こんにちは。小動物看護士(ドッグシッター/小動物介護士)の須永智尋です。もし、あなたの目の前に迷い犬がいたらどうしますか? 不安そうで、お腹を空かせている様子で、あなたに助けを求めるように見詰めてきたらどうでしょう? 保護しよう! そう思うのではないでしょうか。そんな時に必ずやらなければならないことがあります。トラブルを避けるために忘れないでおきたいことと、迷い犬が飼い主のもとへ帰るための命綱を紹介します。
迷い犬は基本的に拾得物です
犬を保護したらまず、警察に届出なければなりません。迷い犬は「拾得物」という扱いになります。
物扱いのようで違和感を感じる人もいるかもしれませんが、ペットは「人の所有物」という扱いです。このため保護した犬は「道端で拾った財布」と同じような扱いなんですね。
犬を保護したら最寄りの交番などで「拾得物届出」をしましょう。一部の自治体ではインターネットから手続きすることもできます。必ず保護した日から7日以内に届出をします。
この届出をすることで、あなたは元の飼い主に「保護中に必要となった費用負担」を請求する権利を得ます。また「報労金」として一定額の報酬を要求することができます。
さらに「自分が盗んだのではない」「保護し、返還する意志を持っていた」という証明になります。
ただ、遺失物法が改正され、動物については一般的な物と区別して考える、というようになってきました。これにより犬や猫は警察ではなくて自治体が対応するケースがあります。
警察が対応するか、自治体に窓口があるのか、これは住んでいる地域によって異なります。これは自分で調べなければなりませんが、まず、犬を保護した地域を管轄する警察署や近くの交番に尋ねるのがベストでしょう。そして、指示された方法で手続きをするようにしてください。
警察や自治体の窓口で犬を保護した時の手続きを済ませたら「いつ、元の飼い主が所有権を失うか」確認しましょう。
これは、保護したときの状況や犬の状態、飼い主に繋がる情報があるかどうか、などによって違ってきます。確認しておくと、その期間が過ぎてから自分が飼い主になったり、里親を探す、ということができるようになりますよ。
飼い主と犬を繋ぐ命綱がある
犬を保護しても、すぐに里親を探したり、自分が飼い主になることはできません。一定期間は犬の所有権は元の飼い主のもとにあります。
ですから、まず、元の飼い主を探しましょう。飼い主を探す方法はいろいろありますが、まず、試して欲しいのが「動物病院へいくこと」です。
保護した時の状態で動物病院に行き、飼い主に繋がる情報がないか確認してもらいましょう。首輪や鑑札の有無、そしてマイクロチップの装着の有無を確認してもらいます。
マイクロチップというのは、米粒のような小さな器具です。大体、首元や肩、尻などに装着するものでマイクロチップリーダーという機械を近付けると番号を読み取ることができます。この番号をマイクロチップのデーターベースで照合すれば、飼い主の情報がわかります。
首輪がなく、鑑札がなく、タトゥーなどの外見で判断できる個体識別情報がなくても、マイクロチップを装着している可能性があります。これは一般家庭で確認することができないので、動物病院で確認してもらいましょう。
マイクロチップが装着されていて、飼い主の情報が解ったら飼い主に連絡を入れてもらい、所有権が飼い主にある間に引き取りにきてもらいましょう。
そして引き取りにきてもらった時に、動物病院で支払ったお金や、えさ代などを請求するといいですよ。
マイクロチップは命綱
マイクロチップは海外、特にヨーロッパでは装着することが一般的です。特にスウェーデンでは「犬を適切に監視しないといけない」という飼養管理義務が法によって飼い主に課せられていて、犬と飼い主を繋ぐ手段としてマイクロチップが普及しています。
最近は、マイクロチップを装着した状態で犬や猫が販売されていることもあります。そうはいってもまだまだ日本では馴染みが薄く、マイクロチップを知らない人も多くいます。
マイクロチップを犬に装着し、番号と飼い主の情報をデーターベースに登録しておけば、犬が迷子になった時でもリーダーで番号を読み取り、飼い主に辿り着くことができます。
保健所に犬が収容されたとしてもマイクロチップの番号が読み取れれば、飼い主の元に連絡がきます。処分されることなく、飼い主と再会できるのです。マイクロチップはまさに命綱と言えますね。
マイクロチップの装着の仕方
マイクロチップを装着できるのは獣医師です。残念ながら、飼い主が自分で犬に装着することはできません。
動物病院に連れて行って「マイクロチップを装着してください」と依頼しましょう。注射器のような道具で、極小のマイクロチップを首元や肩、場合によっては尻の皮膚の下に埋め込みます。
一度、装着すると脱落することはほとんどありません。複数のメーカーがマイクロチップを販売していますがISO(国際標準化機構)規格のものなので、どのメーカーのものを装着しても問題ありません。
保護したら届出&飼い主探し
迷い犬を保護したら、まず警察や自治体に届出をしましょう。そして、飼い主が所有権を持っている期間は飼い主探しをします。
貼り紙を作る、SNSで呼びかける、新聞折り込みなどでチラシを巻くなど、いろいろ方法がありますが、ぜひ動物病院でマイクロチップ番号を確認してみてください。
マイクロチップとは、リーダーという機械で番号を読み取ることができる米粒のような器具です。マイクロチップを装着し、番号と飼い主の情報をデーターベースに登録しておくと、番号から飼い主を探し出すことができます。
まさに犬の身分証明書、命綱ですね。ぜひ、この命綱のことを知っておき、犬を保護したときに活用してくださいね。