犬を引き取ったなど、理由は色々だと思いますが、乳だけで育てる新生児期は大体生後2週齢くらいまでです。
生後3週齢くらいから大人の歯が生え始め、固形物を噛む練習をスタートしましょう。まだ乳も与えますが、まずドロドロのおかゆに、加熱した卵・肉類を少しずつ足して与えてみます。
子犬用のフードをお湯でふやかして食べさせてもOKです。こちらの方が、栄養バランスを人が考えなくていいので楽ですね。
離乳の時期は本能的な「噛む」という欲求が強くなってくる時期です。
・歯が生えてくる違和感
・固形物を食べられるようになるための本能
・周囲に興味が広がって、触れて囓って物を把握しようとする
こうした理由で「噛む」という行為が増えてきます。生後3週齢以降の歯が生える時期に噛んでいたものは、成犬になっても噛む癖として残りやすいと言われます。
スリッパやクツ、家具などを噛むのは止めさせて、噛んでいいオモチャを与えましょう。噛んでいい物とダメなものを教えてあげてくださいね。
生後5~6週齢くらいで離乳食完了にする
離乳は子犬の成長具合を見ながら進めていきます。遅くても生後5~6週齢くらいまでに離乳食を卒業したいものです。
最初はドロドロの離乳食も、少しずつ「粒」「噛む物」を増やしていきます。最終的には、子犬用フード(カリカリの粒)を自分で噛めるように練習してください。
まだまだ口が小さく、歯も未完成で顎の力も弱いので、最初から硬い物を与えることはしません。ですが、少しずつチャレンジさせてください。
物を噛む、ということは顎の力を発達させたり、歯の生え替わりを助けたり、脳を刺激する大切な行為です。食事はもちろん、オモチャを存分に噛ませて「噛みたい!」という欲求を満たしてあげてください。
生後6~7週齢以降は子犬用のフードにしよう
生後6~7週齢になれば大人の歯がほぼ生えそろいます。噛む力も強くなり、離乳食は不要です。子犬用のフードにします。
子犬用フードは、成犬用と違って少量で効率よく栄養素とカロリーを摂取できるように作られています。子犬の時期は、体が急激に成長するため様々な栄養素が充分な量必要になります。
フードのパッケージに「体重1kg当たりフードをOOg与えること」という食べる量が書かれています。子犬の体重を測ってフードの量を管理してください。
1日当たりのフードの量が解ったら、それを1日3~4回に分けて食べさせます。子犬は消化・吸収機能が未発達なので、一度にたくさん食べられません。胃や腸に負担を掛けないよう、少しずつ食べさせるようにします。
もし、お皿などで遊んで与えた量を食べきれない場合は、遊び始めた時点でお皿を下げます。そして次の食事の時に少なめの量(食べきれる量)を出します。遊ばずに全部食べたら、盛大に褒めてください。
飼い主からもらったフードをその場で全部食べる。これを教えてくださいね。
子犬に必要な栄養素
犬は肉食のように思われがちです。確かに肉類は大好きですが、雑食性で基本的になんでも食べます。人と同じ食性ですね。
必要となる栄養素も、炭水化物、タンパク質、脂質、カルシウムやリン・カリウムなどのミネラル類、ビタミン類、水で、これは人と同じです。
ただ、必要な量が異なります。犬に必要なタンパク質は人の4~5倍、カルシウムは約10倍が必要です。また、塩分は人の1/3以下にしなければならず、繊維質が多い野菜は少なくても大丈夫です。
日本人は食事で摂る塩分が多いといわれており、食事の内容・味付けで塩を多用します。私達の感覚で言うと、犬は本当に極少量の塩で充分(ちょっと味気ない食事を摂っている)と思えますね。
そうはいっても、犬に塩分はほとんど必要ありません。手作りフードを愛犬に作る方は「味気ないから……」と調味料を足さないようにしてくださいね。
生後8か月くらいで急激な成長が落ち着いてくる
子犬はグングン成長しますが、生後8か月くらいになってくると成長スピードが緩やかになってきます。
子犬用フードから成犬用フードに切り替えることを少しずつ検討していってください。今は犬種別に栄養素などを考えたフードもありますから、選ぶ時の参考にしてみてもいいですね。
粒の大きさ、形、におい、含まれているタンパク質(鶏、豚、牛、魚など)、固さなど、選ぶ基準はいろいろあります。
複数の会社の試供品を、しつけのご褒美などに使って少量ずつ試し、一番食いつきがいいものを選ぶといいですよ。
フードの切り替えは今までのフードと少量ずつ置き換えていき、お腹の調子や便の具合などを注意して観察しながら切り替えるようにしてください。
子犬の成長を見ながら適切な食事管理を!
生まれて最初の一年間は急激に体が成長する大切な時期です。また、歯が生えたり、動きが活発になったり、心の成長など変化が著しい時期です。
子犬の成長度合い、健康状態などを観察しながら、愛犬に合ったフードを適量食べさせるようにしてください。
食べさせる量はフードのパッケージに書かれています。必ずそれをチェックして参考にしながら食事管理してください。
手作りフードで育てる時は、犬に必要な栄養素に注意しながら体重管理をして成長度合いをチェックしてくださいね。