2017年11月06日

絶対ダメ!!犬にアルコールを与えるリスク

人間にとって少量であれば健康にも良いとされるアルコールですが、犬にとってアルコールとはどんな作用があるのでしょうか。危険な犬とアルコールの関係を解説します。


犬とアルコールの関係は?

犬が食べたら危険とされる食べ物は玉ねぎやチョコレートなど様々ありますが、お酒もそのうちのひとつです。正確に言うと、アルコールが犬にとって命を落としかねない危険な飲み物なのです。

私たちの体は、体の中にアルコールが入ってきても肝臓で酵素によって100%分解され、尿として排出されます。ですが、犬の体にはそのような機能が備わっておらず、体の中に入ってきたアルコールを分解することができません。いつまでもアルコールが体の中に残った状態が続き、犬にとってアルコールはただの「猛毒」でしかありません。

アルコールを分解できないとどうなるのか

アルコールは中枢神経に作用します。徐々に呼吸の回数が低下しはじめ、やがて呼吸困難状態になり昏睡状態に陥ります。意識を失った犬はそのまま呼吸を停止し、最悪の場合、摂取後数時間で死にいたる場合もあります。

お酒は香りがよく、好奇心旺盛な犬は、香りをかがせてもらったら、ペロっと舐めてしまうかもしれません。
飼い主さんがおいしそうに飲んでいる姿を見て、欲しがる犬もいるかもしれません。
普段見られないふらふら酔っ払う姿をかわいいと感じてしまう飼い主さんもいるかもしれません。
ですが、すべてそれは犬を死に導く行為なのです。
犬にアルコールを与えることは、絶対にやってはいけない行為です。

私たち人間の少しの油断が大切な犬の命を奪ってしまうことにつながるのです。

万が一、アルコールを飲んでしまったら

万が一、犬がアルコールを含んだものを飲んでしまった場合は、気付いた時点で急いで動物病院へ連絡を取り、早急に受診するようにしましょう。
その際には、いつ、何をどのくらい飲んでしまったのか、今の犬の状態(呼吸や意識の有無など)を正確に伝えることが大切です。

犬がアルコールを飲んでしまい、こん睡状態に陥っている場合は、人間でいうところの急性アルコール中毒と同じ状態です。特効薬はありません。飲んでしまった量と犬の体力、時間だけが明暗を分けると言っても過言ではないでしょう。

インターネットなどで検索すると、犬に吐かせる方法などが載っていたりしますが、吐かせるために飲ませたものがかえって症状を悪くしたり、吐かせようとして胃の内容物がのどに詰まってしまうことも考えられます。
正しいかどうかわからない対処を施すよりも、獣医師の指示を仰ぐことをおすすめします。

休日や夜間でも対応してもらえる動物病院の情報を日ごろから集めておくようにしましょう。普段通っている動物病院がある場合は、救急時の対応を必ず知っておくことをおすすめします。

動物病院での処置とは?

では実際に、犬がアルコールを飲んでしまった場合、動物病院ではどのような処置が行われるのでしょうか。アルコール中毒に効果のある薬はなく、獣医さんができる処置にも限りがあります。

基本的には、点滴治療になります。血中のアルコール濃度を薄めて少しずつですが尿として排出されるのを待つことになります。血中濃度を下げるのを急ぎすぎると低体温にもなりかねないので、獣医さんは最新の注意を払って点滴処置を行います。

獣医さんでも対処が難しいもの、それがアルコールなのだということを飼い主さんは知っておくことが重要です。

家庭内にあるアルコール製品の見直しを

アルコールが含まれているものは、何も飲料用のお酒ばかりではありません。
料理用のお酒はもちろんのこと、栄養ドリンク剤の中にもアルコールが含まれるものもあります。
ほかにも香水や消毒液、ヘアトニック、シャンプー、液体洗剤、化粧水、除菌シートなど多岐にわたります。
これらは日用品であるため、使いやすいようにすぐに手の届く場所に置いている家庭がほとんどなのではないでしょうか。すぐに手が届くということは、犬にとって、すぐそこに危険があるということだと言い換えられます。
アルコールを含んだ製品は保管場所を見直してみてはいかがでしょうか。

ナンセンスすぎる致死量の話

犬がアルコールを体内に入れてしまった場合、致死量は体重1kgに対してアルコール○mlなど、信憑性の問われる数値がさまざま言われたりしますが、人間にもアルコールに弱い人がいるのと同様に個体差が大きく、致死量より少ないから大丈夫だというわけではありません。

個人的な意見ですが、致死量の話をすること自体ナンセンスであると考えます。
犬の命とアルコールの関係は、その犬の日ごろの健康状態、年齢、体調など様々な要因が絡み合い、「死に至らない大丈夫な量」や「死に至るかもしれない危険な量」など計算できないのではないでしょうか。
繰り返すようですが、犬は体内でアルコールを分解できません。
たとえ少量でも、それは猛毒であり、命の危険を伴います。

犬はアルコールが自分の体にとって猛毒であることを知りません。
気をつけてあげられるのは、私たち人間だということ。
事実はそこにあるのではないでしょうか。