犬に必要な基本の栄養素って何?
犬は、私たちと同じ哺乳類なので、基本となる栄養素は飼い主さんと同じなのですが、犬はもともと肉食色の強い雑食動物であり、私たち人間は反対に草食色の強い雑食動物である点が違います。
必要としている栄養素は同じでも、比率が違うというわけです。
犬の三大栄養素は、たんぱく質と脂肪、炭水化物です。これにビタミンとミネラルを加えたものが五大栄養素になり、+水が基本的な六大栄養素と言われます。
たんぱく質を考える
たんぱく質は何に必要になるのでしょうか。
たんぱく質は犬の筋肉や毛、皮膚や爪、靭帯などを作るときに使うアミノ酸を供給する役割があります。
アミノ酸22種類のうち、犬は10種類ほど体の中で作りだせないものがあるので、その10種類のアミノ酸(必須アミノ酸)は体の外から食事として摂りいれる必要があります。
たんぱく質には、足りないアミノ酸を補う役目と、体内でアミノ酸を作り出す役目をしています。
たんぱく質は、大豆・レーズン・エビ・マグロ・牛乳・ホウレンソウ・チーズ・肉類などに含まれています。
■不足した場合*摂りすぎた場合
たんぱく質が不足すると、発育が遅れたり、毛のツヤがなくなったり、体重も減ってしまいます。
反対にたんぱく質を摂りすぎるのも体の不調につながります。具体的には、たんぱく質から分解されたアンモニアからできる窒素性廃棄物が体にたまり、ひどい場合は腎不全の原因になる場合もあります。
脂肪について考える
脂肪は生きていく上での熱源になります。ホルモンの生成にも関わり、体温維持や細胞膜の形成など様々な生命活動に役立ちます。
良質な脂肪は、肉類や青魚、植物などに含まれています。
■不足した場合*摂りすぎた場合
脂肪の中でも必須脂肪酸が不足すると、皮膚炎になったり、不妊の原因になったり、繁殖機能が抑制されたりもします。
飼い主さんに注意していただきたい点は、フードの保管方法です。高温多湿の場所で長期間フードを保管すると、脂肪が酸化してしまい必須脂肪酸不足を招くことがあります。
反対に、脂肪を摂りすぎると、肥満になり体の様々な部分に負担がかかるほか、脂肪分解酵素が過剰に分泌され、急性すい臓円の原因になる場合もあります。
炭水化物を考える
炭水化物は人間の場合と同じく、エネルギー源になります。
炭水化物を多く含んだ米やパンなどは、肉類などよりも価格が安く、同じエネルギー源としては満腹感も与えやすいので利用しやすいものです。
炭水化物は米やパンなど穀類に多く含まれています。
■不足した場合*摂りすぎた場合
炭水化物が不足すると、疲れやすい体になり持久力がすぐに切れてしまいます。とはいえ、エネルギーは他の栄養素からも摂取できます。
私たち人間は、主食としてパンやごはんをほとんどの人が毎日食べますが、犬にとっては炭水化物は特別に意識して食べなくても良いものなのです。
反対に摂りすぎた場合は肥満の原因になり、体のあちらこちらに負担をかけてしまったり、様々な病気の原因にもなりかねません。
ビタミンを考える
ビタミンは、体の調子を整える役割をしていますが、ビタミンの種類によって、その役割も様々です。
ビタミンA・・・視力や視覚を正常に保つ・皮膚や粘膜を丈夫にする
ビタミンB群・・・代謝を高めて、発育を促す
ビタミンC・・・カルシウムの代謝を促す。皮膚状態を良くする
ビタミンD・・・腸管からのカルシウムとリンの吸収をサポートする など
犬はビタミンCを体内で合成することができるのも特徴です
■不足した場合*摂りすぎた場合
最近では、ドッグフードにビタミンが添加されていることが多く、欠乏症になることは減っていますが、反対に過剰摂取が問題にもなっています。
ビタミンAやビタミンDの過剰摂取で食欲不振になったり、嘔吐や下痢を起こす場合もあります。
ミネラルを考える
ミネラルって何?と思う人もいるかもしれませんが、家庭科の授業などで「無機質」という単語を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。ミネラルとはまさしく無機質のことで、不足しても過剰に摂取しても体調不良の原因になる、バランスの難しい栄養素です。
ミネラルにはいくつか種類があり、それぞれ役割が異なります。
鉄分・・・血液中で酸素の運搬に関わる
カルシウム・・・骨格の形成に関わる
マグネシウム・・・筋肉の収縮を助ける
ヨウ素・・・甲状腺ホルモンの成分になる など
■不足した場合*摂りすぎた場合
それぞれの役割が失われたり、過剰に反応してバランスを崩したりします。相互に関係していることも多いので、偏りがある場合なども体調不良につながります。ミネラルはバランスが大変重要になります。